
現代のビジネス環境において、企業の情報セキュリティはますます重要な課題となっています。
テクノロジーの進化に伴い、さまざまなデジタルツールやクラウドサービスが日常業務に取り入れられるようになりましたが、それに伴い「シャドーIT」のリスクも増加しています。これは、企業にとって重大な経済的損失や信用の失墜を招く要因となります。
ここでは、シャドーITを防ぐための効果的なセキュリティ対策を4つご紹介します。
01 シャドーITとは
シャドーITとは、企業や組織の正式なIT部門の管理外で、従業員やチームによって採用・使用されるITツールやサービスを指します。具体的には、社内で許可されていないクラウドサービス、ファイル共有ソフトウェア、メッセージングアプリなどが該当します。
一見すると、シャドーITは迅速な業務遂行や柔軟な働き方を促進するように見えますが、組織のセキュリティやデータ管理に対するリスクを増大させる可能性があります。
02 シャドーITが広まった理由・背景
シャドーITの普及には、現代のビジネス環境及び技術の進歩が密接に関係しています。まず、クラウドテクノロジーやモバイルデバイスの進化により、誰でも簡単に便利で効果的なツールへアクセスできる環境が整いました。
これにより、従業員は公式な手続きを経ることなく、自らのニーズに合ったツールをすぐに利用できるようになったのです。
また、ビジネスの競争が激化する中で、迅速な意思決定と効率的な業務遂行が求められるようになっています。組織の正式なITプロセスやツールの導入が遅れる場合、従業員は自主的に最適なソリューションを選択する傾向が強まります。この傾向は、特にリモートワークやグローバル化が進展する中で顕著になっています。
加えて、フレキシブルな働き方を支持する企業文化の変化も背景にあります。異なる働き方をする人々が増える中で、それぞれの業務スタイルに合ったツールの必要性が高まっています。その結果、シャドーITが自然発生的に広がっていったのです。
03 シャドーITを防ぐための効果的なセキュリティ対策

前述したように、シャドーITは大きなセキュリティリスクを抱えています。このような状況に対応するためには、企業や組織が確固たるセキュリティ対策を講じる必要があります。以下に、シャドーITを防ぐための具体的な対策を紹介します。
3-1. シャドーITの可視化
監視ツールの導入
まずは、社内で使用されているツールやサービスを把握することが重要です。ネットワーク監視ソフトウェアを用い、データトラフィックをリアルタイムで解析します。これにより、どのツールやサービスが使用されているかを特定し、シャドーITの跡をたどることができます。
定期的な利用状況の調査
定期的に社内のシステムやデバイスを調査し、使用されている各種ツールをリストアップします。このリストを元に公式なツールとの比較を行い、許可されていないツールの使用を発見します。
従業員による自己申告制度の設置
従業員に対して、業務に使用しているツールやサービスを自己申告してもらう制度を設けます。この情報は、シャドーIT対策のための貴重なデータとして活用できます。
3-2. 公式ツールの選定と提供

公式ツールの選定:ニーズの把握
まず、従業員や部門の具体的な業務ニーズをしっかりと把握することが重要です。どのような機能が必要とされているのか、現行のツールで何が不足しているのかを理解するためにヒアリングを実施します。
公式ツールの選定:市場調査と評価
業務ニーズに基づき、市場で入手可能なツールを調査・評価します。セキュリティ性、使いやすさ、コスト効率を考慮し、従業員の満足度と業務効率を最大化できるツールを選定します。
公式ツールの選定:セキュリティ基準の確認
選定に際しては、ツールが企業のセキュリティ基準を満たしていることを確認します。データ保護機能やアクセス管理の強度が十分であるかを検証し、安心して使用できる環境を提供します。
公式ツールの提供:アクセスと使用方法の周知
選定された公式ツールを従業員に提供し、そのアクセス方法や使用方法を周知徹底します。トレーニングを通じて、新ツールの使用感を高め、その利便性を理解してもらいます。
公式ツールの提供:継続的なサポート体制
従業員がトラブルに遭遇した際に備えて、技術サポート体制を整えます。迅速な対応を可能にすることで、従業員が安心して公式ツールを利用できるようにします。
公式ツールの提供:フィードバックの促進
ツール使用に関するフィードバックを定期的に収集し、必要に応じて改善を行います。従業員のニーズに対応することで、非公式ツールへの移行を未然に防ぎます。
3-3. セキュリティ教育の実施

シャドーITのリスクと許可されたITツールの重要性を説明
まず、シャドーITが組織のセキュリティやデータ管理に与えるリスクについて具体的に説明し、どのような影響が可能性として考えられるのかを従業員に理解してもらいます。
また、なぜ特定のツールやサービスが許可されているのか、その選定理由やメリットを従業員に伝えます。公式ツールを使用することで得られるセキュリティの強化についても重点的に説明します。
自主的な問題解決と相談
シャドーITの必要性を減らすため、従業員が業務上の課題に直面した際に、IT部門へ相談する文化を促進します。個人が問題を独自に解決しようとするのではなく、組織として対応する道を提供します。
セキュリティポリシーの周知と定期的なトレーニング
組織のセキュリティポリシーや手続きについて詳しく説明し、従業員が日常の業務でどのようにそれに従えば良いかを具体的に指導します。
また、セキュリティ教育は一度限りのものではなく、継続的に実施することが重要です。最新の脅威や技術的な知識について学ぶ場を提供し続けます。
3-4. 監視と報告システムの導入

リアルタイムネットワーク監視
ネットワーク監視ツールを導入し、データトラフィックやアクセスパターンを解析します。異常な活動を検出した場合、アラートを発信することで、即座に対応を促します。
ログ管理と分析
システムログを詳細に管理し、パターンを分析することで、シャドーITの使用を特定します。ログの長期保存と定期的なレビューを通じて、過去の活動に基づいた予測と対応策を構築できます。
自動アラート機能の実装
不審な動きを自動的に検知できるアラート機能を備えた監視システムを導入します。これにより、迅速な問題解決が可能となり、ダメージを最小限にとどめることができます。
ダッシュボードによる視覚化
組織のIT状況をダッシュボードで視覚化し、わかりやすく管理者に報告します。ダッシュボードは、重要な指標や異常がすぐに視認できるように設定しましょう。
定期的な報告書の提出
IT環境の状態を定期的に報告書としてまとめ、経営層と共有します。この報告には、シャドーITに関連するリスク評価と改善策の提案を含むようにしましょう。
04 まとめ
シャドーITは、企業にとって深刻な脅威となりますが、適切な対策を講じることでそのリスクを大幅に軽減することが可能です。シャドーITの危険性を知り、なぜ使用してはいけないのかを教育することで社員の理解を得られます。
また、使用を禁止するだけではなく、どのようなツールが使えたら効率的になるのか、社員とのコミュニケーションも大切です。適正なツールを選び、定期的な報告書を作成することで継続的にシャドーITを防ぎましょう。
また、弊社ではゼロトラスト型セキュリティサービスを提供しています。シャドーITはもちろん、セキュリティに不安がある方、忙しくて対策を講じることが難しいという方もお気軽にご相談ください。