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特集:プリスクリプティブ分析
特集:プリスクリプティブ分析
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IT(情報技術)の発達に伴い膨大なデータが集積されるようになり、この「ビッグデータ」を分析して新しい知見や価値を生み出す試みが広がりを見せている。そうした中で、ビッグデータを分析する手法として「プリスクリプティブ分析」が注目されるようになってきた。「指示的分析」、「処方的分析」などと訳される分析手法で、複雑な条件の組み合わせの中から「目的」に対する最適な解を導こうというものだ。多くのビッグデータ分析で使われている「説明的分析」、「予測的分析」との違いや、適用でメリットが得られる範囲など、プリスクリプティブ分析の特徴をひもといてみた。

日常生活からビジネスシーンまで、現代はデジタル化されたデータと縁が切れることがない。例えばスマートフォンを使うと、アプリで使ったデータはもとより、位置情報や加速度などのデータが刻一刻と生まれてくる。多くの人のスマートフォンの利用データを集めて分析すれば、繁華街の人の流れや若者のコミュニケーションの様子が見えてくるのだ。
こうしたビッグデータの活用が可能になり、消費者の行動や渋滞予測、工場の機器の生産管理など、幅広い用途で統計的なデータ分析が役立てられるようになってきた。

3種類の分析方法がそれぞれ適材適所に

ビッグデータ分析を行うときは、分析した結果から成果を得る目的がある。企業ならば、より高い生産効率を上げる生産システムを作り上げることであったり、顧客満足度の高いサービスを提供することであったり、もっと端的に利益につながる施策を実行することだったりする。すなわち、目的に合致した分析手法を採用することが、ビッグデータ活用の成否を決めるポイントになる。
統計数理研究所でデータ分析の研究を行う丸山宏教授は、ビッグデータ分析の元になる統計的なデータ分析には大きく3つの手法があると指摘する。
「シンシナティ大学のジェームズ・エバンス教授による3種類の分類がわかりやすいと思います。データ分析によって『何が知りたいか』、それによって手法が異なってくるのです」(丸山教授)。3種類の分析手法とは、「説明的データ分析」、「予測的データ分析」、「指示的(処方的)データ分析」(プリスクリプティブ分析)である(図1)。

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説明的データ分析は、過去から現在までのデータを基にして、「何が起きたか」を知ることが目的となる。過去に何が起きたかを分析することで、意思決定ができるケースで役立つ分析手法である。
例えば、ある地域で売上が落ちているとき、現在までのデータを分析することで「その地域の経済が悪化している」「出荷した製品の品質管理に問題があった」といった現象がわかる。過去の現象が判明すれば、対策として次の一手を打つことが可能だ。意思決定を支援するのが、説明的データ分析である。
一方の予測的データ分析は、過去から現在までのデータから、将来に「何が起こるか」を分析する手法である。例えば、次の週末の弁当の売れ行きが予測できれば、材料の仕入れを適切に行うことができる。生産システムの故障を予測できれば、トラブルが起こって生産に支障が生じる前に、適切な点検や保守が行える。過去のデータから予測モデルを作り、将来の事象を予測することで、意思決定に役立てるというわけだ。
もう1つの指示的データ分析すなわちプリスクリプティブ分析は、ここまで見てきた説明的データ分析や予測的データ分析と、少し様相が異なる。「何が起こったか」「何が起こるか」という事象を分析するのではなく、「何をすればベストか」という行動を知ることが目的の分析手法だからである。
目的としては、例えば「弁当の売上や利益を最大にする」ことが挙げられる。仕入れコストを一定の制限にした中で、どのような弁当の種類をどのぐらいの数ずつ用意すればいいかの意思決定が必要になる。仕入れる材料、作る弁当の種類、数など複数の手段(打ち手)が複雑に絡みあう中で、売上や利益を最大化するための打ち手を決めるために、データ分析の結果を活用する。
丸山教授は、「現実の企業活動などでは、打ち手の組み合わせが非常に多くあります。どう組み合わせるとコストを下げられるのか、利益を上げられるのかは、個々の打ち手のデータ分析の結果からは見えてきません。プリスクリプティブ分析は、『これを実行すれば解決できる』という判断の基準を指示してくれる分析手法です。最適化するための道筋を見つける手法と言い換えるとわかりやすいでしょう」と語る。
現実の企業活動や消費者の行動などをデータ分析する際には、1つのデータ分析手法で満足できるケースは少ない。説明的データ分析で過去の状況を「見える化」し、そこから得られた状況を改善するために予測的データ分析で今後の対策を検討し、さらにプリスクリプティブ分析で対策とコストの最適化を図るといったように、分析手法を組み合わせることも必要だ。そのためには、データ分析の目的を明確にし、目的に合致した分析手法を適用するための知見が求められる。

次ページ 最適な結果を得られるように打ち手の組み合わせを指示

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