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TOPソリューション・プロダクトコラムそのゼロトラスト導入は本当に必要か ―経営判断として考える最適な導入水準―
2026.04.13

そのゼロトラスト導入は本当に必要か ―経営判断として考える最適な導入水準―

そのゼロトラスト導入は本当に必要か ―経営判断として考える最適な導入水準―

これまでのコラムでは、ゼロトラストの導入手順や運用体制、そして期待通りの成果が得られない背景にある構造的な課題について整理してきました。

その中で見えてきたのは、ゼロトラストは単なる技術導入ではなく、体制や運用を含めた継続的な取り組みであるという点です。そのため、「導入するかどうか」という判断は、IT部門だけで完結するものではありません。

ゼロトラストは最終的に、企業としてどのようにリスクと向き合うかという意思決定に関わるテーマです。

本コラムでは、ゼロトラストを「経営判断」として捉えるための視点を整理します。

01 セキュリティは「コスト」ではなく「リスク管理」である

一つのブロックが抜かれることで全体が崩れ始めるジェンガの構造を通じて、セキュリティが単なるコストではなく事業全体に影響するリスク管理であることを示したイメージ図

セキュリティ対策は、これまで「コスト」として捉えられることが多くありました。しかし現在では、その位置付けは大きく変わりつつあります。

サイバー攻撃は特定の企業だけを狙うものではなく、規模や業種を問わず広く対象となっています。また、ひとたびインシデントが発生した場合には、

  • 業務停止 
  • 情報漏えい 
  • 信用低下 
  • 取引への影響 

といった形で、事業そのものに影響が及びます。

つまりセキュリティは、単なるITコストではなく、事業リスクをどこまで許容するかという経営課題として捉える必要があります。

02 見えるコストと見えないコストを分けて考える

水面上に見える費用と水面下に隠れた損失や負荷を氷山で表現し、見えるコストと見えないコストの違いを示したイメージ図

ゼロトラスト導入を検討する際、まず意識されるのは導入費用や運用費用といった「見えるコスト」です。

例えば、

  • 製品ライセンス費用 
  • 導入・構築費用 
  • 運用サービス費用 

などが該当します。

一方で、実際の意思決定においては、「見えないコスト」の存在が大きな影響を与えます。

  • 情報システム部門の工数増加 
  • インシデント対応の遅れによる影響 
  • 業務停止による損失 
  • セキュリティ要件未達による取引機会の損失 

これらは定量化しにくいものの、事業に与える影響は決して小さくありません。ゼロトラスト導入の判断は、これらの見えないコストも含めて評価する必要があります。

03 「導入すべきか」ではなく「どの水準で実現するか」

複数のフェーダーを調整するミキサーのような構図で、ゼロトラストは導入するかどうかではなく、どの水準で実現するかを調整して決める考え方を表したイメージ図

ゼロトラストについては、「導入すべきかどうか」という議論になりがちです。

しかし実際には、重要なのはその二択ではありません。現実的な問いは、

どの水準で、どの体制で実現するのか

という点にあります。

例えば、

  • 自社主体で運用するのか 
  • 外部と分担するのか 
  • どこまでの範囲を対象とするのか 

といった選択によって、必要なコストや運用負荷、得られる効果は大きく変わります。

この観点は、こちらのコラムで整理した「運用責任」の違いとも深く関係しています。

04 自社にとって現実的な選択肢を見極める

軽装と重装の防具を並べて示し、自社の状況に応じて守り方や導入レベルの現実的な選択肢が異なることを表現したイメージ図

すべての企業にとって最適なゼロトラストの形があるわけではありません。

例えば、

導入を積極的に検討すべき企業

  • クラウドサービスの利用が増えている 
  • 社外からのアクセスが多い 
  • 取引先からセキュリティ要件が求められている 

段階的な検討でもよい企業

  • 業務環境が比較的固定されている 
  • 外部接続が限定的である 
  • リスク許容度が低い領域が明確である 

このように、自社の業務環境やリスク特性に応じて、
現実的な導入レベルを見極めることが重要です。

05 支援企業を選ぶ際に見るべきポイント

複数の担当者が設備や監視環境を支える様子を通じて、運用責任、初期設計、継続的な運用支援といった支援体制の重要性を表したイメージ図

ゼロトラスト導入を検討する際には、どの製品を選ぶかだけでなく、どのような支援体制が提供されるかも重要な判断軸になります。

特に注目すべき点は、

  • 運用責任をどこまで分担できるか 
  • 初期設計がどこまで整理されているか 
  • 継続的な運用支援があるか 

といった点です。

これらは、第4回で整理した「提供形態の違い」とも関係しており、導入後の運用負荷や安定性に大きく影響します。

06 まとめ:ゼロトラストは「どう実現するか」を問う経営テーマである

本シリーズでは、ゼロトラストの基本的な考え方から、導入手順、運用体制、そして成果が出ない背景にある構造までを整理してきました。その中で明らかになったのは、ゼロトラストは単なる技術導入ではなく、体制・運用・コストを含めた総合的な取り組みであるという点です。

重要なのは、「導入するかどうか」ではなく、自社にとって現実的な形でどの水準まで実現するかを見極めることです。

その判断には、

  • リスクをどこまで許容するのか 
  • 運用負荷をどのように分担するのか 
  • どこに投資すべきか 

といった観点が不可欠であり、最終的には企業としての意思決定が求められます。

ゼロトラストは、適切に設計・運用されれば、セキュリティリスクの低減に大きく寄与する有効な考え方です。一方で、その前提が整わないまま導入を進めると、期待した効果が得られない可能性もあります。

だからこそ、ゼロトラストはIT部門だけで完結するテーマではなく、経営としてどのように向き合うかを検討すべき課題と言えます。

その際には、自社の状況に応じた現実的な導入レベルや運用体制について、専門的な知見をもとに整理することも有効です。
ドコモソリューションズでは、ゼロトラストの導入検討から運用設計まで、企業ごとの状況に応じた支援を行っています。