IT川柳
お題は「ガラケー」
七月の特選
- 待ちぼうけ開いて閉じてまた開ける(やじろべー)
七月の名作・迷作選
- ガラケーに戻って父は楽隠居(カイセ)
- 高校の思い出しまう玉手箱(ごめすにか)
- 孫曰くガラケー逆に新しい(ラコック)
- 使い良さ恥ずかしくないガラパゴス(なかはじめ)
- スマートな妻の脇にはガラ親父(ブルードラゴン)
- 携帯の殿堂入りを夢に見る(ぷ~太郎)
- ガラケーで物持ちの良さが見抜かれて(よしえ)
- ガラケーの彼に寄り添う昭和妻(極楽トンボ)
- ガラケーの部長やっぱり演歌好き(飛梅)
- スマホからそっとガラケー舞い戻り(颯爽)




日本人の国民性なのでしょうか、内向きであれば非常に凝った、他の追随を許さないようなものを作り上げます。しかし、そのことにより“木を見て森を見ず”のようなところに行ってしまいがち。非常に優れているが、世界的な汎用性には欠ける…、それがいわゆるガラケーに象徴されていて、ICTのグローバル化により日本の特殊性が浮き彫りになってしまったようです。
ガラケーというと何か時代遅れのようなネガティブな意味に使われがちですが、ガラケーもなかなか捨てたもんじゃありません。ポジティブに捉え、その使い勝手の良さで愛用している人もまだまだいます。デジタル音楽全盛の時代でもカセットテープが根強く支持されているのと似た感覚でしょうか。決して古臭くないんだと、それなりの良さを享受しているようです。
特選句は、ガラケーを開け閉めしている人の姿から時代の風景、心情までもが伝わってきます。きっとデートの待ち合わせなのでしょう。「あー、あの時そうだった」「そんなこともあったなあ」と、誰もが持っている共通の風景を五七五にうまく切り取って表現されていると思います。
「ガラケーを使って見栄のタブレット」 立川談幸

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編集部より |