2019.03.28

仮想デスクトップの実現方式「オンプレ型VDI」と「クラウド型VDI」の違いを比較

仮想デスクトップ(VDI)の実現方法にはオンプレ型とクラウド型があります。当初はオンプレ型VDIで個別構築されてきましたが、今ではクラウドサービスとしても提供されるようになり、近年ではクラウド型VDIの導入が増えてきています。ここでは、オンプレ型VDIとクラウド型VDIの違いと、メリット・デメリットについて解説します。

オンプレ型VDIの仕組みとメリット・デメリット

オンプレ型VDIは、自社サーバーに仮想デスクトップ環境を構築して、クライアントPCからネットワーク経由でアクセス・操作する仕組みです。仮想デスクトップが登場した当初は、大手企業を中心にこの方式で構築されることがほとんどでした。

メリット

オンプレ型VDIは自社サーバーで構築・運用するため、細かいカスタマイズが可能です。初期コストがかかりますが、場合によっては運用コストが抑えられるため、中長期的にみるとクラウド型よりも安価におさまるケースもあります。
セキュリティという観点では、クライアントPCにデータが残らない仕組みで情報漏えいを防止できるのはクラウド型と同じですが、企業のセキュリティポリシー上、クラウド上にデータを預けることができない場合はオンプレ型を選ぶ必要があります。

デメリット

オンプレ型VDIのもっとも大きなデメリットとして挙げられるのが、初期構築のコストと時間です。このハードルが高く、中小企業ではなかなか導入しづらい状況となっていました。また、仮想デスクトップはサーバー側の性能確保・チューニングに高度なノウハウが必要であるためユーザーにとっては使いづらくなるケースもありました。外部のサービス提供事業者に協力を仰ぐことも可能でしょうが、そのコストもきっちり精査することが必要です。
運用面でもサーバーの運用管理がシステム管理者の大きな負担となっており、拡張する際も、サーバー・ストレージの買い増しなどで時間もコストもかかってしまう仕組みとなっていました。

クラウド型VDIの仕組みとメリット・デメリット

一方のクラウド型VDIは、サービス提供事業者のクラウドサーバー上に構築された仮想デスクトップ環境をネットワーク経由で利用する方式です。「DaaS(Desktop as a service)」と呼ばれることもあります。

メリット

クラウド型VDIはサービス提供事業者が提供している、すでに稼働実績のある仮想デスクトップサービスをそのまま利用することができます。手間をかけず、スピーディーに導入でき、大幅に初期コストを抑えられることができます。
また、運用管理はサービス提供事業者側で行いますから、運用について意識することなくお任せできます。拡張性を考えても、クラウド型VDIなら手軽にユーザー増加などが可能で、スモールスタートでトライアルしてから全社導入へ移行することもできます。
セキュリティについては、オンプレ型と同様、端末にデータが残らない仕組みで、また、セキュリティパッチの入手や配布などはサービス提供事業者側で行いますから、自前の稼働もかからず安心です。企業のセキュリティポリシーが許すのであれば、クラウド型VDIを利用してもセキュリティ的には特に問題はありません。

デメリット

クラウド型VDIはサービス提供事業者側である程度仕様・プランを決めていますので、オンプレ型VDIのように、自社の用途・システムに応じて自由自在に環境をカスタマイズすることが難しいサービスです。
また、利用している限り運用コストが発生するため、要件によっては中長期的に見るとオンプレ型VDIより高コストになってしまうケースもあるかもしれません。費用対効果については常に検証が必要です。

導入が増えているのは、クラウド型VDI
双方にメリット・デメリットがあるものの、近年導入が増えているのはクラウド型VDIです。これは、オンプレ型VDIと比較して初期コストが大きく抑えられスピーディーで手軽に導入できることが要因。大手企業だけではなく、中小企業でも仮想デスクトップの導入が現実的となりました。
性能確保やセキュリティ維持など運用管理が大きな負担になることから、オンプレ型からクラウド型に切り替える企業も少なくありません。月額制で運用コストはクラウド型の方がかかる場合もありえますが、オンプレ型VDIの維持運用にかかる人件費や運用負担を考えると、それらのリソースを他の業務に充てることも可能となります。相次ぐ自然災害の発生により、「自社以外の安全な場所にシステム・データを置いておきたい」という希望からクラウド型VDIを選択する企業も多いようです。
まとめ
オンプレ型VDIにもメリットがありますが、クラウド型VDIはオンプレ型以上にコストメリットや構築・運用の負担軽減などのメリットがあります。多くの企業のニーズや予算感・体制にフィットするでしょう。クラウド型VDIならトライアルで試すこともできますので、デスクトップの仮想化を検討している場合は、まずクラウド型で仮想デスクトップをスタートしてみることをオススメします。