2017年11月29日、NTTコムウェアは、「想像を超える未来を協創しませんか」をテーマに、品川シーズンテラスにおいて「NTT COMWARE’S DAY 2017」を開催しました。基調講演では、株式会社ロボ・ガレージ 代表取締役社長 高橋 智隆 氏をお招きし、「ロボット時代の創造」と題し、ロボット開発の現状と展望について、高橋氏が制作したロボットのデモを交えて、ご講演いただきました。NTTコムウェア社員による講演会では、NTTコムウェアの事業戦略をはじめ、現在注力しているAIやDevOps、セキュリティーについて解説しました。
NTTコムウェアの今後の取り組みについて
代表取締役社長 栗島 聡
おかげさまでNTTコムウェアは今年で20周年を迎えることができました。
NTTコムウェアはNTTグループの中核企業として、ICTで社会を変えるビジネスインテグレータを目指しています。NTTグループが推進しているB2B2Xのビジネスモデルの中で、NTTコムウェアはデジタル技術でビジネスとビジネスをつなぎ、さまざまなパートナーの方々と協創することにより、新しいビジネス価値を創造してまいります。
具体的には、corevo®等の最新の技術やNTTグループの持つ「アセット(資産)」を活用し、ビジネス価値の源泉となる多様な「データ」の収集と分析・活用、そしてお客さまのデジタルビジネスを実現する「アプリケーション」を提供していきます。これまでNTTグループを中心に、数多くのお客さまのITを支え、培ってきたNTTコムウェアの強みを活かし、新たなビジネス価値をNTTグループやお客さまとの協創を通じて、提供していきたいと思います。
今後は、「住」「働く」「スポーツ・観光」「金融・決済」の4つのドメインに注力するとともに、社会の発展と安定の礎を支える社会インフラにも積極的に取り組んでいきます。
また、NTTコムウェアは、スポーツ支援を通じた社会貢献を進めており、「シンボル選手」制度を立ち上げ、社内外で「応援の輪」を広げています。
想像を超える未来を協創しませんか――。
皆さんとともに考え、ともに動くことでNTTコムウェアは新しいビジネス、新しい社会を作っていきたいと願っています。
デジタル・ワークプレイスの未来
= AI同士で業務を進める世界の始まり =
ビジネスインキュベーション本部
担当部長 箕浦 大祐
ここ数年、人工知能(AI)の進化は目を見張るものがあります。AIは、一般的に特化型AI(弱いAI)と汎用型AI(強いAI)に分類されます。Googleが開発した囲碁AI「AlphaGo」が今年宣言したように、特定の目的を達成するための特化型AIは、いままさに普及の段階に来ています。
NTTコムウェアでも、画像認識AIとチャットボットAIを活用したデジタル・ワークプレイス変革に取り組んでいます。2017年3月に画像認識AIである「Deeptector®」インストール版、6月にクラウド版、11月に産業用エッジAIパッケージを発売しました。チャットボットAIについては、ビジネスメッセンジャー「シャナイン®TALK」に擬人化したAIを組み込んだり、過去の会話ログを参照して質問に回答するナレッジマネジメントへ応用するなど、さまざまなビジネスシーンに役立つ商品開発を進めています。
一方で、実業務は複数のシーンの組み合わせのため、特化型AI単体では実業務全体をカバーすることができません。従って、個々の特化型AI同士を連携させることで全体をカバーする取り組みも始まっています。
例えば画像処理と自然言語処理を組み合わせ、一連の業務を自動化すれば、サービス自身の高度化が可能となります。銀行の窓口業務を想定したテストケースでは、窓口にあるさまざまなタイプの帳票をチャットボットAI経由で画像認識AIへ送信して分類します。その後、RPAで処理し、その結果をチャットボットAIが行員に伝えるといった連携を図っています。
ワークプレイスにおいては、担当者のみならず、管理職や事業責任者などさまざまな立場の人々と、多様な業務システムが事業を支えています。ワークプレイスのデジタル化に向けて、人々やシステムをつなぎ業務を効率化する観点からAIによる支援を考える必要があります。その変革のポイントは、「会話型プラットフォーム」、「インテリジェントなアプリとアナリティクス」、「クラウドとエッジ」です。NTTコムウェアは、画像認識AIとチャットボットAIを活用し、ビジネスパートナーとの連携によるエコシステムの構築へとつながるように、デジタル・ワークプレイスの実現に取り組んでまいります。
[ 画像認識AI「Deeptector®」 ]
AIを活用した業務システムを開発、運用するための画像認識AIで、Deep Learningを利用しています。インストール版、クラウド版、産業用エッジAIパッケージ版の3つをラインアップし、それぞれ連携させて利用できます。
= ビジネスの破壊と創生 =
イノベーションを流通するDX時代のクラウドとは
ネットワーククラウド事業本部
DevOpsエバンジェリスト 加藤 稔
デジタルトランスフォーメーション(DX)によって産業は大きく変化しています。ネットを利用したタクシー配車の仕組みを作ったUBERや、民泊の仕組みを作ったAirbnb。その影響力をまざまざと見せつけられ、世界中で「こんなビジネスが100も1000も生まれたら産業構造は変わってしまうのではないか」という脅威を感じ、震え上がったのです。このような状況下で一番やってはいけないことは様子見です。手をこまねいていると大切な時間を失ってしまうことになります。
