COMWARE PLUS プラス・サムシングを大切なお客さまへ

メールマガジンのご登録
ポスト
        
        

向かないことを克服するより、気質を生かしたコラボレーションを

― その四つの気質は、遺伝的な要素が強いという点がポイントですね。

管理職やリーダーの方が、どうも部下とうまくいかない、自分の思うようにプロジェクトが進まないと感じるときは、「自分と部下の脳のクセが違うのでは?」という視点で考えると、改善されるかもしれないということです。強く出ている気質を変えようとするのではなく、それぞれの気質で補い合うのです。あるいは、もし自分が危険や損害を回避しようとするタイプで、どんどん新しいことを切り開いていく同期に負い目を感じるとしたら、それはナンセンスです。もともとの気質が違うだけですから。「どうしたらあの人たちみたいになれるだろう?」と思い悩むよりも、「自分の脳のクセを活かすにはどうしたらいいだろう?」と発想を切り替えたほうが、ずっとクリエイティブです。

自分の中でどうしても譲れない部分、変えられない部分というのは、年齢とともに強くなっていきます。そのような気質は思春期が終わった頃から明確になってくるので、多くの人が何となく自分というものが見えてきているはずです。30代、40代でその傾向が強くなりますから、20代のうちにさまざまな業務を体験して、自分の向き、不向きを自覚できるようになっておくのは良いことだと思います。だいたい30代くらいになれば、自分の能力を伸ばせる方向、伸ばせない方向が分かってくるでしょう。

行動と快感が結びつけば、やる気は自然と引き出される

― もう一つ、やる気がでない、集中できないということに頭を悩ませているビジネスパーソンも多いと思います。

確かに、よく質問される話題ですが、最近の脳科学では、やる気の正体が分かってきました。例えば子どもがゲームに夢中になるのは、ゲームをするという「行動」が「快感」と結びついているからなのですが、その結びつけをしているのが、脳の中の線条体という部分なのです。線条体は予測的に活動することが知られていて、「勉強をしたら(行動)、褒められた(快感)」ということを繰り返すと、「勉強しようかな」と思っただけで線条体が活性化する、つまり快感を得るようになります。これが「やる気」の正体です。

やる気については、テストの成績がよかったらお小遣いをあげるグループと、テストの成績をよくするために本を読んだらお小遣いをあげるグループ、どちらのほうが成績が上がるかという実験があります。結果は、本を読んだらお小遣いをもらうほうが成績が上がったのです。ということは行動に対して直接的に報酬を与えることが有効なのですね。これは大人も一緒ですから、チームマネージメントの際には、考慮してほしいと思います。自分自身でも、頑張ったごほうびにちょっとした贅沢をするなど、行動に対する報酬をこまめに与えるようにすれば、やる気がアップしてくるはずです。

― 報酬が具体的に見えたほうが、頑張れるということなんですね。

篠原菊紀さん

それから、線条体はもともと、行動を始めたらそれを持続させようとする働きがありますから、とりあえず始めてしまう、という方法もあり、です。行動してしまえば脳は続けようとするのですから、やる気が出るまでじっと待つのは非常に効率が悪いわけです。気が進まなくても「5分だけ」と考えて始めてしまえば、実際に5分で止めるほうがよほどストレスを感じるはずです。

― 確かに、面倒だと思っていても、「やり始めたら乗ってきた」という経験はたくさんあります。では、ルーティン化した業務でやる気が起きない、などという時にはどうでしょうか?

子どもに「勉強しなさい」と言うと「今やろうと思っていたのに!」と返ってきますね。これは、ただ口ごたえをしているのではなく、「勉強しなきゃ」という“言葉”は脳の中にあるのに、行動を起こす刺激に結びついていないからです。言語野は活動しているけれど、運動野が活動していないという状態です。こういう時は頭の中で「立ち上がって、机まで歩いて行き、座って教科書を開く」という動作を映像としてイメージすると、脳の運動野や前運動野が活動を始めやすくなります。さらに、その映像に音をつけるようにすると、より脳の活動が高まります。「グッと立ち上がり、ダダッと歩いて行って、ドンと座り、ガバッと教科書を開く」というように、です。自分が行動している様子を、自分の目線からの映像として具体的にイメージするというのも、運動野が活動しやすくする方法の一つですよ。

― 大人ならさしずめ、「カチカチッとクリックして○○のファイルを開いて、バチバチと入力していく」のような感じでしょうね。

次ページ 報酬と罰則が脳を刺激する

ポスト

事例紹介

スマートフォン用リンク

エバンジェリストが語るICTの未来

スマートフォン用リンク

ページトップへ

トップへ