IT川柳
お題は「顔認証」
三月の特選
- べっぴんに整形し過ぎ開かぬドア(ありの実)
三月の名作・迷作選
- 顔認証妻が拒否する午前様(あーさまま)
- マドンナの顔がはてなの同窓会(あまた)
- 笑ったらきっとあなたとわかるはず(きらきら)
- 顔認証半分ムリなクラス会(かきくけ子)
- 恵比須顔人の心の鍵を開け(こりんご)
- エラー出て俺だ俺だと声を出す(さごじょう)
- 号泣の認証エラー赤ん坊(チデンシンヤ)
- 顔認証クラークケントも職失くし(とむちゃん)
- 白塗りで顔認証はダメよダメ(ハルル)
- 挨拶で顔認証をした時代(汐海岬)




指紋や静脈、虹彩、顔といった身体の特徴で、本人かどうかを判断するのを「生体認証」というそうです。パスワードやICカードなどと違い、確かに忘れたり、盗難・紛失といった心配はないのですが、現時点で「これで、セキュリティーは万全!」とまではいかないところが悩ましいですね。日々進化するICTもさることながら、人の目を通して顔認証をする、そのことによって心の表情までも見通してしまう人間力を面白く表現した作品が多かったようです。顔は心を映し出す鏡。認証できないほどの厚化粧や老け具合をユーモラスに表現したものや、夫の不行跡を見とがめた妻による顔認証などなど、楽しい作品を拝見致しました。機器が見逃さないが読めないもの、人間が見逃すことはあっても読めるもの、それがあって世の中の面白みが醸し出されていくのでしょう。
特選句は、「世の中二ついいことはないなあ」とよく言いますが、それを実感させられる作品ですね。今回のテーマを通して見た、ありがちな人間の営みがおかしみをもって表されていると思います。
「人相の良しあしはないセキュリティー」 立川談幸
