

パソコンを使っているのに、キーボード、マウスなどの入力機器を軽視していないだろうか? これらは直接⼿で触れる重要なインターフェースであり、その善し悪しは作業効率に直結する。たとえば使い心地のいいキーボードを使えば、メールを書いたり企画書を作ったりする作業が、気持ちよくスピーディーにできるはずだ。
文字入力が多いのなら、まず重視すべきはキーボードだ。打ち心地(キータッチ)がよく気持ちよくリズミカルに入力できるかどうか。そしてキーを押したときのタイプ音にも注意したい。これが大きいとオフィスで周囲に迷惑をかけてしまうので、できれば静かなものが望ましい。
選ぶ際のポイントは、キー入力を判別するスイッチ。大きく分けてメンブレン方式、メカニカル方式、静電容量無接点方式がある。メンブレン方式は1枚のメンブレンシートスイッチがキーボードの下に敷いてあるキーボードのこと。安価なキーボードを中心に、普及しているが、グニャっとしたキータッチのものが多い。
メカニカル方式は、キーひとつ一つに個別にスイッチがあるキーボードで、その中でも接点接触型のスイッチを使うものを指すことが多い。スイッチの種類によってキータッチが軽いものから重いものまであり、タイプ音もカチカチと大きいものから比較的静かなものまである。
静電容量無接点方式はメカニカル方式の一種で、非接触の静電容量スイッチを使ったキーボードのこと。キータッチは軽やかで疲れにくく、スイッチの摩耗が少ないため耐久性が高く、タイプ音も静かだ。その特性を生かして業務用のキーボードとしても多く使われている。オフィスでの使用に最も向いているタイプだ。
静電容量無接点方式キーボードの代表格は、東プレのREALFORCEシリーズだ。種類が多く、日本語キーボード、英語キーボード、テンキーの有無など好みに合わせて選べる。たとえば「REALFORCE TKL SA / R2TLSA-JP4-IV」はテンキーを省略して横幅を狭めたモデルで、机をより広く使いたい人に向いている。キーをどれだけ押し込むとスイッチが反応するかという深さを調整できるなど、細かなカスタマイズもできるのでスムーズなタイピングが可能だ。

東プレ「REALFORCE TKL SA / R2TLSA-JP4-IV」。軽やかなキータッチで静音性と耐久性に優れる。
マウスなどのポインティングデバイスは、マウスカーソルを動かすときの操作感、クリックボタンのクリック感が大事だ。有線とワイヤレスがあるが、机の上をスッキリさせて気持ちよく使うためにもワイヤレスがいい。マウスは、ある程度重い方が操作時に安定感があり、マウスカーソルを思い通りに動かしやすい。
ロジクール「MX MASTER 2S」は付属レシーバーによる接続とBluetoothによる接続の、2通りの方法で接続できるワイヤレスマウス。人の手の形に合わせた握りやすいデザインで長時間使用しても疲れにくい。

ロジクール「MX MASTER 2S」。3台のパソコンの間でマウスカーソルを移動させて、画像やファイルをコピー&ペーストできる「Logicool FLOW」機能を利用できる。
マウスを動かす手間を省いてより集中力を高めたいのなら、トラックボールが向いている。本体は動かさず、表面についている大きなボールを指先で動かすことでマウスカーソルをコントロールするものだ。机が狭く、マウスを動かすスペースがない場合にも役立つ。ロジクール「MX ERGO」は付属レシーバーとBluetoothの2通りの方法で接続できるワイヤレストラックボール。握りやすいように設置角度を2段階で変更できる。

ロジクールのトラックボール「MX ERGO」。底面の金属板の取り付け方を変えることで設置角度を変更できる。2台のパソコンの間で「Logicool FLOW」機能を利用できる。
自分が気にいった周辺機器を使えば作業により集中できるようになり、効率アップできるはずだ。質の良い周辺機器は価格も相応に高いが、それは自分のパフォーマンスを最大限発揮するための投資と考えよう。長い目で見れば、必ず元が取れるはずだ。
【 湯浅英夫/IT・家電ジャーナリスト 】
2019/7/26