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なぜ、盛岡観光ナビは圧倒的な
なぜ、盛岡観光ナビは圧倒的な
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NTTコムウェアのLIKEUP UXエンジンを活用した盛岡観光ナビ「もりおかめくり」は、岩手観光に興味を持ったユーザーの13.8%を盛岡に送客するという成果をあげた。その成功の秘訣は、エンジン性能に加えて、盛岡旅行全体のUXデザインを重視し、さらに行動経済学に基づいた施策を実行した点にある。本講演では、NTTコムウェア エンタープライズソリューション事業本部 スペシャリスト 吉井 秀俊が「なぜ、盛岡観光ナビは圧倒的な“ユーザーの行動変容”を実現したのか?」をテーマに、Webサービスの改善やコンバージョン率向上のノウハウを解説した。

「もりおかめくり」リリースの背景

「もりおかめくり」は、JR東日本社主催の「WaaS共創コンソーシアム」の一環としてリリースされました。このコンソーシアムは、Well-beingな社会の実現をめざし、移動×空間価値の向上に取り組んでいます。そのなかで観光促進による「地方創生・DX推進」をテーマとした取り組みが「もりおかめくり」です。そしてLIKEUP UXエンジンを活用した旅行体験として構想したのが、下記になります。

「LIKEUP UXエンジン」を活用した旅行体験として構想図
  1. ①地域の認知度向上
    プロモーションやSNSを活用し、盛岡の観光地としての認知を向上させます。
  2. ②地域への来訪機会創出
    LIKEUP UXエンジンのレコメンド機能を活用し、ユーザー一人ひとりの価値観にあった盛岡の観光スポットを発見してもらい、訪問したいという気持ちを喚起。旅行を計画するというアクションまで導きます。
  3. ③地域での回遊率向上
    盛岡の旅行中に多くのスポットや店舗を訪れてもらうため、LIKEUP UXエンジンを活用したiOS/AndroidアプリでのPUSH通知等の仕組みを活用し、地方経済の活性化に貢献します。
  4. ④地域のファン化
    地域の魅力を体験してもらい、ファンになってもらう。

このような構想のもとに生まれたのが、盛岡観光ナビ「もりおかめくり」でした。

「もりおかめくり」の特長

LIKEUP UXエンジンを活用した盛岡観光ナビ「もりおかめくり」がユーザーに提供している機能や利便性、楽しさを3つの特長を通じて紹介します。

盛岡観光ナビ「もりおかめくり」
  1. ①ユーザーの価値観を捉えたレコメンド
    「もりおかめくり」でスポットを探せば探すほど、LIKEUP UXエンジンがユーザーの価値観を把握し、好みにあったスポットをおすすめします。また、旅行中には、時間や現在地、天候などシーン・状況も加味しながらレコメンド。アプリ内でのコンテンツの表示順位やプッシュ通知で、ユーザーに合った情報を届けます。
  2. ②素敵なスポットを発見できる旅行記
    実際に旅行した方々による独自の旅行記を掲載しています。旅行イメージを膨らませ、自分好みの観光スポットや新たな体験に出会えるコンテンツです。
  3. ③旅の充実をサポートする便利機能
    旅行のスケジュールを作成・管理する機能があります。また、観光スポットをお気に入り登録し、後から見返すことが可能です。

【行動変容の秘訣①】LIKEUP UXエンジンの性能

「なぜ、盛岡観光ナビは”ユーザーの高い行動変容率”を実現したのか?」を具体的なノウハウを交えて説明します。

1つめに重要なのは、LIKEUP UXエンジンの中核機能であるレコメンドの性能です。私たちは、単に「おすすめの精度向上」をめざしているのでなく、最終的に便利、快適で楽しい未来の創出をめざし、エンジン自体の向上を日々行っています。

LIKEUP UXエンジンの性能説明図

具体的なレコメンド方法としては、ユーザーひとり一人のアプリの利用傾向やユーザーが登録した属性情報などからユーザーの価値観を捉え、同伴者やシーン・状況(現在地や時間、天候など)に合わせて、リアルタイムで望ましいレコメンドをすることが可能です。

LIKEUP UXエンジンによるレコメンド機能図

【行動変容の秘訣②】旅行体験全体をUXデザインとして設計

レコメンドエンジンの性能が良いだけでは、行動変容を起こすことはできません。性能を最大限に発揮するために重要なのが、深いユーザー理解でありUXデザインです。ユーザーが何に魅力を感じ、何を不便と感じるのか、そしてそれがいつ、どのような状況で発生するのかを、私たちサービス提供側が理解し、プロモーションからアプリのUI、機能、コンテンツに反映していくこと。これが行動変容を起こす秘訣の2つめです。 それでは私たちのUXデザインのノウハウを紹介します。

1)私たち独自のUXデザインの定義

一般的にアプリにおけるUXデザインとは、「アプリのユーザー体験」をデザインすることであり、アプリ自体の「使いやすさ」「心地よさ」「楽しさ」を企画・設計・UIに落とし込むことをさします。そのためアプリの利用前・利用後は考慮しません。

盛岡旅行のUXデザインをもとに各施策に落とし込む説明図

一方、私たちのUXデザインでは、「旅行自体のユーザー体験」をデザインすることと考えています。「次の連休に旅行をしよう」と思い始めた時から、旅行後に友人・知人に「盛岡良かったよ」と話したりSNSで発信したりといった行動までがユーザーにとっての旅行体験。この旅行体験そのものが「心地よい」、「楽しい」となるために、私たちが何をすべきかをデザインします。