これまでの企業は、計画をまずタイムテーブルにプロットしてからビジネスの開発を始めていました。しかし、DX時代はまずはPoC(概念実証)でビジネスを可視化し、戦略やマーケティングにフィードバックします。このようなスピードに対応するITシステムを構築するには、長大なリードタイムを要するオンプレミスの設備ではなく、クラウドに集中させるのが効率的です。
そこで、このようなビジネスのアジリティを高めるDevOpsが支持されるようになりましたが、具体的にはどうすればよいのでしょうか。NTTグループが価値発揮を求められているB2B2Xモデル。これは3つのDevOpsが含まれています。まずはB2B部分でのDevOpsとB2X部分でのDevOps。しかし実はこのモデルにはその2つのDevOpsを統合する、大きなビジネスコラボレーションのDevOpsが必要です。
ところが、2つのDevOpsを連携させて、1つの大きなビジネスコラボレーションのDevOpsに仕立てることは、決して容易ではありません。もし一方のDevOpsが他方のアジリティを下回っていたら、ビジネスがまったく進まないことになりかねないからです。
では、どうすればDevOpsを成功に導くことができるのでしょうか。皆様もうすうす気づいているでしょうが、実のところ答えなどありません。各企業が自社のビジネス効率がもっとも高くなるプラクティスを自分で見つけ出していく必要があるのです。DXに向けてさまざまなことにチャレンジし、改善、フィードバックを繰り返していくしかありません。NTTコムウェアでは、それに必要なイノベーションを支援できるよう、開発環境クラウドDevaaS 2.0をご提供し、お客さまのDX実現をサポートします。
[ SmartCloud® DevaaS 2.0 ]
DevOpsを実践するためのプラットフォーム。サービスを利用するだけで、すぐに仮想デスクトップやCI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デリバリー)ツール、仮想サーバーが提供され、DevOpsに対応できる開発環境を利用できます。30以上のOSS(Open Source Software)に対応しています。
= 高度化するサイバー攻撃への対策 =
インシデント対応事例とセキュリティー人材育成
ネットワーククラウド事業本部
担当課長 松岡 浩平
現在は、サイバー攻撃そのものがビジネスとして成立している時代です。すでにサイバー上で闇市場ができあがっており、盗まれた個人情報やクレジットカード情報、サイバー攻撃を代行するサービスまでもが売買されています。
一方、守る側はどうなのでしょうか。基本的には、ウイルスの侵入を水際で止める境界防御という考え方がセオリーといえます。ファイヤーウォール、IPS/IDS(不正侵入の検知、防御)、WAF(Webアプリケーションファイヤーウォール)などのセキュリティー機器を置いて多層防御を敷き、内部の情報資産を防御します。ただし、これだけの対策を打っても攻撃を回避するのは容易ではありません。こちらの穴をふさげば、別の穴を探すというように、いたちごっこが起きているという状況です。さらに、防御側では管理するべきネットワークが増加し、ビジネスのサイクルも早くなり、ITシステムは次々と変化するという、非常に守りにくい状況が生じています。
NTTコムウェアでは、昨年サイバー攻撃の高度化に対応するためのSOC(セキュリティーオペレーションセンター)と、レスキューチームとしてCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を組織しました。まずは、WAFでWebアプリケーションへの攻撃を防ぎます。WAFで対処できなかったところはSOCによる人間の目で対処しています。万が一それでも攻撃者が突破してきた場合は、CSIRTが迅速に対応します。このチームはインシデントが発生したときだけ活動するわけではなく、常日頃から情報収集を行い、新しい問題が出ていないかを調査しています。
このような対策をしていて強く感じるのは「人が重要」ということです。最近ではAIがセキュリティー分野にも取り入れられていますが、まったく未知の攻撃が現れたときに最終的に守る上で最も信頼できるのは人間の判断です。常日頃から備え、不測の事態に備えることが重要なのです。
[ SmartCloud® クラウドWAFオペレーションサービス ]
Webアプリケーションを防御するWAFをクラウドサービスとして提供します。さらにSOCのスタッフがWAFを突破したサイバー攻撃を検知するという二段構えのセキュリティーサービスです。
展示会
展示会では、住、働く、スポーツ・観光、金融・決済、社会インフラ、基盤技術というコーナーを設け、それぞれの分野でのNTTコムウェアの注力ソリューションの展示、デモを行いました。
20周年を迎えNTTコムウェアは、次の10年をめざして、新たな歩みを始めます。これからもNTTコムウェアの事業、サービス、ソリューションにご期待ください。
2018/1/17
- ※商品およびサービスの内容は、予告なく変更する場合がありますので、あらかじめご了承ください。
- ※「Deeptector」、「シャナイン(Shanaing)」、「SmartCloud(スマートクラウド)」は、NTTコムウェア株式会社の登録商標です。
- ※「corevo」は、日本電信電話株式会社の登録商標です。(http://www.ntt.co.jp/corevo/)
- ※その他、記載されている社名、商品名などは、各社の商標または登録商標である場合があります。
- ※所属部署、役職等については、取材当時のものです。