映画や音楽、電子書籍など身近なところから、定額で見放題・聴き放題・読み放題できるといったサブスクリプション型のサービスが急速に普及しています。サブスクリプションとは、製品やサービスを買い取るのではなく、継続的に料金を支払うことで製品やサービスを利用できるビジネスモデルです。実は古くからある新聞・雑誌の定期購読や、牛乳配達もサブスクリプションといえます。今、サブスクリプションが注目される背景と今後の展開について解説します。
サブスクリプションビジネスが注目される背景
さまざまなビジネスがサブスクリプション化され、普及が加速している背景には、テクノロジーの進化、消費者の志向の変化、そして企業の戦略転換が関係しています。
インターネットインフラの充実、スマートフォンに代表されるデジタルデバイスの普及により、企業と消費者はデジタル上でつながり、サービスの申込から利用、そして決済までをネットワークを介して完結できるようになりました。
また、IoTの進展が進み、これまではネットワークにつながっていなかったさまざまな「モノ」がネットワークにつながり始めたことで、今まで実現できなかったサービスがデジタルの力で提供できるようになってきています。こうした社会の「デジタル化」、「ネットワーク化」により、サービスと消費者が継続的に「つながる」サブスクリプションビジネスが提供しやすい土壌が整ってきました。
消費者側の志向も変化しています。現代のように製品やサービスが広く消費者に行き渡り、成熟した市場では、消費者は「モノの所有」よりも「体験」に対価を払う傾向が強くなっています。さらに若い世代はさまざまな「シェアリングサービス」が普及した社会に慣れ親しんでおり、「所有」よりも「利用・共有」といった消費スタイルを抵抗無く、むしろ好んで選択しています。
企業の戦略も変化しています。
これまでのように、大量生産・大量消費を前提に「モノ売り」に特化したビジネスモデルから、顧客との長期的関係を重視し、その長期的関係の中で継続的に収益を上げ続ける「LTV(顧客生涯価値)向上」を中心としたビジネスモデルへの変革を急ぐ企業が増加しています。
顧客の買い替えのタイミングで選んでもらうのではなく、いつも価値を感じ続けてもらうことに力を注ぎ、顧客との関係をより強く、長くすることで、企業は継続的成長をめざしています。
BtoBでもサブスクリプションが台頭
サブスクリプションといえばコンシューマー向けサービスが注目されがちですが、BtoBにおいてもサブスクリプションビジネスが広まっています。
特に普及が進んでいるのはSaaSです。従来、パッケージの購入や自社開発で所有・使用していたソフトウェアを、クラウド上から必要な時に必要なだけ利用する仕組みを提供するサービスで、ソフトウェアのサブスクリプションといえます。
SFA、CRM、データ管理、ファイル共有などの業務サービスや、製造・小売・教育など業界特化サービスをSaaSで利用する企業が増えています。
さらに、先に触れたIoTの進展により、航空機の飛行状況に応じた課金によるジェットエンジンの提供、車の走行距離に応じた課金によるタイヤの提供など、「モノ」の提供から「コト」の提供へとシフトした新たなビジネスが生まれています。「飛ぶ」ことや「走る」ことに価値を置き、「サービス」として提供しているのです。これらは一例ですが、IoTを活用することで、既存のモノ売りビジネスから「コト」を提供するサブスクリプションビジネスへと進化を遂げる可能性を持つBtoBビジネスは多数存在すると考えられます。
サブスクリプションビジネスを成功させる鍵
今後、消費者の「所有」から「利用・共有」への志向性はますます強まると予想されます。そして、現在では想定していなかったサービスが次々とサブスクリプション化され、同時に、サブスクリプションビジネスに参入する企業も急増していくでしょう。
このような状況下で企業が生き残るためにはどうしたらよいのでしょうか。
企業はサブスクリプションビジネスで「安定した収益」の獲得と「顧客との継続的な接点」を持つことができますが、顧客が満足するサービスを継続的に提供できなければ、解約されてしまうでしょう。サービスは完成させるものではなく、常に顧客に価値を感じてもらうための改善を地道に繰り返していくことが必要となります。
そして忘れてはならないのが、サブスクリプションビジネスを支えるバックオフィス業務の構築です。仕入れや在庫管理、物流をこれまでのモデルから刷新することもあるでしょうし、顧客の利用状況に応じたサービス提供・改善のためのデータ収集の仕組みが必要になることもあるでしょう。
特に、それぞれの顧客が感じる価値に適したサービスメニューや料金体系のデザイン、顧客・契約の管理、使用状況に応じた料金計算、定期的な請求・決済といった一連のサブスクリプション特有の業務プロセスは、サブスクリプションビジネスを成功に導く重要な鍵といえます。提供したい価値をいかに速やかにビジネスプロセス上で実現していくか。変化への柔軟性と効率的な業務運営を実現する基盤があってこそ、サービスそのものの磨きこみに専念することができ、競合企業との競争に打ち勝っていけるのです。
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【 制作/ブレイン 】
2019/6/7