このように考えることで、行動変容を起こすための施策を、アプリ内だけでなく、旅行全体に拡張し、様々な打ち手を企画・実行することが可能になります。

2)具体的なアウトプット

UXデザインでは、どのようなユーザーが、どのような旅をして、どのような不満や不便があるか、その解決方法は何か、というアイディアを創出し、望ましい旅行体験を明確にします。ユーザーの解像度を上げるために、3つのアウトプットを作成します。

a. ペルソナ

1つめは「ペルソナ」です。プロファイル(性別、年齢、職業、趣味など)に加え、その人の価値観や判断基準、ライフスタイル、ニーズ・ウォンツまでを具体的かつ詳細に定義します。

b. Before User Journey

私たち独自の取り組みとして、User Journey(ペルソナとして設定した人物の架空の旅行体験を時系列で表したもの)を「Before User Journey」「After User Journey」と2つに分けて作成します。

「Before User Journey」では、「もりおかめくり」を利用せずに旅行した場合の体験を時系列でまとめていきます。盛岡旅行の実体験やインタビューに基づき、物語のように詳細に記述することがポイントです。旅行者が、いつ、どのようなシーンで“不”の感情(不満、不便、不快など)を抱くのか、あるいは楽しいと感じるのかを洗い出します。

c. After User Journey

「After User Journey」は「もりおかめくり」と共に旅行した場合、どのように盛岡旅行体験が変わるのかを表したものです。「Before User Journey」で挙げた“不”の解消や“楽しさ”を知るために「もりおかめくり」がどのように貢献できるかを記していきます。

これらa~cの3つのアウトプットで最も重要なのは、企業目線にならないこと。あえてUser Journeyを2つに分ける意味もここにあります。Before User Journeyとして分けファクトベースで作ることで客観性を担保することが可能です。

以上が、UXデザインにおける私たちのノウハウです。

【行動変容の秘訣③】行動経済学に基づく施策

UXデザインによって、ユーザーにとって望ましい旅行体験を定義した後は、各施策の企画・実行プロセスに進みます。プロモーションやコンテンツ、レコメンド、アプリを通じて何をすべきかを検討し実行し、PDCAを回しながら、望ましい体験に近づけるサービスに仕上げていくことが私たちの取り組みです。

その際に、企画の良し悪しを判断する基準が、行動経済学のナッジ理論です。ナッジ理論は、科学的に証明された行動変容を促す手法であり、そのポイントをまとめたフレームワーク「EAST(4つのポイントEasy、Attractive、Social、Timelyの頭文字を取った造語)」を活用しながら、どう施策に落とし込めるかを考えて各種施策を企画・実行します。

  1. (1)プロモーション施策:Easy「コミュニケーションコストが低い手法を実施」
    プロモーション施策では、「Easy(簡単)」の考え方を利用します。例えば、「旅行を計画していない人」に対して、「旅行をしてもらう」ための広告をするよりも、「旅行を計画し始めた人」に対して「旅行するなら盛岡が良い」と思ってもらう方が、コミュニケーションが簡単(Easy)で、行動変容を起こしやすい。そのため後者のターゲットユーザーにアプローチできる広告媒体や手法を考えるのが、プロモーションでは重要となります。
  2. (2)コンテンツ制作:Attractive「美しい・魅力的に表現する」
    コンテンツ制作で重視するのが、「Attractive(魅力的であること)」。美しい写真などのビジュアル面と、魅力を伝えるためのスポット紹介の切り口にこだわることです。昨今のユーザーの傾向として、パッと見て自分の好みに合う/合わないを判断するため、「魅力的な(Attractive)ビジュアル」というのは重要性を増しています。
  3. (3)レコメンド・アプリ:Social「社会的関係の利用」
    LIKEUP UXエンジンのレコメンド・アプリでは、「Social」を社会的関係の利用(誰とどのような用事で旅行するのか)と考え、同伴者に応じたレコメンドができるようになっています。例えば、夫婦での旅行と子供を含む家族旅行ではスポット選択の判断軸は異なるもの。そのため、ユーザーの同伴者を踏まえて、サジェストやプッシュ通知を変化させることで、行動変容を起こすことを狙っています。
  4. (4)レコメンド・アプリ:Timely「タイムリーな情報提供」
    行動変容を起こすポイントの最後は、ユーザーの現在地や時間、天候などの状況を考慮して、タイムリーにレコメンドを行うことです。例えばユーザーが求める情報は、時間によって変化するため、適したレコメンドを行うことで、ユーザーの行動変容を促すことができます。

LIKEUP UXエンジンの展望

LIKEUP UXエンジンは、観光以外の生活シーンにも適用範囲を広げています。例えば、交通インフラ情報(渋滞情報など)とLIKEUP UXエンジンの連携によって、渋滞を回避しながら生活を楽しめるようなレコメンドが可能になります。今後、LIKEUP UXエンジンを活用してさまざまなシーンで、ユーザーにとって便利で快適、そして楽しい未来を創出していきたいと考えています。

LIKEUP UXエンジン活用シーン図

2025/03/31

  • ※ 商品およびサービスの内容は、予告なく変更する場合がありますので、あらかじめご了承ください。
  • ※「もりおかめくり」はNTTコムウェア株式会社の登録商標です。
  • ※「LIKEUP」、「UXエンジン」は、NTTコムウェア株式会社の登録商標です。
  • ※ その他、記載されている社名、商品名などは、各社の商標または登録商標である場合があります。

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