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― 天才指揮官と言われる正成においては、打倒鎌倉幕府、後醍醐天皇による新しい政府の樹立ですね。

つまり、決して自分の利益のためではないのです。今の世でいえば、自社の利益を追うだけでなく、お客さまのためという大義名分がなくてはいけないと思います。
加えて言えば、そういうタスクフォースに集まる人間というのは、安定した場所に落ち着きたいというよりも、自分の能力を100%発揮したい、そういう機会が得られれば、それでいいんだという志向の持ち主です。そこには、そういう人材を集めて、その能力を100%発揮させることのできるリーダーが必要なのです。これが楠木正成であり、源義経であり、あるいは真田幸村だったわけです。
戦国時代など、これがコラボレーションだ、と理論化される以前に、信長や秀吉といった大きな流れに取り込まれて顕在化していませんが、実は、大きな、パーマネントな組織にあっても、小さな島というか、そういう技能集団がたくさんいました。そして、そのタスクフォースチームと固定的な役割を担うメンバーとを上手にまとめられるリーダーのさじ加減もまた非常に難しいのです。
ただ、私は以前から言っているのですが、安定した会社こそ、こうしたタスクフォースのチームを活用して、沈滞化してしまいがちな組織の活性剤とすべきなのです。そのために、タスクフォースの人材とともに、トップ層にも、そうした人材を活用できる専門職が必要かもしれません。

固定した組織の中にも多様な人材のコラボレーションで新鮮な風を

― 吉田松陰がそうだったように、コラボレーションという言葉を大きくとらえると、組織の中での違うスキル、個性を融合させるというものもありますね。

そういう話に事欠かないのは、加藤清正です。安土桃山時代から江戸時代初期にかけての肥後藩(熊本)の武将です。清正は、人使いの名人と言われていて、失業した武士にとって加藤家は、就職希望者が殺到する「会社」でした。
ある時、若者、中年、それに高齢者と世代の違う武士が3人、就職したいと城を訪れました。就職試験の折り、清正は重役たちが面接をしている脇で黙って見ていて、採用、不採用の指示を出すのですが、その時も側で面接の様子をうかがっていました。
面接を始めると、最年長の武士は「もう合戦ばかりで疲れてしまった。加藤家に来て、お茶でも飲みながらゆっくりしたい。その時には、茶飲み話として、皆さんに経験談をお話したい」と言い出したのですね。面接官は「何だ?」と思いますね(笑)。そこで当然、不採用だと思いながら重役が清正を見ると、これが、採用、という合図をしています。
面接官は、いぶかりながら今度は、中年者の話を聞くと「今までの大名家では、正当に自分の成果を評価してくれなかった。だからこんなうらぶれた浪人になってしまった。加藤家はそういうことを公正に見てくださるといううわさがあるから、ぜひ加藤家のために手柄を立てて、もっと出世したい」と言うわけです。面接官はこれにもまた、「こんな年でまだ出世がしたいなんて、人間ができていない」と思うわけです。ところが清正を見たら、やはり採用のサインを送ってくる(笑)。
さあ、今度は若者の番です。「加藤家は、大手として名高く、大名の間で盛名をはせている。しかし私はそうは思いません。伺う前に、加藤家のことをいろいろ調べたところ、この家の抱えている大きな危機が3つ程見えてきました。第1、第2の危機は、トップマネジメントグループのものであって、一般社員が参画できる問題ではありませんが、3つ目は、加藤家から給料をもらう者全てが関心を持たなければいけない危機です。この危機解決については、もし私をご採用いただければ、これこれの方法などいくつか方法を提案できます。いかがでしょう?」と、とうとうと語るのです。面接官は皆、感動して、当然採用だろうと清正を見ると、なんと彼は不採用なのです。

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