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機械学習分野のトップカンファレンス KDD2025にて川前徳章エバンジェリストの2論文採択・発表およびSession Chairとしての参画について

お知らせ 2025.08.27

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NTTドコモソリューションズのエバンジェリスト(データサイエンティスト)川前 徳章が、データサイエンス・機械学習系の国際的なトップカンファレンスである、KDD 2025※1において、論文が採択され、2025年8月3日〜8月7日にカナダ・トロントで開催された国際会議で発表を行ったことをお知らせします。

今回、川前エバンジェリストは2本の論文が採択されました。論文採択率が18%〜20%である本カンファレンスにおいて、単著でありながら複数論文が採択されることは稀有であり、非常に高い注目のもと以下の2本の論文について発表を実施しました。

また、川前エバンジェリストは、これまでのカンファレンスへの論文投稿、論文審査などの貢献からExcellent Reviewerおよび 、Area Chair(AC)としても選出されており、自身の論文発表だけではなく、第一線の研究者としてカンファレンスに積極的にかかわっています。さらに、今回のカンファレンスでは、Session Chair(SC)としても任命され、「Multimodal Data Processing」と「Language Model Applications and Innovations」のセッションを担当し、生成AIとして今後の発展が期待される最新のAIを含むデータサイエンス・機械学習技術の発展の場に大きな貢献をしました。

本カンファレンスにおけるSCは、自身の専門分野だけでなく、関連分野についても深い知識を持つ必要があります。発表内容の理解を深める質問を促し、発表者と聴衆の双方にとり有益な議論を生み出すことで、セッション全体の質を高めて成功させる役割を期待されます。 今回のSCの任命は、これまでの論文採択の実績だけではなく、論文査読やこれまでの本カンファレンスを通じての専門家としての活動が高く評価されたものです。

KDD 2025では、基礎研究のみではなく、レコメンドや広告配信、都市データ解析など実ビジネス応用を前提とした応用研究をテーマとした発表も豊富で、川前エバンジェリストの活動は、基礎研究と産業応用をつなぐNTTドコモグループとしてさまざまな事業へのAI展開にあたって重要な活動の一つとなっています。

NTTドコモソリューションズでは、川前エバンジェリストの活動をはじめとする、最先端のAI、データサイエンスに関する技術の知識と経験を活かし、最新のAI技術を、マーケティングや環境問題対策などの、社会やお客さまが抱える課題に対して最適な解決策を提供していきます。

※1Knowledge Discovery and Datamining (データマイニング国際学会)
KDD 2025 - KDD 2025 |トロント、カナダ
会議略称KDD 2025
本会議2025年8月3日-7日 カナダ トロント
発表論文タイトル①Knowledge-Aligned Domain Shift Tuning for Efficient
Adaptation in Large Language Models
発表論文概要①低リソース(計算資源や学習データが限られた環境)で大規模言語モデル(LLM)を特定の分野や用途に合わせる(ドメイン適合)ためには、通常Parameter-Efficient Fine Tuning(PEFT)という追加訓練を行います。本論文では、この追加訓練を、学習に利用したデータと適用先のデータ間に生じる知識のドメインシフトと解釈し、ネットワークモデルの挙動を理解するために「宝くじヘッジファンド仮説(Lottery Hedge Fund Hypothesis, LHFH)」を提案しました。この仮説では、汎用モデル内部に複数の知識特化サブネットワークが存在すると仮定し、それらを「投資対象」とみなし、重みづけを行い、選択的かつ動的に更新することでモデルの挙動を変化させると考えます。そして、この考え方に基づき、軽量で効果的な適応手法「Knowledge-Aligned Domain Adaptation(KADA)」も提案し、その効果を実験で検証しました。
発表論文タイトル②One-shot Multi-view Visual Conversational Recommendation
発表論文概要②LLMは、画像など異なる種類のデータも理解できる視覚言語モデル(VLM)へと進化し、これらモデルはファインチューニングにより推論性能をさらに高めることができます。本論文では、このVLMを用い、One-shot Multi-view Visual Conversational Recommendation(OSMVR)というフレームワークを提案しました。OSMVRは、レコメンドを推薦と嗜好推定のフェーズに分け、ユーザの履歴ではなくユーザの与える画像やテキストからユーザの嗜好をワンショットで推定し、その推定した嗜好を用いワンショットで推薦を実行します。各フェーズで1)複数視点から2)嗜好推定と推薦理由を提示し、3)Cold Start Problemの緩和※2を実施します。その結果、従来のレコメンドシステムの三つの課題を解決するとともに、レコメンドの説明性と精度向上をめざします。OSMVRをオンプレ環境で構築することで、ユーザ入力データの保護やプライバシリスクの低減も実現します。論文は、OSMVR向けに複数視点の推論性能の面でVLMの訓練手法として上記KADAをView Effective Fine Tuning(VEFT)と拡張し、その効果を実験で検証しました。
※2学習データが不足しているため予測やリコメンドの精度が低下する問題

■ 川前エバンジェリストプロフィール

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