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第36回IT戦略総合大会 セミナーリポート
第36回IT戦略総合大会 セミナーリポート

アスファルト舗装道路を効率よく点検するために開発された「smart路面点検サービス」。ニチレキ・NTT東日本・NTTコムウェアの3社がそれぞれの強みを持ち寄って共同開発されたこのサービスは、AI・IoT の導入により点検作業の効率を高め、従来に比べ60%のコスト低減を実現した。公益社団法人企業情報化協会(IT協会)が選定する「2020年度(第36回)IT賞」(社会課題解決領域)を受賞した本サービスについて、2021年2月に開催されたIT戦略総合大会2021での発表から紹介する。

サービスの特長1 3社の強みが合わさって実現したソリューション

サービスの特長2 AI・IoTの機能を十分に活かしてコストと手間を削減

サービスの特長3 重要な社会インフラである道路の修繕品質を高いレベルに引き上げ

年々難しくなるアスファルト道路劣化への対応

アスファルト舗装された道路には寿命があり、使用頻度と時間経過で劣化していく。そのため計画的な点検とメンテナンスが必要とされる。点検とメンテナンスが不十分な場合、道路に大きな破損が起こり、道路全体の寿命を縮め、交通事故の原因ともなる。
点検は「路面性状調査」と呼ばれ専用の「路面性状測定車」を用いて行われる。路面性状測定車は公的機関の試験に合格した信頼性の高い車両で、安定した精度を持って、点検作業を進めることができる。ただ、手間とコストが大きなネックとなっている。

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中村 隆幸
NTTコムウェア株式会社
ビジネスインキュベーション本部
担当課長

「路面性状測定車での点検には相応のコストがかかるため、地方公共団体では地域で重要度の高い幹線道路など、一部の道路でしか活用できていませんでした。
また、点検して損傷箇所が見つかった場合もすべてを一度の工事で修繕することができず、その結果として『(来年修繕予定だった)道路に穴が開いている』というような住民からの連絡を受けた後で修繕する、“事後保全”で対応が行われている場合もありました」(中村隆幸 ビジネスインキュベーション本部 担当課長)

アスファルト舗装道路は高度経済成長期に日本中で広く整備されたが、今、特に地方では、その多くが老朽化している。一方で少子高齢化社会が否応なく進行し、点検に従事する人員の不足、維持修繕予算の減少と状況は悪化している。

「『smart路面点検サービス』はAI・IoT を活用することで、高精度な点検を可能としながらもコストを低減し、きめ細やかな維持修繕計画の立案と“予防保全”の実現をサポートするために開発されました」(中村)

取り組みの背景:舗装点検の現状

3社のテクノロジーの強みで共同開発、大幅な業務改善と60%コスト低減を達成

「smart路面点検サービス」は3社によって共同開発された。
ニチレキはアスファルト道路舗装のエキスパートであり、道路の維持修繕のノウハウ、舗装材料の開発や施工の技術を持つ。NTT東日本は画像伝送用ネットワークやクラウド・データセンター、NTTコムウェアはAI画像解析ソフトウェアをスマートメンテナンス領域に適用する開発および解析実施と、3社それぞれが強みを持ち寄り、アライアンスを締結し開発を進め、点検業務トータルで60%のコスト低減を達成した。

本実施のステークホルダー

従来の路面性状調査は、以下の3つの工程から成り立っている。

1. 事前確認

計測の前に現地で、位置確認やマーキングを行う。そのために何度も走行を繰り返す。

2. 計測

路面性状測定車で道路を走行し、路面画像を撮影しデータとして取得する。

3. 解析

取得データを人手によって調べ、破損状況の指標値「ひび割れ率」を算出する。
「ひび割れ率」は撮影した画像を人の目によって確認。

「これら3つの工程をニチレキ、NTT東日本、NTTコムウェアが強みとする技術を持ち寄り事前確認と解析を中心にシステム化し、計測も路面性状測定車をクラウドと連携して、手間のかかる準備や処理を大幅に改善しました。人が手順を積み重ねて高い信頼性を発揮させていた部分をデジタルによって自動化したことになります」(中村)

