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「単一の取引だけではなく、取引先の口座やそれにひも付く関連決済まで含めてデータを抽出し、詐欺検知システムで過去の取引実績と照合するなどリアルタイムかつ総合的な分析を行っています。取引が完了した後で、それが不正なものと分かっても手遅れ。だからこそ、リアルタイム性にこだわっているのです。不正送金やマネーロンダリングなどを瞬時に“見破る”ことで、リアルタイムなリスク管理を実現しています」と笹平は説明する。

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 リアルタイムなデータ活用の“波”は金融業界以外にも広がりつつある。東南アジアの大手通信会社の取り組みはその好例だ。

 東南アジア諸国は著しい経済発展と呼応し、通信環境も目覚ましい発展を続けている。コミュニケーション手段はSMS(ショートメッセージサービス)やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が主流だ。特にSMSは料金が字数で決まる上、プリペイド式の支払形態が多いため、利用者の料金感覚は日本以上にシビア。通信各社はさまざまな割引プランやキャンペーンを展開するなど“サービス合戦”が盛んだ。

 そうした中、東南アジアの大手通信会社はライバルに差をつける画期的な取り組みを実践している。全国に展開する膨大な交換機から全ユーザーのSMSの利用状況を把握。契約回線4,000万回線以上、最大毎秒10万トランザクションという膨大なデータをリアルタイムに処理し、SMSを利用したタイミングで、利用状況に応じた割引クーポンを発行しているのだ。

 「バッチ処理ではなくリアルタイムに処理することによって、割引クーポンの即時発行のほかにも効果的なキャンペーンを次々と打ち出すなど、他社では真似のできない施策を実践しています」と話す笹平。利用状況を反映した割引サービスを即座に受けられるので、新規顧客の獲得と既存顧客の離反防止につながり、同社の競争優位の大きな源泉になっているという。

“宝の山”の前に立ちはだかる3つのハードル

 紹介した先進企業の取り組みは注目に値するが、その仕組みを実現するのは容易ではない。それはなぜか。「リアルタイムなデータ活用を図るには、3つのハードルがあるからです」と笹平は指摘する。

 1つ目は「既存システムの高い壁」だ。膨大なデータをリアルタイムに分析する仕組みを実現するには、既存システムだけでは十分ではない。場合によってはシステムの大幅な改修が必要になる。「『すでに安定稼働しているシステムに、リスクを冒してまで手を加える必要があるのか』といった現場の抵抗は根強い。既存システムへ極力負担をかけない形で新システムの導入を図ることが肝要です」と笹平は語る。

 2つ目は「処理スピードとのせめぎ合い」である。膨大なデータをリアルタイムに処理するには、システム側に高速な処理能力が求められる。しかし、データ量が増大し処理ロジックが複雑化すると、当然ながらシステムへの負担は重くなる。特に過去のデータをひも付けした形での検索・抽出処理では、その傾向が顕著だ。

 広く利用されているデータベースシステムは逐一データをディスク上に書き戻す仕組み。このI/O処理が処理スピードを阻害する大きなボトルネックとなっている。「データベースに起因するこの問題は、インフラの刷新だけでは解決できません。データ処理の高速化を図る手立てを考えるべきです」(笹平)

 そして3つ目が「変化に対応した柔軟性」である。データの分析基盤は作って終わりではない。分析の精度を高めていくには、常に最新のデータを取り込むだけではなく、ビジネス環境の変化に対してシステムとビジネスの両面で柔軟に対応できる仕組みが必要である。「変化の激しいビジネス環境の中で競争優位を獲得するには、システム部門とビジネス部門が連携し、分析結果を基にした戦略的な施策でいち早く先手を打つことが大切です」(笹平)

3つのハードルをクリアするための手立て

 組織内に散在する膨大なデータは“宝の山”である。活用次第で新たな価値を創出し、競争力強化の切り札となる。その“宝の山”の前に立ちはだかる3つのハードルをクリアするにはどうすべきか。

 処理スピードとのせめぎ合いを解決するには、新たなテクノロジーの活用が有効である。データの高速処理を実現する「インメモリ・パイプライン処理」はその1つだ。データをメモリ上で流れ作業のように一気通貫で処理することで、ディスクI/Oによる処理遅延を回避する。

 ただし、こうした技術を搭載したパッケージ製品の利用にも課題があるという。「これまでのETL(Extract/Transform/Load)やDWHなどを組み合わせる手法では、データの受け渡しなど、処理の過程でボトルネックが生じてしまいます。こういったボトルネックは、システムやデータ量が大規模になるにつれ無視できないものになります」(笹平)

 このような課題に対し、最近ではデータの収集から加工・保存、品質監視・管理・統制に至る一連の処理を、単一のプラットフォームで実現できるソリューションが提供されているという。こうしたソリューションを活用すれば、3つのハードルをクリアし、リアルタイムなデータ活用を一気に加速することができそうだ。

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