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賢いはたらき方のススメ
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自分に合った仕事を見つけたい、次のステップに進みたいと考える人は多いだろう。芸能という世界でもそれは同じようだ。アイドルとして活躍しながら、卒業や引退、違う道を模索している人は多いという。しかし、どんな世界でもセカンドキャリアに進むには勇気がいる。「アイドルとしてやりきった。AKBは私が育った場所なので恩返しがしたい」と、アイドルグループAKB48を卒業後に社会人としての経験を積みながら、後輩たちのセカンドキャリアを支援するために起業した、島田晴香さん。夢をかなえるためにやるべきことはすべてやるという島田さんに、ビジネスに通じる、次のステップに一歩踏み出すために蓄えたいチカラ、自分の夢を実現するための秘訣を伺った。

AKB時代の存在価値を活かす、恩返しのセカンドキャリア

―AKB48に入るきっかけ、アイドル時代の生活について教えてください。

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島田:スポーツが大好きでテニスをやっていましたが、高校2年生の時に挫折し、次はどうしようかと考えていました。そんな時にテレビでAKB48の9期生のオーディション告知があったのです。ぼんやりと芸能界に興味や憧れがあったので受けてみようと思ったのがきっかけです。デビュー後は、静岡県三島市の高校に通いながら、放課後に秋葉原に行くという生活をしていました。

卒業後は日本大学商学部に入学したのですが、芸能活動が忙しくなり、中途半端にはしたくないという思いがあったので4年間休学しました。その後復学しましたが単位が足りず、卒業はできないまま終わってしまいました。でも、少しですが大学生活を体験できたことで、後悔はありません。

―AKB48に8年間在籍して感じたことは?

島田:私は9期生で次世代と呼ばれていましたが、やはり前田敦子さんなどの1期生は唯一無二の存在で、AKB48がここまで第1線で活躍できたのは、先輩たちの頑張りのおかげなんです。だから、先輩たちが卒業してもしっかりこの世界で残れる土台を作らないといけない、先輩たちに恥じないようなメンバーにならないといけないという存在価値をどうやったら見出せるかな、どうやったら恩返しができるだろうかと常に考えていました。その思いが、卒業後の夢につながっていると思います。

―AKB48の卒業を決めた段階で次のステップは考えていたのですか。

島田:はい。2017年12月に芸能界を引退して、翌年1月にロンドンに語学留学しました。

―早い展開ですね。

島田:そうですね。両親にも驚かれたほどです。卒業の時期を決める前に、留学を決めていました。もともと、ずっとテニスをやっていて、人と話すことが好きサポートをしたいという思いがあり、スポーツマネジメントという仕事に就きたいと考えていました。そのためにはどうすればいいのだろうといろいろ調べて、周りの人に聞いたりして、英語が話せないと難しいとわかったので、まずは語学留学しようと決めていたのです。いろいろな国の人と触れ合いたいという気持ちもあったので、躊躇なく進むことができました。

日本を飛び出してわかった、個人を大切にする感性と伝え方

―1年間の留学を通して何か変わりましたか?

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島田:国内にいるだけでは味わえない体験をしました。差別も受けました。とても悲しい気持ちになりましたが、日本にとどまっているだけではそういう感情も生まれなかったかもしれないので良い経験だと思います。差別を受けた時に、きちんと言い返せなかったんです。自分の言葉できちんと言い返すにはもっと語学力を鍛えないといけないと奮起することにつながりました。悔しい気持ちがバネになって勉強するスイッチが入りましたね。

いろいろな国の人と話していると、日本では当たり前のことが当たり前ではないこともわかってきました。そして、海外の人は個人の考えをとても大切にするんですよね。日本では、協調性を第一に考えることが多かったり、ちょっと控えようと思うこともありますよね。でも、海外に行って、もっと自分の意見を言っていいんだと思ったんです。ただ意見を言うのではなく、その時々に応じて、相手に応じた伝え方がきちんとできれば、解決できると思うんです。日本語は同じ意味でもいろいろな言葉がありますよね。それを何でもっと早く学ばなかったんだろうと思いました。人と話すのが好きだからこそ、そういうところに気づけばよかったなと。海外での生活を通じて日本語の素晴らしさもあらためて実感しました。

―スポーツマネジメントの夢からセカンドキャリアを支援する夢へと変化したきっかけは?

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島田:留学中に、海外のスポーツ選手と話す機会があり、話をしていると、皆さん、引退後のセカンドキャリアについてきちんと考えているんですよね。

それを自分に置き換えた時に、私が今歩んでいるのがセカンドキャリアのためだと気づいたんですね。芸能界ではあまり考えていないかもしれないと思ったんです。当時はセカンドキャリアという言葉自体、広く知られているものではありませんでした。

もし、アイドルを卒業する前に、5年後を考えて計画的に行動していたらどうなっていたのだろうか、卒業して外の世界にいる先輩から話を聞く機会があったらもっと世界が広がっていたのかもしれないと気づき、いろいろ聞いてみたら、卒業した人たちの中には、アルバイト経験がないから社会に出てもコンプレックスになっていたり、パソコンのスキルがなくて苦労していたり、学歴コンプレックスに悩んでいたりということがわかってきました。

スポーツマネジメントをやりたいと考えた原点は、人と関わることが好きで、人を支えたいという気持ちから発生している夢なんです。セカンドキャリアはスポーツ選手だけではないなと思い、社会経験を積んで自分が体験して、アイドルがどういう立ち位置でビジネスに関わっていけるかを考えようと思いました。

自分の足できちんと立つために社会経験を積む

―セカンドキャリアを支援するために、帰国後はどうされたのですか。

島田:アイドルがビジネスに関わる強みを知るためにも、私が経験しないと説得力がありません。自分を鍛え直すために社会経験を積もうと思い、広告代理店に就職しました。

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2年間、雑誌広告部の営業に携わりましたが、就職してから半年ほどは、パソコンがうまく使えず大変でした。営業という職種に慣れなくてすごく悩みましたし、お酒でストレス発散していました。苦しすぎて、アイドル出身だと普通の社会人になれないんじゃないかと思った時もありました。

―会社員として働いて、どのようなことが起業につながりましたか。

島田:「アイドルだったからアルバイトの経験もないからできないよね」と言われることもありました。仕事をするうえで必要最低限のこともわかっていなかったんです。

でも、パソコンのスキルが身についてきて、営業職に慣れてくると、今こういうことを求められているから、こういう企画を出してみようと考えることが楽しくなりました。

そこで、セカンドキャリアをスムーズにするためには、社会人としての最低限の技術を学んでおいたほうがいいと思いました。挫折しないように、楽しく仕事を続けられるようにするには、パソコンスキルやビジネスマナーなど、私が苦労したことをプログラムとして開発して、それを習得してから仕事のマッチングができるようにするといいと思ったんです。

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