企業内に散在する膨大なデータは“宝の山”である。活用次第で新たな価値を創出し、競争力強化の切り札となる。通常、こうしたデータの活用には、データを収集・加工・保存するETL(Extract / Transform / Load)やDWHなどの製品を組み合わせることが多いが、システム間のデータの受け渡しなどの過程でデータ処理能力のボトルネックが生じてしまいがちだ。NTTコムウェアの「企業データ基盤」は、データの収集・加工・保存から品質監視・管理・統制にわたるすべての処理を単一のプラットフォーム上で実行することにより、業界最高水準の高速化と運用性を実現している。従来製品とは一線を画す「データ処理プラットフォーム」が、「リアルタイムデータマネジメント」を一気に加速する。
目指すべきはタイムリーかつ最適な情報発信
モバイルやクラウド、IoTの進展により、企業が扱うデータ量は飛躍的に増大した。そのデータを有効活用すれば、競争優位を確立し、ビジネスの推進力は大きく高まる。
しかし、顧客のニーズや価値観が多様化した今、情報の主導権は「企業」ではなく「顧客」にある。企業からの一方的な情報の押し付けではなく、個々の顧客に対して、必要な情報を必要なときに発信することが求められているのだ。それが顧客との良好な関係を構築・維持する鍵となる。
そのためには膨大なデータをリアルタイムに分析・活用する必要がある。どんなにデータが豊富にそろっていても、タイミングを逸した情報には顧客は見向きもしないからだ。
Amazonをはじめとするオンラインストアでは、Webサイトを訪れた利用者の購買履歴や閲覧した商品などのデータをリアルタイムで活用し、その利用者に応じたオススメ商品や有用な情報などを表示するリコメンデーションサービスの手法が一般的に用いられている。また最近はそうした利用者情報などにスマートフォンの位置情報を組み合わせたO2Oマーケティングの取り組みなども広がりを見せつつある。
一方金融業界に目を向けると、近年のEC市場の急激な発展に伴い、クレジットカードの不正利用が巧妙化と増加の一途をたどっている。そうした不正利用を防ぐためには、膨大なトランザクションデータ、過去の犯罪手口・傾向・位置情報などをリアルタイムに収集するとともに高度な分析を実施し、即座に取引の可否を判断できることが重要となる。
しかしながら、膨大なデータをリアルタイムに分析・活用することは容易ではない。データの分析・活用基盤を新たに構築するには多大な手間とコストを要する。さらに、リアルタイム性を確保するには、多様なデータの品質を確保し、高速に処理できることが必須要件となるのである。
データの高速処理を実現し、ビジネスの変化に俊敏に対応
こうしたニーズに対応し、最先端のアーキテクチャーとデータ処理によって「リアルタイムデータマネジメント」を実現するソリューションが、NTTコムウェアの「企業データ基盤」である。
その特長は大きく5つある。
1つ目は「構築・導入の容易さ」である。多様なデータ形式やプロトコル、データベースなどをサポートしているため、企業内にサイロ化したさまざまなシステムが混在しているような環境や外部システムとの接続が不可欠な環境であっても、容易にデータ連携を図ることができ、接続性に優れたシステムを簡便に構築できるのだ。この特長により、さまざまなシステムやデータベース上に散逸したデータを、既存システムに手を加えることなく活用することができる。
2つ目は「膨大なデータの高速処理」。このデータ高速処理を実現する技術として採用しているものの1つが、昨今注目を集めている「インメモリ・パイプライン処理」である。これは、実行する個々のデータ処理の結果を逐一ディスクに書き戻すことなく、処理対象となるデータをメモリ上に展開し、一気通貫的に処理するという技術だ。また、処理プロセスごとにCPUにコアを割り当てる「スケールアウト型並列実行処理」も、昨今データ高速処理技術として広く用いられるようになってきた技術だ。物理的なCPUコア数を増やせば、リニアに処理を高速化でき、さらにインメモリ・パイプライン処理と組み合わせることで、膨大なデータ量を扱う際にも比類のない高速処理を実現する。
こうした技術により、100億件以上や数PBにわたるデータの高速処理・保存が可能になり、数千/秒や数GB/日の“超膨大”なメッセージ処理もスムーズに行えるようになった。従来バッチ処理で翌日までかかっていたデータ処理をほぼリアルタイムに実施し、これまで困難だった分析結果の現場への迅速なフィードバックを可能にしている。
