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かしこい生き方のススメ
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プロフィール

童門冬二(どうもん・ふゆじ)
本名、太田久行。1927年東京生まれ。東京都庁に勤務し、都立大学事務長、企画関係部長、知事秘書、広報室長、企画調整局長、政策室長などを歴任後、退職。作家活動に入る。第43回芥川賞候補、1999年勲三等瑞宝章受章。『小説 上杉鷹山』(集英社文庫)、『「情」の管理・「知」の管理―組織を率いる二大原則』(PHP文庫)、『戦国武将に学ぶ「危機対応学」』(角川SSC新書)、『黒田官兵衛―知と情の軍師―』(時事通信出版局)など著書多数。

前回から作家の童門冬二さんにご登場いただき、歴史上の人物を通して、現代のビジネスの在り方を模索している。第1回は、「個の力を引き出すリーダーシップ」として、松陰、信長、に学んだ。続く2回目は、「変化を読む力、スピーディーな対応力」をテーマに、お話を伺った。

「文化」「経済」という新しい風が「楽市楽座」を生んだ

― 現代も、大きな変化を感じる時代ではありますが、歴史上にも特に大きな波が押し寄せてきた時代があります。

やはり、信長、秀吉、家康の時代は、変化に富んだ時代ですね。
特に信長は、若い頃から尾張の城下町を歩きながら、旅人と見ては捕まえて「どこから来た?」「何しに来た?」と情報収集に余念がありませんでした。信長は、生来、好奇心の固まりのような人物ですが、そうやっていろいろな人から話を聞けば、小規模ではあっても、ある程度、日本人のニーズのコンパクトなものがつかめるでしょう? マーケティングですね。そして、時代の空気を感じとり、次の時代はどうあるべきかを考えるわけです。
信長がいよいよ天下を取って世の中が次第に落ち着いてきた頃、彼は土地一辺倒の価値観が変化してきたと感じるのです。その頃、日本人にとって市場価値があるのは土地だけですから、給料に当たるものも何石とか何万石とかいった土地で与えていましたね。ですが狭い国土では、いずれ続かなくなるとも考えていましたし、また民衆のニーズも違ってきているというようだとも感じた信長は、堺に向かいました。以前、鉄砲を買いに行った、進取の気質に富む場所です。

堺には大名というものはおらず、36人の商人が会合衆(えごうしゅう)、今でいうところの市議会のような組織をつくって町を管理運営していたわけです。商人たちは分担金を出し合って、防衛のための侍を雇ったりもしていました。信長はそれを見て、面白いことやってるじゃないか、と興味を持つんですね。そして、そのバックボーンにあるものが何なのかを見極めたくて、千利休に会ったのです。当時、千利休はすでに茶人として名をはせていました。 利休は、ではお茶をたてましょうと言って、自分の粗末な茶室に案内します。そして信長をにじり口に案内します。にじり口と言ったって穴のようなものです。それを天下の信長にくぐれ、と言うわけです。信長は「利休、立ったままでは入れないぞ」利休が「では身をおかがめください」「利休、刀を差していては入れないぞ」「ではそれは抜いて、森蘭丸さまにお預けください」となったのですね。 信長は言われるままに入っていったところ、利休が「お抜けになりましたな」と言うのです。信長は「狭くて、おでこをぶつけたぞ」「それはお気の毒。ただ、あなたがにじり口からお入りになったことによって、あなたの肩書から二行、字が消えました」と応じました。「何が消えた?」と聞くと、「まず、天下人という肩書が消えました。それから織田日本株式会社という所属が消えました。ですから残っているのは、ただの人間、織田信長さまです」と答えたのです。

― やりとりが目に浮かぶようですが、そんな大それたことを利休はよくやってのけ、信長はよく許しましたね。

そうでしょう?(笑)この時の記録によれば、千利休の屋号は「とと屋」、つまり魚屋です。一介の魚屋が、天下人に向かってどうしてこんな大口をたたけるんだと信長は考えます。
利休は「ただの人間、織田信長さまに、ただの人間、千利休が、お茶をたてさせていただきます。お気に召したら『利休、結構な手前であった』と、こうおっしゃっていただければうれしく存じます」と言うのです。そこで信長は「なるほど利休という人間のバックボーンは茶道という道、文化だ」と悟るのです。そして、戦いが終わって世の中が安泰になれば、生活者の生活用具、衣食住の中に、文化という付加価値が加わったところに価値観がシフトしていくだろうと考えるのです。新しい風を察知して、信長は迅速に次の手を打っていきます。

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