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体と心に作用する、障がいがあっても動くリハビリ

 鈴木さんは、両親が病院勤務だったことから、リハビリに励む患者さんたちを間近で見て育った。リハビリ中は前向きで明るかった患者さんが、いざ退院となると、その後の社会生活への不安から表情に陰りが見えた。
 株式会社TESSを立ち上げた原点はそこにある。「車いす利用者が、退院後も元気に希望を持った生活ができるようにしたい」という思いを持ち続けていたからだ。創業は難航を極めたが、ついにCOGYの製品化を実現した。既存のリハビリプログラムに足こぎ車いすのような発想がなかったことには理由がある。「反射でペダルをこいでいる状態は、脳神経的には画期的でも、リハビリの観点では『足を動かしている』ことにはならないんです。確かに、COGYを軽々とこげても、すぐに実際に立ったり歩いたりできるわけではありません。でも、生活には明らかな変化が現れました。」

 例えば、生まれつきの脳性麻痺のため自分で立つことも歩くこともできなかった少年が「どうしても自転車に乗りたい」と言ってCOGYに挑戦し、生まれて初めて自分の力で〝動く〟ことができた。5年以上も寝たきりだった認知症の女性が、COGYに乗って1週間後、自分で顔を拭き、着替えができるようになった。COGYを使い始めて身体機能が回復し、ホノルルマラソンに参加したり、障がい者支援の仕事を始めたりした人もいる。

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 「できるはずがない」という思い込みを飛び越え、利用者が想像を超えていく。「父にも使わせたい」「事故に遭った同僚を乗せてあげたい」という共感の輪も地道に広がってきた。

 操作性や乗り心地、製品コンセプトが評価され、COGYはこれまでに国内外で数々の賞を受賞している。2018年4月には子ども用のSSサイズを発売し、ラインアップも充実した。子ども用サイズということで、鈴木さんにはぜひ実現したいことがあるという。
「全国の障がいがあるお子さんから『COGYを手に入れたらやってみたいこと』を募集し、最も後押ししたい子にCOGYをプレゼントする。そして、『やってみたいこと』を実現する過程を、SNSで公開してもらうんです。」 子どもを応援する活動は、地元ではすでに行われている。J1リーグの地元チーム、ベガルタ仙台の「ホームタウン活動」として、ホームタウンで開催される試合に勝ったら、COGYを県内の養護支援学校や特別老人ホームに寄贈する。病院で行う寄贈式には人気オフィシャルマスコットキャラクターのベガッ太が訪れるので、子どもたちも大いに盛り上がる。難病でベッドから出られない子には、ベガッ太がモニター越しに伝える。「君もがんばって足こぎ車いすに乗れるようになってね!」
 時を経て再び訪れると、COGYに乗ってリハビリを進めている姿をよく見かけるという。順調にいけば、病院にいる子どもたちもスタジアムの試合を見に行けるようになるだろう。そうなれば、チームとしてもうれしいし、やりがいがある。各企業の強みを生かしたアクションを起こす事で、こうした良いサイクルが起きている。

〝あきらめない〟〝あきらめさせない〟ための製品作り

 「あきらめない人がヒーローになる世の中にしたい」と鈴木さんは言う。「障がいがあるお子さんのご両親は、わが子の将来を案じて心細くなることもあるでしょう。だから『あきらめない人ってかっこいい!』というキャラバンを全国各地でやりたいと考えています。わが子と同じ障がいがあっても、社会に出て活躍しているとか、あんなこともできるんだ、と知ることができたら、親子で前向きになれるはず。社会全体がそういう価値観を持てるようになったら、車いすの人も、そうでない人も、もっと暮らしやすくなると思うんです。」

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 介助者に支えてもらう歩行訓練で5メートル進むのがやっと、という患者さんがCOGYに乗ると行きたいところへ行ける感覚を得られる。歩行訓練に比べて、その爽快感と達成感は大きいだろうし、足を連続して動かすことが神経、筋肉、関節にとってバランスの良いリハビリになるようだ。

 「COGYユーザーを見ていると『自分で足を動かせる』という体験が、小さな勇気を生み出しているように思います。自分にできること、やりたいことを見つけ出して、それに向かって目標を立てチャレンジを始める。足こぎ車いすはリハビリのための道具でもありますが、それだけではない変化が現れる不思議な製品なんです。」

次ページ 生活に順応できる車椅子こそが、障がいの概念を変える社会を創造する

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