
IT川柳
お題は「チャット」
十一月の特選
- チャット好き指から先に生まれた子(さごじょう)
十一月の名作・迷作選
- 年寄りのチャットはいつも病気ネタ(paipai ibuchin)
- チャット内弾む会話に踊る指(かわたけ)
- 井戸端が消えてチャットが花盛り(まりとも)
- チャット終えよくよく見れば妻だった(みぢんこ)
- 倦怠期妻とチャットが丁度いい(香山)
- 語れない本音を指がはじき出す(汐海岬)
- 饒舌なサタデーナイトの指疲れ(森の児)
- チャット打つ速さ仕事に生かさない(素乱風)
- ちゃっと家事ちゃっとお風呂でチャットタイム(癒しの時間)
- チャット部屋一歩入れば御曹司(良馬)




IT社会、ネット社会というと、何かバーチャルな世界のように連想されがちですが、実際はそれらを駆使して、リアルに人と人とがつながっています。やはり人間は、コミュニケーションなしでは生きてはいけません。何かでつながっていたいという思いに、「チャット」が応えてくれているようですね。一方的な発信ではなくて、双方向でしかもリアルタイムであるということに、ある種の慰めもあるようです。
昔も今もおしゃべりということでは、女性に軍配が上がるようです。井戸端会議は形こそ変われど、健在です。夫婦げんかの仲直りを題材にした作品が結構ありました。面と向かっては照れくさいことを、「チャット」が仲介の労をとってくれているようです。自分をありのままに出したり、仮想の人間として別人格で表現できたり、デジタルなコミュニケーションを通じて自分を見つめ直すことができるのではないでしょうか。他人を名乗るなどの”なりすまし”は厳につつしむべきですが、「なりたい自分」を演出できるのもチャットの魅力なのでしょう。「口八丁手八丁」と言いますが今やそれに「指八丁」も加わったようです。
「口は寝て夜に起き出す喋る指」 立川談幸

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編集部より |