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リーダーにぶれない軸があってこそ部下の個性は生きる

しかし一方で組織である以上は、まとまらない人々をそのままにはしておけません。そういう多様な人材の使い方をよく心得ていたのは、やはり織田信長でしょう。肝心なところは、長良川の鵜(う)ではありませんが、やはり配下の者にひもを付けていました。それも非常に巧みに。実際、現場ではそれぞれの主体性、能力を生かすことを、ほとんど丸ごと認めていたタイプですね。

― 信長のイメージとしては、意外です。

信長は単純な暴君ではありません。彼は、部下に対して、任せようという心持ちを無限に持っていた人物です。それは組織の構成員の自治ですね。それによって部下は、自らの能力を認識して、発揮し、成果を生んでいくのです。
信長は、部下が戦いに勝って取った土地はそれぞれに治めさせました。自分によこせなどということを一切言っていません。彼自身の直轄地は、ごくわずか。今でいえば、小さな本社があるだけです。一方、現場の自治を認めて、権限も大きく委任しましたから、相応の責任もあります。「失敗しました。どうしましょう」などと泣き付いてくるなというのが、信長の厳しいところでもあります。ですが、豊臣秀吉にとっても、石田三成にとっても、「信長に付いていこう」と思わせるだけの魅力があったのでしょうね。

― 確かに気性の激しさとともに、人間的魅力を感じさせる人物ではあります。

そうですね。それこそ信長の「風度(ふうど)」です。風度とは、人格、器量、風格、魅力、カリスマ性などが入り交ざって醸し出されるその人物の雰囲気であって、「この人なら」「あの人らしい」と周囲に思わせるものです。

信長自身は、自分の風度には気付いていません。リーダーシップに関する発言は、信長にはまったくないのです。彼にあったのは、ある種のユートピア思想ですね。そうした信長の哲学を知らしめるエピソードがあります。
あるとき、信長が戦に出ようとすると、農民が畑仕事の合間に、ぐうぐう高いびきで昼寝をしていたんだそうです。それを見た部下は「領主が戦争に行こうというときに寝ているのは何事だ。たたっ斬ってしまえ」と怒るわけです。すると信長は、「自分はこういう光景こそが好きなのだ。領主が出陣するというときに、そんなことお構いなく農民が昼寝をしている、そういう国を造りたいんだ」と言って、部下をたしなめました。
この思想は、彼の生まれた尾張国、今の愛知県に昔から伝わる神話が元になっていると思われます。愛知県という県名の由来にもなっていますが、尾張には、空から幸福の風「あゆち」が吹いてきて、それが尾張国に上陸するという「あゆち」伝説がありました。私は、信長が天下を目指したとき、日本中に、あゆちの風を吹かせたいと願ったのだろうと思っています。
松陰にしても、信長にしても揺るぎないビジョンがありました。個人の力を生かし、人を動かすために、リーダーには確固たる軸が求められます。リーダーのぶれない姿勢が、部下の意識改革にもつながっていくのです。

~ 今回の童門さんへの取材を通じて ~

松陰にしても、信長にしても、優れたリーダーには揺るぎないビジョンがあります。個人の力を生かし、人を動かすには、確固たる軸が必要なのです。現代の私たちも、リーダーのぶれない姿勢こそ、部下の意識改革につながっていくのだということを、心に留めていなくてはなりませんね。
次回は「変化を読むスピーディな対応力」というテーマでお話を伺います。

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