今月の書籍
レビュワー:池澤あやか
- 『作って学ぶ Next.js/React Webサイト構築』
- 『ハードウェアハッカー〜新しいモノをつくる破壊と創造の冒険』
Next.jsの基本と実践を段階的に学ぶのにぴったり!
仕事でプロトタイプアプリケーションの開発をしている今日このごろ。新しく始まるプロジェクトで、同僚の「次のプロジェクトではNext.jsを採用してみたい」という提案が通り、学習のために手にとったのがこの一冊です。
Next.jsとは、Vercelが開発しているWebアプリケーションを構築するためのReactベースのフレームワーク。ReactはJavaScript言語を用いた、Webサイト上のUIを構築するためのライブラリです。
この本は、Next.jsを使って実際にブログサイトを実装するまでの過程をまとめており、Next.jsを用いた開発の基本から、コンポーネント(システムの構成要素)やページのつくり方、さまざまなアイコンを詰め合わせたアイコンアセットの使い方、バックエンドとして活用できるヘッドレスCMSの導入までカバーしています。
実際の開発のイメージも湧きやすく、そのわりには物理本で352ページと分厚くないため、サクッと読めるのが嬉しいところ。
その分、少し痒いところまで手が届かないところもあったり、Next.jsのバージョンアップに伴い、古くなった記述もあります。しかし、基本的な考え方は変わっていません。
Next.jsは公式のチュートリアルがしっかりしているので、チュートリアルと合わせて読むと良いかなと思います。
『作って学ぶ Next.js/React Webサイト構築』
著者:エビスコム
出版社:マイナビ出版
刺激的な体験の数々に“メイカー”魂を刺激されること必至
「ハードウェアが好き!」「ものづくりが好き!」な"メイカー"にぜひ読んでほしい本です!
ハードウェアハッキングの世界的第一人者、アンドリュー"バニー"ファン氏による、新しいハードウェアを産みだし、量産する際の膨大なTipsと、彼の原点となるハッキング(リバースエンジニアリング)の面白さを凝縮した一冊です。リバースエンジニアリングとは、他社が開発した既存製品を分解したり、実際に動作を確認して分析することで得た技術情報を、自社で活用する開発手法です。
エピソードは多岐にわたります。中国・深圳でモノを大量生産して世の中に出すまでの具体的な方法とノウハウ、中国の知的財産についての考え方、ものすごいスピードで革新的な製品が深圳で生まれる理由、オープンソースハードウェアについて、著者が開発した新しいガジェットがどうやって誕生したか、製品を分解して仕組みを分析する方法、挙句の果てには機械の枠を超え、遺伝子のリバースエンジニアリングまで。
ふわふわした概念を知るための本というよりも、現場の汗と涙の結晶という言葉が相応しい本で、ひたすら具体的な話が続きます。
こうした著者の豊富な実体験が裏付けとなった濃厚で刺激的な話題の数々は、読んでいるだけでワクワクしますし、自分の中に眠る"メイカー"魂をくすぐります。そしていつか、ハードウェアの街・深圳に遊びに行ってみてください!
『ハードウェアハッカー〜新しいモノをつくる破壊と創造の冒険』
著書:アンドリュー“バニー”ファン
訳:高須正和
監訳:山形浩生
出版社:技術評論社
今月のレビュワー
池澤あやか (いけざわ・あやか)
タレント、ソフトウェアエンジニア。1991年7月28日 大分県に生まれ、東京都で育つ。慶應義塾大学SFC環境情報学部卒業。2006年、第6回東宝シンデレラで審査員特別賞を受賞し、芸能活動を開始。現在は、情報番組やバラエティ番組への出演やさまざまなメディア媒体への寄稿を行うほか、ソフトウェアエンジニアとしてアプリケーションの開発に携わっている。著書に『小学生から楽しむ Rubyプログラミング』(日経BP社)、『アイデアを実現させる最高のツール プログラミングをはじめよう』(大和書房)がある。
2023/02/10