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特集:ニューロビジネス
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最近、ニューロマーケティングやニューロマネジメントといった言葉を聞く機会が増えた。脳科学のビジネス分野への適用が本格化しつつある。脳科学の知見をビジネスのさまざまな分野に活用することで、新しい価値を創造することができる。海外企業の積極的な姿勢が目立つ一方、一部の先進企業を除けば、日本企業の動きは鈍いようだ。脳科学に対する現在の取り組みは、将来の企業の姿を左右する。今、脳科学というフロンティアへの向き合い方が問われている。

近年、急速に脳科学への関心が高まりつつある。例えばITの分野では、脳の神経回路網を手本にしたプロセッサーの開発など、脳科学の知見が取り入れられ進化が加速している。脳科学の応用はITの分野だけにとどまらない。マーケティングやマネジメントなどのビジネス分野にも、脳科学の成果を活用しようという動きが始まっている。

従来の調査手法の限界を超えるニューロマーケティングへの期待

脳科学が注目されている背景として、『脳科学がビジネスを変える』の著者、NTTデータ経営研究所の萩原一平氏は大きく3つの側面があると指摘する。
「第1に社会的側面があります。脳や精神に関わる病気は増え続けており、原因の解明や治療法の研究アプローチとして脳科学への期待が高まっています。第2に技術的な側面。脳の活動を可視化するfMRI(機能的MRI)など、さまざまな技術が急速に発展してきました。第3にビジネス的側面があります。マーケティングや研究開発などの分野で、脳科学を活用する企業が増えつつあります」(図1)

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消費者がモノを購入するときの心の動きや潜在ニーズなどが分かれば、より良い商品やサービスを企画し、消費者が欲しいと思う適切なタイミングで情報を提供し、購買を促すことができる。
しかし、以前から行われているアンケートやグループインタビューには限界があった。アンケートに回答するときと買った瞬間では脳の動きが違うからだ。スーパーの商品棚を見て、「何となく気に入って」モノを買い物カゴに入れたときの「何となく」の感覚を、アンケートで再現するのは難しい。こうした課題を解決する手法として、ニューロマーケティングが注目されている。広告や商品サンプルなどを実験協力者に示して、脳の活動を測定して消費者の反応を見るという手法だ。近年は、脳科学と行動経済学の接点における研究も進みつつある。一橋大学大学院の阿久津聡教授は次のように語る。
「行動経済学とは、心理的な影響を考慮した上で実際に観察される経済行動を分析対象とするもの。その意思決定メカニズムを、脳神経の活動によって直接的に説明しようとしているのが神経経済学(ニューロエコノミクス)です」ニューロマーケティングは、ニューロエコノミクスの一分野ということもできる。これにより、「脳神経活動の分析から、顧客自身も気付いていない洞察までも引き出すことが可能」と阿久津氏は続ける。
「顧客満足を重視している企業は多くありますが、顧客満足を掘り下げると脳の満足に行き着きます。『いかに顧客の脳を喜ばせるか、心地よくさせるか』を考えなければなりません。企業が提供する商品やサービスは媒体なのです。最終ゴールはお客さまの脳を喜ばせることですから、パッケージで脳を喜ばせるということも大切です」(萩原氏)

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