「エンドポイントセキュリティとウイルス対策ソフトの違いがよくわからない」「EDRやEPPなど、専門用語が多すぎて自社に合った製品選びが難しい」—こうした課題は多くの企業で共通して見られます。
近年、サイバー攻撃の手法はますます巧妙化し、従来のウイルス対策ソフトだけでは企業の情報資産を守りきれない時代になっています。特にテレワークやクラウドサービスの普及により、社外で利用される端末やサービスが増え、セキュリティ対策の対象範囲も広がっています。
本記事では、「エンドポイントセキュリティとは何か?」という基本から、導入のポイント、製品選定の考え方まで、IT担当者が押さえておきたい基礎知識をわかりやすく解説します。
01 エンドポイントセキュリティとは?

エンドポイントセキュリティとは、企業のネットワークに接続される端末(=エンドポイント)に対して、サイバー攻撃や情報漏えいのリスクから守るためのセキュリティ対策を指します。
「エンドポイント」とは、PC、スマートフォン、タブレット、IoT機器など、ネットワークの末端に位置するデバイスのことです。従来は社内のPCが中心でしたが、テレワークやBYOD(Bring Your Own Device : 私物端末の業務利用)の普及により、社外で使用される端末も管理対象に含める必要があります。
これらの端末は、外部との接点になるため、攻撃者にとって格好の侵入口です。企業は、自社で使用されているすべてのエンドポイントを把握し、それぞれに適切なセキュリティ対策を施すことが求められます。
02 エンドポイントセキュリティが求められるようになった背景

なぜ今、エンドポイントセキュリティが重要視されるようになっているのでしょうか。
その背景には、業務環境の変化とサイバー攻撃の高度化があります。テレワークやリモートワークの普及により、企業が管理すべき端末(エンドポイント)の数と種類は大幅に増加しています。従来のように社内ネットワーク内のPCだけを守るセキュリティ対策では、もはや十分とは言えません。
さらに、従来型のウイルス対策ソフトでは検知が難しい、AIを悪用した新たな攻撃や標的型攻撃の高度化など、サイバー攻撃は多様化・巧妙化しています。
警察庁サイバー警察局企画課のレポートによれば、2025年上半期における日本企業のランサムウェア被害の公表件数は116件に達し、2022年下半期と並んで最多と報告されています。
このような状況下では、ネットワークの末端であるエンドポイントを個別に保護することが企業の情報資産を守るうえで不可欠です。すべての脅威を未然に防ぐことは現実的ではないため、侵入を前提とした検知・対応体制の整備が重要です。
03 エンドポイントセキュリティの主な機能

エンドポイントセキュリティは、複数の機能を組み合わせて脅威に対応します。代表的な3つの機能は以下の通りです。
EPP(Endpoint Protection Platform)
ウイルス対策、ファイアウォール、デバイス制御などの基本的なセキュリティ機能を統合的に提供するプラットフォームです。EPPは基本的な防御を担い、単体では高度な攻撃への対応に限界があります。
NGAV(Next-Generation Antivirus)
AI・機械学習・クラウド解析などの技術を活用することで、未知の脅威にも対応できる次世代型のウイルス対策です。予測型の防御が可能で、従来型では検知できなかったゼロデイ攻撃(修正プログラムが提供されていない脆弱性を狙う攻撃)の検知可能性を高めることができます。なお、NGAVはEPPの一部機能として組み込まれている場合も多く、各製品の機能範囲に注意が必要です。
EDR(Endpoint Detection and Response)
端末上の操作ログや挙動を常時監視し、異常の兆候を検知・分析・対応する機能です。万が一侵入を許してしまった場合でも、迅速な検知と対応ができる「事後対策」の役割を担います。
EPP・NGAV・EDRはそれぞれ異なる役割を持ち、組み合わせることで多層的な防御態勢が構築可能です。
04 エンドポイントセキュリティを導入するメリット

