2019.03.28

仮想デスクトップ(VDI)の基本的な仕組みとメリット・デメリット

手元で使用している物理PCではなく、サーバー上に「仮想化」されたデスクトップ環境を作成して、接続用のクライアントPCからアクセスして、作業を実施する「仮想デスクトップ」。テレワークの推進へ向けて、導入する企業も増えています。ここでは、仮想デスクトップの基本的な仕組み、メリット・デメリットなどをご紹介します。

近年注目されている仮想デスクトップの特長とは
大手企業を中心として10年程前から仮想デスクトップ導入の取組みは進んできましたが、ここ数年、働き方改革が注目されるにつれて、その導入が急ピッチで進んでいます。「在宅勤務や外回りの営業スタッフのテレワークを推進したいけど、セキュリティが不安で、社外に持ち出すノートPCなどの端末管理が煩雑」といった課題に、いつでも・どこでも・安全にオフィスと同等のPC環境を利用できるソリューションとして評価されているのです。もちろん、PCだけではなく、スマートフォンやタブレットPCなどモバイル端末からでも手軽にセキュアに利用できるため、テレワークには最適です。
また、事業継続性の面からも仮想デスクトップは注目されています。万が一災害が起きた際でも、デスクトップ環境がデータセンターやクラウド上に置いてあれば、代替の端末から仮想デスクトップ環境につないで事業復旧することができるため、BCP対策として導入する企業も増えています。
基本的な仕組みと物理的なPCとの違い

従来の物理PCでは手元にあるクライアントPC内のデスクトップ環境で操作をしていましたが、仮想デスクトップはサーバー上にデスクトップ環境を作成して、クライアントPCからアクセス・操作する仕組みです。クライアントPCは操作情報を送信し、それに応じた画面情報を受信するためのリモートのインターフェースとなります。
物理PCと仮想デスクトップの具体的な違いをご紹介していきます。

OS・アプリケーション・データがどこにあるか

物理PCの場合、OSやアプリケーションやデータは当然クライアントPCに存在しており、そこで処理が行われます。対して仮想デスクトップの場合、OSやアプリケーションはサーバー上に存在し、処理もサーバー上で行われます。

ネットワークへの依存

仮想デスクトップでは手元のクライアントPCにOS・アプリケーション・データが存在しないため、作業を行うためにはネットワーク経由でサーバーにアクセスしなければなりません。物理PCでは、ネットワークにつながずにスタンドアローンで作業することもできます。

バックアップの利便性

物理PCでは基本的にバックアップのタイミングがユーザーに委ねられています。仮想デスクトップではバックアップをサーバー側で一律で管理いたします。

仮想デスクトップ導入のメリット・デメリット

仮想デスクトップを導入するメリットを部門ごとにご紹介します。また、デメリットについても簡単に説明します。

人事・総務部門

テレワーク推進の仕組みづくりに取り組むことが多い人事・総務部門。仮想デスクトップを導入すれば、在宅勤務のスタッフや外回りが多い営業スタッフへ社内と同等のPC環境を提供できます。テレワークなど新しい働き方の実現で、社員の良好なワークライフバランスの維持や、モチベーションアップ、定着率の向上にもつなげることができるでしょう。さらに、自然災害やパンデミックなど有事の際にも安全な業務環境を提供できるため、BCP対策としても有効です。

営業部門

仮想デスクトップを導入すれば、営業スタッフが外出中の空き時間などに、カフェなどでもメールや見積り作成などの作業を安全に行えるため、時間の有効活用につながります。また、商談中にお客様に想定外の資料をお見せしたい場合などに、共有サーバーにアクセスすることですぐに資料を提示できます。納期などを聞かれても業務システムにアクセスして商談中に確認・返答できるなど、お客様の満足度を高めることもできるでしょう。

経営層

仮想デスクトップの導入でコストはかかりますが、営業スタッフの時間の有効活用で生産性が向上して売上げアップにつながったり、テレワークや在宅勤務などで社員のモチベーションアップや満足度向上にもつながります。さらに、TCO削減や情報漏えいなどのセキュリティリスクも軽減できるなど、経営面でも様々なメリットをもたらせます。

情報システム部門

テレワークを推進していく場合、物理PCでは、目の届かない場所で利用されるためその端末管理やセキュリティ対策は大きな負担となります。
仮想デスクトップを導入すれば、クライアントPCにはデータが保存されず、サーバー側にデータが保存されるため、たとえ端末を紛失しても、情報漏えいすることはありません。情報システム部門では端末管理やセキュリティ対策の負荷が大きく軽減するでしょう。

デメリット

仮想デスクトップはリモートデスクトップ等他のテレワーク向けサービスと比べて初期構築が必要なため、導入のしやすさには劣ります。また、セキュリティ強化など前述した多様なメリットを持つ反面、初期コストもかかります。こうしたデメリットを解消するために、ここ数年、クラウドサービスとして提供される仮想デスクトップ(DaaS)を導入する企業が増えています。

まとめ
いつでも、どこからでも、オフィスと同等のPC環境を実現できる仮想デスクトップ。特に、営業部門や在宅勤務などでの活用が進められているように、テレワークをセキュアに実践できることが大きな魅力です。仮想デスクトップを導入して、その利便性をぜひ体験してください。