NTT

工場等製造現場で利用されているアナログメーターを読み取り、AI判定、生産設備のシステムを自動制御
〜画像認識AI「Deeptector® 」新バージョン提供開始〜

ニュースリリース 2022.10.25


 エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:黒岩 真人、以下 NTTコムウェア)は、画像認識AI「Deeptector®」に、アナログメーターの値を読み取る新しい判定型を追加しました。すでに提供している判定型も含む「AIの判定結果」を「生産設備・制御システム」に送信して自動的に業務制御を行う「業務連携アプリケーション(AP)」をあわせ、10月26日から提供開始します。
 既存の生産設備・制御システムは電流・電圧による電気信号や人による操作を必要とするものが多く、AIの判定結果等との直接連携が課題となっていました。本アプリケーションにより、AIで判定した結果を、次のアクションとして直接電気信号にて送受信し生産設備を制御することが可能になります。

アナログメーター読み取り・AI判定・自動制御の全体概要
アナログメーター読み取り・AI判定・自動制御の全体概要


アナログメーターの読み取りイメージ
アナログメーターの読み取りイメージ


 工場等製造現場では老朽化する設備の稼働率の維持、作業員の高齢化や人材不足が課題となっており、設備保全、点検業務は大きな負担となっています。「高所等危険個所のメーター検針にも人手で対応している」、「遠隔地や点在する多くのアナログメーターの点検に手間がかかる」という企業の声を受け、NTTコムウェアではそれらの負担軽減に向けて、人の目に代わる画像認識AIによる業務の代行に着目しました。アナログメーターは、IoTやAI等を活用した自動化やデジタル化も求められていますが、デジタルメーターへの切り替えには、調達コスト以外にも周辺機器、既存システムとの連携などのコストもかかります。そのため、工場等製造現場においては、依然としてアナログメーターや電気信号による制御が必要な設備も多く、実業務へのAI導入のハードルとなっています。NTTコムウェアは、製造業界やインフラ設備業界の企業と共にAIの実業務適用に向け検討・検証を重ねてきました。それらの検証に基づき、工場等製造現場やインフラ設備の保全点検業務のニーズにフィットした画像認識AI「Deeptector」の新サービスを提供します。

■ アナログメーターを読み取り設備保全・点検をDX化する「アナログメーター読み取りサービス」
アナログメーターの示す値を画像認識AIによりデジタル化することで設備保全・点検の負担を軽減します。

■ AIの判定結果を業務でダイレクトに“使える”仕組み「業務連携アプリケーション」
「AI判定結果」にもとづき「人手による操作が必要な既存の生産設備・制御システム」の自動制御を実現します。「AI判定結果のデータを扱うシステム」と「既存の生産設備・制御システム」は通信プロトコルが異なるため、自動制御するには、それらを仲介するアプリケーションが必要となります。「業務連携アプリケーション」は、多くの生産設備自動制御のデファクトスタンダードとなっているModbus*1などに対応し、AIの判定結果を生産設備・制御システム等に操作指示する汎用的な制御信号に変換するため、人手を介さず自動的なオペレーションが可能となります。

本サービスにより以下の価値を提供します。
● 設備保全・点検業務の高度化を実現
目視による点検を自動化することでアナログメーターの読み間違い・見落とし等のヒューマンエラーを防止します。また、作業員が検針・点検等のため危険箇所や遠隔地まで出向く必要がなくなるため稼働削減はもとより、人身事故撲滅に向けた効果も期待できます。さらに、人手による「定期」点検ではなく「常時」点検が可能となり、不具合を早く検知して対応可能になる等、より高い品質での設備保全・点検業務が実現できます。
● プロアクティブな設備保全が可能に
アナログメーターの読み取り値や画像をデータ化して保存することにより、月次・年次やライン毎・ビル毎等、長期トレンドの分析が可能になります。分析によりプロアクティブな設備保全や補修計画に反映、早期に生産ラインの点検・確認・調整することにより設備稼働率の維持、さらなる生産性向上・設備の有効利用につなげます。
● ノータッチオペレーションも可能に
AIが判定した製品・設備の状況をもとに「業務連携アプリケーション」が自動的に判断し、生産設備や制御システム等に対応した形式に変換した電気信号を送受信し制御・操作を可能にすることで、人手を介さないノータッチオペレーションも可能となります。

 NTTコムウェアは、今後、画像認識に加えて、センサーデータ等、他のデータとも組み合わせた総合的なAIサービスとしての拡充を図り、AIの幅広い普及による企業のデジタルトランスフォーメーションの推進に貢献します。

※本サービスについては2022年10月26日〜10月28日に幕張メッセで開催される「AI・人工知能EXPO 2022」に出展予定です。
【主催社サイト】 https://www.nextech-week.jp/autumn/ja-jp/about/ai.html