1. 事前確認の改善(担当 ニチレキ)

  • 路面性状測定車に高精度GNSSレシーバーを搭載。電子地図上のマークとの正確な位置照合を可能とし、現地に行かなくても事前確認ができるシステムを開発。事前確認の手間を大幅削減し、効率化・コスト減につなげた。

2. 計測の改善(担当 NTT東日本)

  • 事前確認で作成した電子地図上の情報をクラウドサーバーにアップロードし、路面性状測定車の高精度GNSS位置情報とリアルタイムにリンクし位置を正確に特定できるシステムを開発。
  • 路面性状測定車で取得した計測データをセキュアVPNでAI解析データセンターに転送できるようにし、セキュリティーを強化。

3. 解析の改善(担当 NTTコムウェア)

  • 人手では極めて煩雑な手間がかかる解析を、画像認識AI を用いて自動化し、大幅な効率化・コスト減を実現。
  • 3社共同で新開発した「局部損傷」評価において、特にAIによる自動診断の実用化を達成。緊急措置が必要な箇所をピンポイントで特定できるようになり、実現性の高い維持修繕計画の策定につなげた。
AI解析による舗装路面の損傷検出例

「NTTコムウェアは人の目の代わりに画像を認識できるAI(Deeptector®など)で高い技術力を持っています。NTTグループの保有する膨大な通信関連設備や部品、光ファイバーを引いた鉄塔や電柱などの点検業務を改善するため、長年培ってきた画像認識AIを応用して、現在さまざまなDXに取り組んでいます」(中村)

これらは2019年7月に開発スタート、わずか1年後の2020年7月にサービス提供を開始した。

本取り組みによる効果

“事後保全”ではなく“予防保全”へ、予算を他地域の点検へ振り向けきめ細かな維持修繕計画を実現する

「smart路面点検サービス」は携わる企業や人の働き方改革、修繕の質的向上にもつながるメリットをもたらしている。
路面点検は地方公共団体の事情により、年度末に実施されるケースが多く、したがって繁忙期が重なりやすい。「smart路面点検サービス」は煩雑だった作業を自動化したことで、担当者に重くのし掛かっていた業務負担を大幅に軽減した。

「事前確認では複数の担当者が何度もいっしょに自動車で走行することが必要でしたが、現地に行くことなく事前確認ができるようになり、また計測やデータの受け渡しもリモート化できたことで、現場では担当者ひとりが運転するワンマン体制が実現しました」(中村)

これによって、路面性状調査現場の省人化と合わせて、新型コロナウイルス感染症対策で求められる三密を避けられるようになった。

「大切なのが60%ものコスト低減を実現したことで、従来は手が回らなかった別の地域の路面性状調査に予算を振り向けられるようになったことです。そして、『局部損傷』を評価できるAIができたことで、従来は不可能だった修繕と小規模補修を組み合わせた実現性の高い、きめ細やかな維持修繕計画の策定ができるようになりました」(中村)

少子高齢化、高度技術者の不足など、さまざまな理由からインフラの維持・管理が課題になる日本。アスファルト舗装道路は重要な社会インフラであり、大切に運用していかなければならない。今後は安全性・信頼性・強靭性を備えた舗装道路に、“事後保全”ではなく“予防保全”で安定したメンテナンスが実施されていくことが求められる。
「smart路面点検サービス」はこの要求に応えられるしくみとして、活用され始めている。

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公益社団法人企業情報化協会主催の2020年度IT賞(社会課題解決領域)を受賞しました。
「『smart路面点検サービス』 提供の取り組み」

2021/03/12

  • ※ 商品およびサービスの内容は、予告なく変更する場合がありますので、あらかじめご了承ください。
  • ※ 「Deeptector」は、NTTコムウェア株式会社の登録商標です。
  • ※ その他、記載されている社名、商品名などは、各社の商標または登録商標である場合があります。
  • ※ 所属部署、役職等については、取材当時のものです。

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