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Scrum Fest Osaka 2021講演リポート
Scrum Fest Osaka 2021講演リポート

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2021年6月25日・26日の2日間、Scrum Fest Osaka 2021がオンラインで開催された。このイベントは、スクラムやアジャイルプラクティスに関心が高いユーザー企業やIT企業から集結したエキスパートや初心者たちが、自らの知識や情熱を共有するために活発な議論を行う場である。NTTコムウェアからは瀬賀剛がセッションスピーカーとして登壇し、全社へのアジャイル推進活動で見えてきた現場のリアルな悩みと対処策を紹介した。(講演資料はこちら)※外部サイト

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アジャイル推進組織の管理者に降りかかるリアルな悩み…の前に、
そもそもどんな組織?

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NTTコムウェア
NTT IT戦略事業本部
担当課長
瀬賀 剛

2013年頃、NTTコムウェアでは年間200を超える大小さまざまなウォーターフォールのプロジェクトがあり、多種多様な開発が同時並行で進行する中で、アジャイル開発への取り組みが始まった。今では商用リリースした案件数も大きく増えたが、当時はアジャイルの経験者はごく少人数に限られており、本気でアジャイルに取り組むプロジェクトがでてくる一方、本来のアジャイルの定義からはずれた案件をアジャイルと呼んでしまうようなことも時には見受けられた。
また、アジャイル開発案件が増加した際に、有識者がフォローしないとチーム内だけでは解決できない課題が出てくること、そして、チーム外で会社の制度や仕組みを変えないと生産性が上がらないという全社的な課題が出てくることが想定された。そこで会社として、アジャイルの啓蒙活動を行いながら、サポートできる組織があるべきだという判断がされ、2016年にアジャイル推進組織が発足した。

アジャイル推進組織は、社内のスクラムチームや提案チームを下支えする活動全般を担っている。案件個別課題(チーム内)解決のための活動として、アジャイルコーチとしてスクラムチームに入り、提案の支援、案件のリスクチェックなどを行う「案件支援」、チーム立ち上げ時の研修、リーダー育成などを行う「人材育成」がある。また、全社課題(チーム外)解決のための活動として、ガイドラインやリリース承認ルールなど「ルール・制度整備」、ポータルサイト運営やイベント開催などを通じた「情報展開」などを行っている。

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動き始めたアジャイル推進組織、頭を抱えたリアルな悩みの一部をご紹介

2016年にアジャイル推進組織は発足したものの、その運営には悩みがつきまとった。

悩みその1)限られたメンバーと時間で、何をどこまでやるべきか

アジャイル推進組織の立ち上げは5名でのスタート。その後メンバーは増えたが、現場のチーム内外に向けてサポートするべきことが数多くあり、たくさんのアジャイル支援案件には対応できない状態だった。

【対処】
まずは成功体験

立ち上げ初期は、申し訳ないが、深い協力関係を築けると判断した特定チームに集中して、自信・実績・仲間を作り、成功体験・事例を積み重ねるようにした。

そして割り切り
支援案件が増えてきた際は、「スクラムのプロセス」「お客さまへの啓蒙」など根源的な部分の支援に集中し、ツールの整備など手段に対してはベストエフォートで対応した。

悩みその2)一緒に推進したいのに、現場と距離感

さまざまな事情により、多くの制約を抱えたままアジャイル開発に取り組まざるを得ない場合が多い。アジャイル開発という名目のみを必要としているケースもあった。そのため現場は、アジャイル推進組織からのアドバイスが重荷になり「事情をくんでほしい」「正論はいらない」「解決策の答えだけ教えてほしい」などの意見を受け、気まずい関係に追い込まれることもあった。内心そっとしておきたくもなるが、会社としてはそうもいかない。

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【対処】
リスクチェックの制度化

どんな事情があっても会社としてリスクは確認すべきなので、必ず案件開始時にアジャイル推進組織及びプロジェクトマネジメント組織が、最低限必要となるリスクチェックをすることを制度化した。これにより、アジャイルではあり得ない期間や体制、リリース計画が判明することもあり、改善を促すことでリスクを回避。トラブルの水際防止として大きな効果があった。
また、アジャイル推進組織側もさまざまなケースに対応することで、実情を確認するための質問力・指導力がつくなど、アジャイル推進組織自身の成長にもつながった。