*1 Modbus(モドバス):米Modicon社が制御装置「プログラマブルロジックコントローラ(PLC)」向けに定めた通信プロトコル。


NTTドコモ、NTT Com、NTTコムウェアは、新ドコモグループとして法人事業を統合し、新たなブランド「ドコモビジネス」を展開しています。「モバイル・クラウドファースト」で社会・産業にイノベーションを起こし、すべての法人のお客さま・パートナーと「あなたと世界を変えていく。」に挑戦します。
https://www.ntt.com/business/lp/docomobusiness.html


別紙

画像認識AI「Deeptector」新サービス概要

1.Deeptector概要
Deeptectorは、深層学習 (Deep Learning) を利用した 画像認識AI です。点検や検査など、人の「目」による判断を AI が代替することで、業務課題を解決します。画像認識AIの利用に必要な教師データ作成、学習、判定の一連の機能を、利用企業の専用環境にインストールして利用する「インストール版」、インターネット上で利用する「クラウド版」としてサービス提供しています。

2.新サービスの特長
(1)アナログメーターを読み取り設備保全・点検をDX化する「アナログメーター読み取りサービス」
以前より提供していた「物体検出型」「分類型」「レベル判定型」「正例判定型」「領域検出型」の5つの判定型に「アナログメーター読み取り型」を追加し、サービス提供可能になりました。製造業の工場にある機器類のメーター(化学工場等の窒素圧力測定、ガス圧力測定 など)、プラント(ガス、発電、水など)に大量にあるアナログメーターなどを主な対象にしています。メーターの値を画像認識AIによりデジタル化することで人手による設備保全・点検業務の負担を軽減するとともに、高所や低温高温等危険な場所の点検業務での活用による安全性の向上や、メーターの読み間違い等ヒューマンエラーの低減、改ざん防止などの効果も期待できます。

(2)AIの判定結果を業務でダイレクトに“使える”仕組み「業務連携アプリケーション」
Deeptectorの判定結果を外部で利用するための仕組みとしてはAPI*2機能を提供し、Webサービスの標準的な方式であるREST*3というインターフェースを用いてJSON*4というフォーマットで連携しています。しかし、工場等現場で使われている既存の生産設備・制御システムは多くの場合、電流・電圧による電気信号で制御されているため、API機能を用いての直接連携は困難です。Deeptectorは、AIの判定結果をもとに次のアクションを判断し、生産設備と電気信号を送受信できる「業務連携アプリケーション」を、Deeptectorライセンスとは別契約として提供します。

*2 API(Application Programing Interface):異なるソフトウェアやアプリケーション間で機能や情報を連携するための仕組み。
*3 REST(Representational State Transfer):Webサービスが提供するURLにHTTPプロトコルでアクセスすることでデータの送受信を行う方式。
*4 JSON(JavaScript Object Notation):プログラミング言語を問わずデータ連携に用いることができるテキストベースのデータ交換フォーマット。


図1.業務連携アプリケーションを組み合わせたAI活用業務の詳細イメージ
図1.業務連携アプリケーションを組み合わせたAI活用業務の詳細イメージ

<使用例>
1.カメラで撮影したアナログメーターおよび製造ラインの製品等の画像・動画を産業用カメラで撮影
2.撮影取得した画像・動画をAIに入力する
3.入力された画像・動画をもとに画像認識AI「Deeptector」が製造ラインや設備の変化を判定する
4.AI判定結果を「業務連携アプリケーション」に通知する
5.「業務連携アプリケーション」ではAI判定結果をもとに組み込んだロジックに従って「不良品が発見されたら製造ラインを停止する」「メーター読取り値の電圧が閾値を超過したら製造ラインを停止する」といった制御命令に変換し外部デバイス連携機器*5に送信する
6.アナログ電気信号に変換された制御命令を生産設備・制御システムへ送信する
7.逆に、生産設備・制御システム側の状況や生産する製品の変更にあわせてAI側で利用する学習済みモデルを変更するなども可能
8.「業務連携アプリケーション」は設備側からの情報をAIに反映させる
*5 外部デバイス連携機器:製造業等の設備を制御に広く使われているPLC(プログラマブルロジックコントローラ)等

3. 料金
別途お問い合わせください。
「アナログメーター読み取りサービス」の利用には、Deeptectorのオプション契約(有償)、
「業務連携アプリケーション」は、Deeptectorライセンスとは別契約(別途見積)となります。

4. 提供開始日
2022年10月26日(水)

5.商品ホームページ
https://sc.nttcom.co.jp/ai/deeptector/
※「Deeptector」はNTTコムウェア株式会社の登録商標です。
※その他、記載されている会社名、製品名、サービス名は、各社の商標または登録商標です。

このページに掲載されている情報は、発表日時点のものです。
現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、
あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。