現在、多くのクラウドベースのプロジェクトで採用されているAWS(Amazon Web Service)。AWSには個人の専門知識を検証し高いスキルを示すことができる制度として、AWS認定資格があります。AWS認定資格をわずか1年7カ月ですべて取得し、12冠を達成した入社6年目の若手、中条航希に認定試験に取り組んだ動機や今後の実務への役立て方を聞きました。
AWSとの出会い、3つのプロジェクトに関わる
中条航希
NTTコムウェア
エンタープライズビジネス事業本部
⾦融ビジネス部
ソリューション企画担当
AWSに初めて触れたのは入社3年目の2020年の春、社外向けサービスのアジャイル開発に参画し、リモートワークに対応した開発環境を構築した時でした。
その後、現職の⾦融ビジネス部に異動し、基盤更改に伴うオンプレミスからAWSへの移行提案の機会を得ました。このプロジェクトでAWSを本格的に学ぶ必要を感じ、2021年8月からAWS認定資格の取得を始めました。
現在は2022年2月に参画した営農支援クラウドサービス「BLOFware.Doctor」を担当しています。
BLOFware.DoctorはAWS上で開発・構築、提供されていますが、CloudWatchで RDSを監視するなど、AWSに用意されているマネージドサービスを活用して維持管理業務を行っています。
ジャパンバイオファームとNTTコムウェアが共同で提供するBLOFware.Doctor
振り返るとAWS認定資格の勉強を始める以前はAWSをよく理解しておらず、そもそもクラウドを使っているという感覚もないような状態で、システムがどんな技術で動いているのか、といった基本的なことを知らないままでした。
しかし、それではサービス自体を触ることができない、ましてやお客さまにソリューション提案をすることなどできない、と気づき、AWS認定資格取得の勉強を始めました。認定資格を取ってからは、自信を持ってAWSを扱っていけるようになったと思います。
興味のある資格から取得、勢いに乗って12冠達成
現在、AWS認定資格にはFOUNDATIONAL(基礎)、ASSOCIATE(中級)、プロフェッショナル(上級)、専門知識(専門)の4つのグループがあり、12の資格に分かれています。それらすべての資格を1年7カ月で取得しました。
もともと12冠をめざしていたわけではありません。当初の目標は、2つ目に取得した中級のSolutions Architectを取ることでした。達成後は、自分の興味のあるところから順に取得していきました。
AWSに限らずどんなシステムにとって必須の専門知識であるSecurity、もともと得意だった開発に関わる中級のDeveloperと進めていき、その後は上級、専門の順番に取得していきました。
5つ目に一番難しいと言われている上級のSolutions Architectを取得できた時点で、これなら12冠達成もできるかもしれないという手応えを感じ、そのまま勢いに乗ってトライすることにしました。
その後、中級、上級と取得し、最後の5つの専門を約半年間で一挙に取得しました。短期間で達成できたのは、年度内にすべてを取得するとAWSから副賞をもらえるので、それが目当てでがんばったという側面もありました(笑)。
試験勉強は業務が終わってからカフェでやるのが基本スタイル。集中できない時はやらない、集中できる時にやるというのが自分の流儀です。チームメンバーには試験の間近になると私の業務時間を定時で上がれるように配慮してもらったり、金融ビジネス部が用意している研修や試験に対する支援金を活用させてもらったりと、周囲の理解・サポートがあったことにとても感謝しています。辛かったのは、今は会社として全面的な支援がありますが、自分が受験した時は、専門知識は支援対象外だったため、全て自己負担となってしまったことです(泣)。
全12冠までのロードマップ(1年7カ月で制覇)
サービスの全体像を把握することがより楽になった
資格を取得したことで実感したのは、AWSの持つ各種機能の役割、それらの連携方法をより深く知ることができた結果、システムの全体像を把握することがより楽にできるようになったことです。これは現在携わっている「BLOFware.Doctor」でも同じです。
全体像が見えるようになったことで、例えばサービスの構築に対していろいろな選択肢が考えられるようになりました。構築するWebサービスの特性に合わせて、AWSのEC2という仮想サーバサービスで構築すべきなのか、S3というストレージサービスで構築すべきなのか、と判断が求められた時に、どれを使えば目的に適した性能を引き出せるのか、運用コストを低減できるのか、といったことを考慮しながら判断できるようになりました。
担当している「BLOFware.Doctor」の維持管理では当初、手動で作業していた部分が多々あり、その自動化に取り組みましたが、AWSサービスを操作するための仕組みをしっかりと理解した上で、自動化のためのAPI ツールを実装することができました。
また、社内ではAWSに関わる他のプロジェクトからヘルプを求められることが多くなりました。例えば、不具合が起こった時のチェックポイントや調査方法を尋ねられ、資格取得で学んだ知識をもとに答えたり、解決の方向を示したりしています。AWS認定資格者として社内で認知されつつあるのかな、という実感も出てきました。
しかし、自分自身では実務経験がまだまだ浅いと思っています。トラブルシューティングにしても知識としては持っていても、実際にトラブルを目の前にして確実に対応できるのか、という点についてはいろいろなケースがあると思います。資格取得で得た知識を武器に、現場で臨機応変に対応していける実務力を養っていきたいと思っています。
お客さまのニーズに即応できる質の高いプロジェクトをめざして
12冠を取ってから、AWS認定資格の取得の準備を始めている同期等から、試験対策についてよく相談されるようになりました。これから社内に認定資格者が次々に増えていくだろうと感じています。
AWS認定資格は個人を認定するものですが、そうした有資格者が増えてチームを組めるようになると、より質の高いプロジェクトが推進できるようになると思います。
個々人の技術力を高め、チームとして技術力を結集させることで、お客さまから寄せられる新しいニーズに迅速に応えていきたいと思っています。
2023/5/31
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