国立大学法人長崎大学
株式会社溝田設計事務所
公益財団法人長崎県建設技術研究センター
NTTコムウェア株式会社(以下 NTTコムウェア)、国立大学法人長崎大学(以下 長崎大学)、株式会社溝田設計事務所(以下 溝田設計事務所)、公益財団法人長崎県建設技術研究センター(以下 長崎県建設技術研究センター)は、橋梁維持管理における診断業務の高度化をめざした連携を開始しました。2025年4月〜5月にかけて、長崎県内の13橋梁を対象に、点検データを基に生成AIを活用して橋梁の健全性や所見などの診断結果案(以下 診断案)の作成を行う実証実験を実施し、その有用性を確認しました。本技術により、橋梁診断業務の効率化や技術継承、修繕コスト最適化に貢献し、将来的にはメンテナンスサイクル全体をカバーした効率的な橋梁維持管理の実現をめざします。

実証実験での評価イメージ
全国の橋梁は急速に老朽化が進行しており、全国約73万橋のうち約59%が2032年度には建設後50年以上経過するといわれています。※1 橋梁の安全確保のために5年ごとの定期点検が求められており、その対象となる年間約15万橋の橋梁を診断するためには多くの技術者が必要となります。また、道路橋定期点検要領が2024年に改訂され、新様式では診断品質の均質化や診断根拠の記録詳細化、損傷進行状況や第三者被害リスク等もふまえた技術的見解の記述が求められるようになりました。そのため橋梁診断に必要となる時間が増加し、熟練技術者のスキルがより一層求められることとなり、診断業務の効率化と技術継承が喫緊の課題となっています。
このような背景のもと、社会インフラメンテナンス総合支援ソリューション「SmartMainTech®(スマートメインテック)※2 」を展開するNTTコムウェアと、長崎大学、溝田設計事務所、長崎県建設技術研究センターは、持続可能な橋梁の維持管理という社会課題解決に向けて、産官学連携で橋梁診断業務を対象とした実証を行いました。長崎大学総合生産科学研究科(工学系)の山口浩平准教授は、橋梁メンテナンスの知見や診断ノウハウをもとに本実証の監修を行っています。
本実証では、長崎県内の橋梁を対象に、株式会社NTTドコモ(以下 NTTドコモ)が開発したAIエージェントによる新様式の調書の診断案作成を行いました。
生成AIを活用して診断案を作成することで、まず、橋梁診断が効率化され、技術者の業務負荷が軽減されます。さらに、熟練技術者でなくとも一定の水準で診断を実施できるようになることで、技術継承の課題解決につながります。また、診断結果の均質化を通じた修繕コストの最適化も可能となります。
実証実験では、橋梁の点検調書に記載された損傷の種類や箇所、進行度等のデータをインプットとし、橋梁メンテナンスの知見、診断ノウハウや点検要領を参照情報として、AIエージェントによって診断案を作成しました。1橋あたりの診断にかかる作業時間の57%が削減されることが確認でき、ノウハウの継承・技術者育成の観点でも本技術を活用可能であること、診断結果が均質化されることで補修判断の適正化や修繕コスト最適化につながる示唆が得られることが評価されました。

AIエージェントの適用イメージ
今後は、今回実証の診断業務に加え、修繕計画策定支援や劣化予測AI等による予防保全など、“点検・診断・措置・記録“の橋梁メンテナンスサイクル全体で蓄積したデータの分析・活用を進め、ライフサイクルコストのさらなる最適化をめざします。また、NTTコムウェア・溝田設計事務所・長崎大学は 、持続可能な橋梁維持管理の実現にむけ、全国の自治体への展開に取り組みます。
※1 | : | 国土交通省「老朽化対策の取組み」 https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/torikumi.pdf |
※2 | : | SmartMainTechについてはこちらをご覧ください。 SmartMainTechは、NTTコムウェア株式会社の登録商標です。 |
別紙
実証実験の概要
● | 時期 | 2025年4月〜5月 |
● | 実証対象 | 長崎県内の橋梁(13橋梁) |
● | 目的
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● | 対象業務と課題
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● | 実証内容
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● | 4者の役割
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● | 本実証に利用した技術
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● | 実証結果
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