
IT川柳
お題は「地図」
五月の特選
- 忠敬の苦労小さな箱となり(銀次郎)
五月の名作・迷作選
- 激安のお店が妻の地図広げ(あどぞう)
- 地図まかせ思わぬ出会い少し減り(かわたけ)
- めくるよりずらしてみえる地図の顔(さるすべり)
- 父はナビ娘はスマホ祖父は紙(しけもく)
- 君がいた宝の地図の×印(とわ爺)
- 忠敬に見せたい声の地図アプリ(はるやす)
- 大空に転写している世界地図(ま〜いける冗談)
- 終電を逃しMAPに頼る夜(やんぎん)
- アナログのおねしょの地図はあたたかい(春爺)
- 手のひらに日本全土を包み込む(汐海岬)




旅に出る、仕事先に出向く、食事を楽しむ、飲み会をやる、スポーツを観戦する、芸術を鑑賞する、ショッピングに出かける・・・、人の営みにおいて、その行動のための道標は必要となります。
今までの地図は紙媒体が主でした。地図を片手に自らの目で捜す。私は極度の方向音痴なので地図を見ながらでも右往左往していました。しかし、地図のおかげで苦労しながらでも、目的地に到達することができました。人間の行動を広げたのも地図。
その未完、未整備の時代に、自らの足と目でその作成をした先人の苦労は並大抵のものではなかったでしょう。そんな苦労が今は嘘のようです。IT化のマップのお陰で家に居ながら全世界が掌握でき、さらに手のひらサイズになり、いつでも、どこでも行動のための道標を教えてくれます。目的地を地図で捜す時代から、地図に教わる時代になりました。そんな今の時代から、伊能忠敬の偉業に思いを馳せての作品が、何点か見受けられました。
特選句は昔のかん難の大きさが、現代では小さな箱に収まり手軽に利用できるという隔世の感が、対比的に表現されているのが面白く感じられました。
「あてもない旅に出るさは死語になり」 立川談幸

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編集部より |
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