3つ目は、「ビジネス変化への俊敏な対応」だ。数百種類にわたる機能が前もって用意されているため、データ活用のためのロジックを短期間で構築することができる。また、データ処理に関わる種々の機能を標準化・コンポーネント化しており、修正すべきポイントが直感的に理解できるようになっているため、ビジネスの変化に即応して修正を加えることも可能だ。さらに、ロジックや処理内容が可視化されているため、ビジネス部門とシステム部門の意思疎通が容易に行え、ビジネス上のさまざまな課題に迅速に対応できる。
例えば、拡販のためにポイントキャンペーンを実施する場合などには、限られた予算の中で期待される効果を最大化するため、状況に応じた臨機応変な対応がキャンペーン期間中にも求められる。そうした場合に、売上情報や購買履歴などのデータをリアルタイムに収集・分析しビジネス部門の状況判断や意思決定を支援することによって、ビジネス展開の正確性と俊敏性を大幅に高めることが可能になる。
メタデータ管理機能によって、データガバナンスを向上
そして4つ目が「データ品質を確保するメタデータ管理」である。企業データ基盤はデータの正確性や一貫性の確保、加工処理プロセスの透明性確保に欠かせない「メタデータ管理」を実現している。メタデータ管理は、最新のデータだけでなく過去のデータを含めてその発生源や流れを明確化し、データ品質やデータ系譜の管理・統制、ロジック変更に伴う影響分析を適切に把握できる。メタデータ管理の具体的なイメージを別図に示した。
メタデータ管理のイメージ(製造業の場合)
図に見るように、ある出力データに問題が発覚した場合、その原因がどこにあるのかを処理フローをさかのぼって突き止めることができるのはもちろんのこと、問題のリカバリやデータ取得元システム・処理内容などの変更に際し、影響範囲の把握なども極めて容易になる。メタデータ管理によって、大量のリアルタイムデータを処理する際のデータのトレーサビリティーやデータガバナンスの大幅な向上が可能になる。
5つ目は、「企業データ基盤」の最大の特長である「単一プラットフォーム化」である。通常、膨大なデータを活用するためには、データを収集・加工・保存するETLやDWHなどの製品を組み合わせることが多い。「企業データ基盤」は、データの収集・加工・保存から品質監視・管理・統制まで、データ処理に関わる一連の処理を、単一のプラットフォームで実現している。この「単一プラットフォーム化」によって、これまで述べてきたような特長をより高いレベルで実現している点が、この製品における大きなアドバンテージとなっている。
「膨大なデータの高速処理」において、ETLやDWHなどを併用した場合に生じやすいデータ処理のボトルネックを、単一プラットフォーム化により解消できる。さらに、前述の「メタデータ管理」においても、単一プラットフォーム化により、複数の異なる製品の組み合わせ利用に比べ、信頼性の高いデータトレーサビリティーを簡易に実現することができる。
リアルタイムデータマネジメントの実現に向けて
本ソリューションは、金融業界における課題――大量のトランザクションデータを、複雑なロジックに基づき、瞬時に判断する必要がある――に対し、“ペタクラスの”データ保存・検索力、“群を抜いた”メッセージ処理力でお応えします。
また、流通業界などのリアルタイムマーケティングの課題――顧客が商品やサービスを必要としているとき、その瞬間をとらまえて最も効果的な情報を提供する必要がある――に対し、ビジネス部門とシステム部門の連携を高め、より俊敏でより正確なビジネス展開を可能にします。
リアルタイムデータマネジメントのプラットフォームは、「作って終わり」というわけにはいきません。企業における戦略の進化とともに、新たなデータの活用・新たなロジックの開発・精度の向上といった継続的な取り組みが必要になります。
そのため、本ソリューションは、既存システムに手を加える面倒やシステム構築に手間暇をかける苦労と直面することなく、業界最高水準の高速データ処理・データマネジメントを、最小限の時間とコストで実現することに注力しています。
NTTコムウェアの「企業データ基盤」は、日々新たに生まれる大量のデータ資産を、次なる成長の原動力とするためのソリューションです。
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