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河本 倫志 NTTコムウェア株式会社 エンタープライズビジネス事業本部 第四ビジネス部 部門長

河本 倫志
NTTコムウェア株式会社
エンタープライズビジネス事業本部
第四ビジネス部
部門長

 また、人数による傾向もある。従業員1,000名未満の企業では「本人が入力」が8割近くを占めているが、1,000名以上の企業になると「業務代行業者」が半数以上を占めており、大手企業ほど外部委託の比率が高くなる傾向を見て取ることができる。「事務取扱担当者」や「業務集約部門」がマイナンバーを集めて入力するといった、従業員間で「マイナンバーの受け渡し」を伴うような運用方法は、比較的少数派にとどまっている。また、PCや教育などの環境が十分に整っている1万人以上の大企業に限ってみると、「本人が入力」するパターンがほとんどであった。
 「多店舗展開する小売や外食などの企業の場合、店舗で働くパート・アルバイトなどのマイナンバー収集、入力を店長が行うケースが多いです。システムに入力する際には、IDが必要になります。パートやアルバイトなど全員にIDを渡してシステムに入ってもらうのは、管理面での課題があります」(河本)
 全国に拠点がある企業や、雇用形態が多様な企業、人材の流動が激しい企業などは、「誰が収集・入力するのか」について、自社の状況に合わせて事前に十分検討する必要がありそうだ。
 最後に、マイナンバー関連では多くのアウトソーシング事業者がさまざまなサービスを提供している。先行企業はどのような業務を委託しているのだろうか。
 「業務委託の形態は企業によって異なります。代表的なパターンとしては、①マイナンバーの収集を委託する、②マイナンバーに関連する帳票や調書の印刷を委託する、③マイナンバーに関係するすべての業務を委託する、といった形態が挙げられます」(河本)
 給与計算業務を委託していた企業なら、同じ事業者にマイナンバー管理をしてもらいたいと考えるかもしれない。「従来業務をできるだけ変えたくない」という企業もあれば、マイナンバーを機にITの刷新、業務の効率化を図る企業もあるだろう。業務委託先の選定に際しては、自社の業務への適合性をしっかり吟味する必要がありそうだ。

実例に学ぶ先行企業から見えてきた課題

 河本によると、企業がマイナンバーを導入する際に直面する課題には、いくつかのパターンがあるという。
 典型的なパターンの1つ目が、「従業員」以外の管理対象の見落とし・考慮漏れによって、運用方法やシステムの再検討が必要になるケースだ。マイナンバーというと、先に述べたとおり従業員への対応にばかり目が向きがちだが、実際には社外の法人や個人事業主との取引・支払いに伴う管理も相当の業務ボリュームを占める。「誰のマイナンバーを管理するのか」については、取引先も含めた十分な洗い出しを行った上で業務を設計する必要があるだろう。
 次に挙げられるのが、マイナンバーの収集方法に関する検討が不十分だったために手戻りを生じてしまうパターンだ。「事業所や雇用形態に応じ、異なる手法を組み合わせてマイナンバーを収集する必要が生じるケースも少なくありません。当初想定していた収集方法では対応できないことが判明し、急遽、別の手段を再検討したケースも見受けられます」(河本)
 「誰がマイナンバーを収集するのか」については、十分な業務設計を行うことも必要だが、複数の収集方法に対応しているか、あらかじめ確認しておくことも重要であろう。
 もう1つのパターンは対象業務とそれに対応するシステムの検討不足だ。マイナンバー管理のためには、少なくとも人事の業務とシステム、経理の業務とシステムへの影響を考慮する必要がある。ただ、当初は人事の業務とシステムだけが注目されがちだ。その結果、人事システムの改修を実施した後、社外への支払いなどで経理システムの変更も必要と判明し、二重投資になってしまうケースもある。
 「マイナンバー関連の業務は多岐にわたり、人事や経理、総務、ITなど複数の部門が関わっています。これからマイナンバー対応に取り組む企業は、業務やシステム面で見落としがないよう、事前の検討をしっかり実施する必要があります」と河本は語る。

リスクに備えるだけでなく、将来のチャンスにも備える

 最後に、河本にマイナンバー対応のポイントを聞いた。「まず、マイナンバー導入後の業務を全社的に洗い出すことが大事です。最初の段階でヌケ・モレがあると、後々の手戻りや余分なコストにつながります。また、導入時の初期コストだけでなく、トータルコストに留意することも重要です。もう1つ、付け加えたいのは、マイナンバーはビジネスチャンスを生む可能性があるということです。政府機関からは、マイナンバーを軽減税率やポイントカードに活用するといったアイデアも示されているので、その用途は今後徐々に拡大していくと予想されます。今はまだ、情報漏えいのリスクや管理の手間などのマイナス面ばかりが注目されていますが、将来的には、マイナンバーが新たなビジネスチャンスや新たな価値創出の源泉になっていく可能性があると考えています」(河本)
 マイナンバー制度のスタートを受けて、「面倒なことが増えた」「情報漏えいなどの新たなリスクが生れる」という声をよく聞く。その一方で、マイナンバーの用途は今後徐々に拡大すると予想されており、将来のビジネスチャンスに向けて、セキュアかつ効率的な管理の仕組みづくりに取り組む企業もある。すべての国民をカバーするマイナンバー活用の可能性は限りなく大きい。マイナンバーをめぐる動向を今後とも注視する必要がありそうだ。

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