IT川柳
お題は「クチコミ」
九月の特選
- うまいらしい「らしい」が「らしい」を呼び寄せる(ぷらびだ)
九月の名作・迷作選
- 隠れ家な店に行列ある不思議(あいらむ)
- 此処だけの話メールでもう五本(いしざわこーど)
- マスよりも大きい口で飲む世間(まこっちゃん)
- 傾いた店クチコミで甦る(きりん草)
- クチコミにデートコースを決められる(たごさん)
- クチコミは参考程度がお約束(だいちゃんZ!)
- 口コミに驚いて飛ぶ閑古鳥(瞑王院風雅)
- 良い医院教えてくれる美容院(空徳利)
- クチコミという新種のサクラあり(春爺)
- クチコミに欲しい答えを探してる(小都里)




これだけマスコミの発達している時代でも、いまだに威力を発揮するのがクチコミです。大手メーカーがマスコミによる宣伝を打っても、モノを言うのはクチコミの力だということを聞いたことがあります。生きた情報ということなのでしょう。
クチコミも良い情報ならば、その伝播の効果に浴したいものですが、悪事千里を走ると言われるように、クチコミにより不利益を被ってしまうことのリスクも考えなければなりません。昨今は「なりすまし」なんていうこともありますからね。
「語るなと人に語ればその人のまた語るなと語る世の中」とは、うまく言ったものです。ネット時代のクチコミは、従前のクチコミとはちょっと違ってくるようです。
投句のほとんどが、飲食店に対する情報としてのクチコミを取り上げていました。意図的に話題を作ったり、評判を立てたりと、疑わしいものが出てきて問題になったこともありましたね。リアルが希薄になりつつある現代で、ネット上のクチコミの信憑性をどこに求めればいいのでしょうか?「百聞は一見にしかず」という格言もたまには見直してみてはと思います。
判断に迷った時、ともあれ指針となるものが全くないよりは、このクチコミが頼りになります。でもクチコミとは不思議なもので、伝える人は当事者ではなくて「誰かが言ってたんだけど」とか、「友だちの話なんだけど」などなど、伝聞がほとんどです。第一走者が正体不明なのもクチコミの特徴かもしれません。特選句はそんなクチコミの特質をついていますね。
「クチコミの信クチコミに問うている」 立川談幸

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編集部より |