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悩みその3)アジャイル推進組織の人材の確保と育成が大変

多くの大企業も似ているかもしれないが、NTTコムウェアでは、通常の異動はもちろん、若手社員のローテーション人事(配属された若手社員が数年後に必ず別の部署に異動する)や昇格に伴う異動などで人が入れ替わる。そのような中でどうやってアジャイル推進組織の人材育成を行うのかが課題になった。
また、アジャイル推進組織が立ち上がったといっても、アジャイルの経験が豊富な人がアサインされたわけではない。未経験者や若手が配属される中で、アジャイルコーチやさまざまな変革を促せる人材をどう育成するのかが悩みだった。

【対処】
社外のアジャイルコーチを招く

当たり前だが、育成と称して、かわいい子にただ現場へ旅立たせるのは無理がある。そこで、社外のアジャイルコーチを招き、相談する、同行して手本を見せていただく、トレーニングしてもらうなど、アジャイルでよく言われる理解と習熟のステージである「守破離」(師からの教えを守り、基本を元に新たに学び、そして自信のやり方を身に着けること)をめざした。

仮想案件で経験を積む
極力短期間で最低限必要な経験を積めるようにするため、社外のコーチのアドバイスを受けながら仮想案件にてトレーニングを実施した。トレーニングを実施するロケーション、期間、開発テーマの選び方等を試行錯誤しながらの実施だったが、通常の業務と切り離してトレーニングに集中できる環境を作る重要性を確認できるなど、貴重なノウハウを蓄積することができた。

悩みその4)アジャイル開発に適した制度を整備するには?

意思決定や資産化などウォーターフォール開発向けに最適化された制度がスクラムチームのアジリティを阻害する要因になり、現場が苦しんでいた。とはいえ、現場とアジャイル推進組織だけでは制度の課題は解決できない。

【対処】
関連組織の仲間への引き込み・共創

制度の主幹である知的財産、調達、営業企画、財務、法務、プロジェクトマネジメントなど、関連する人たちを仲間に引き込み、アジャイル開発に関する理解を深めながら制度改善に取り組んだ。制度改善には時間がかかり、現在も改善活動は続いている。

悩みその5)アジャイル開発向きの品質保証のルールとは?

ウォーターフォールとアジャイルで、バグの捉え方なども異なり、同じ考え方で品質を保証するのは無理がある。ウォーターフォールでは大量の過去の実績データを参考にして判断できるが、アジャイルにはまだデータが少ない上、どんなデータを収集・分析するかも手探りの状況である。アジリティを損ねないためにも、適切なデータを、極力手間をかけずに収集・分析する仕組みも必要になる。これらについては、多くの新しい試行を重ね、模索を続け、将来に向け知見を積み上げている状況にある。詳しくは伊山のセッションで解説をゆだねたい。

アジャイル開発における「品質」に関する問題は別記事にて詳しく解説

アジャイル推進組織と共に、今の時代に変革するチャンス

アジャイル推進組織の活動は2021年で5年目となる。この期間でもアジャイルにまつわる課題は変化し続け、活動はまだ道半ばと言える。
しかし、NTTコムウェアの変化をつぶさに見ていくと、アジャイル推進組織を設立し、活動を続けたことは大きな意味があった。
苦労も多く落ち込むこともあったが、今では単独チームで解決できないことを他のチームが協力して解決したり、アジャイル開発者同士が自発的に横のつながりを持ったりするなど、アジャイル推進組織が関与しないところの活動も盛んになってきた。アジャイル開発は着実に会社に根付き始めていると言える。

特にウォーターフォール時代に作られた多くの制度を持つ企業にとっては、制度そのものをアジャイルに合ったものに変革するチャンスが今まさに訪れている。
ぜひアジャイル推進組織を作り、組織が中心となって変革を進めることで、このチャンスをものにしてほしい。また、このようなコミュニティイベントで、推進組織の輪を広げたい方などと交流して大変さを分かち合っていきたいと思う。

2021/08/25

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