エンドポイントセキュリティを導入することで、企業は多層的な防御体制を構築でき、情報資産の保護と業務継続性の両立を実現できます。代表的なメリットとして、以下のような点が挙げられます。
サイバー攻撃の早期検知と被害拡大の防止
EDR機能を活用することで、マルウェア感染や不正アクセスの兆候を早期に検知し、影響を受けた端末をネットワークから隔離し、被害拡大を防げます。
機密データの暗号化による情報漏えい対策
暗号化機能を備えた製品を導入することで、端末や接続先に保存される機密データを自動的に保護でき、万が一の紛失や盗難にも情報漏えいのリスクを軽減できます。また、リモートロックやデータ消去機能により、物理的な端末管理が困難な状況でも安全性を確保できます。
業務効率化と生産性の向上
セキュリティ対策を強化することにより、IT部門の負担軽減や業務の効率化にも寄与します。従業員が安心して業務に集中できる環境を整えることで、企業全体の生産性向上にもつながります。
05 エンドポイントセキュリティ導入時の注意点

エンドポイントセキュリティを導入する際には、以下のような課題や注意点も存在します。
セキュリティ専門人材の確保
エンドポイントセキュリティは、従来のウイルス対策ソフトと比べて、より高度で複雑な機能を備えています。適切な設定やアラートの分析、インシデント対応には専門的な知識と経験が求められるため、社内にセキュリティ人材が不足している場合は、外部支援の活用も視野に入れる必要があります。
既存システムやアプリケーションとの互換性の確認
セキュリティ製品によっては、既存の業務システムやアプリケーションとの間で互換性の問題が発生することがあります。導入前には、十分な検証とテストを行い、業務への影響を最小限に抑える準備が求められます。
インシデント対応体制の構築
新たなセキュリティアラートやインシデントに対応するためには、社内の体制を整備する必要があります。対応手順書の作成、インシデント対応計画の策定、従業員向けの訓練など、事前の準備が重要です。
これらの課題は、導入前にしっかりと把握しておくことで、運用時のトラブルを未然に防ぐことができます。自社の体制や業務環境に合わせて、必要な準備を整えることが、エンドポイントセキュリティの効果的な活用につながります。
06 【オンプレミス型・クラウド型】エンドポイントセキュリティ製品の選び方

エンドポイントセキュリティ製品には、大きく分けて「オンプレミス型」と「クラウド型」の2つの導入形態があります。それぞれに特徴があり、自社の業務環境や運用体制に応じた選定が必要です。
オンプレミス型
自社サーバーやデータセンターに管理サーバーを設置して運用する方式です。エンドポイントから収集されるデータを自社で一元管理できるため、情報管理ポリシーに厳格な企業や、既存の社内システムとの連携を重視する企業に適しています。
一方で、初期投資(サーバー機器・ライセンス・構築費用)が高額になる傾向があり、運用には専門的なIT人材の確保が求められます。
クラウド型
管理サーバーをクラウド上に置き、インターネット経由で利用する方式です。Webブラウザから管理コンソールにアクセスできるため、短期間での導入や、拠点をまたいだ運用がしやすいという利点があります。初期コストが低く、IT人材が限られている企業にも適しています。
ただし、データの保管場所や通信経路に関するセキュリティポリシーとの整合性を確認する必要があります。
近年では、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド型も登場しており、既存システムと新しいクラウド技術の利点を活用したい企業に適した選択肢となっています
07 まとめ

サイバー攻撃の脅威が日々巧妙化する今、企業の情報資産を守るには従来のウイルス対策だけでは不十分です。テレワークやクラウドの普及により、エンドポイント管理の課題も複雑化しています。自社環境に適した製品選定から導入後の継続的な運用まで、包括的な対策が不可欠です。
私たちNTTドコモソリューションズでは、ドコモグループで培った豊富な知見をもとにセキュリティ対策の設計・導入、そして運用までを一気通貫で支援しています。自社のセキュリティに不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。現状の課題を明確にし、最適な対策をご提案いたします。