

SIMカードの有無、オフライン対応の有無、対応言語がポイント
海外との取り引きが多い企業では、日常的に外国語に接する機会がよくあるだろう。近年は中国語など、英語以外の言語への対応も求められる。外国語が苦手で恐る恐る対応しているビジネスパーソンも多いのではないだろうか。
そんな、外国語が苦手な人の心強い味方になってくれるのが、ハンディタイプの翻訳機だ。マイクとスピーカーを搭載した小さいデバイスで、例えば日本語で喋りかけると、指定した外国語に翻訳してスピーカーから発声してくれる。日本語だけでなく、中国語やフランス語、スペイン語などさまざまな言語を相互に翻訳できるので、外国人とのビジネスや接客、海外旅行、語学学習などで便利に使える。航空会社やホテルなど接客業を中心に導入する法人も増えてきた。
多くのメーカーから発売されていて価格や細かな機能はそれぞれ異なるが、基本的な仕組みは同じだ。マイクから入力された言葉をインターネットを通じてクラウド上の翻訳エンジンに送り、そこで翻訳し、翻訳結果を受け取ってスピーカーから流している。カメラを搭載し、撮影した写真に写っている外国語を翻訳できるものもある。スマートフォンでもGoogle翻訳を使って同様のことはできるが、翻訳機のメリットは操作がシンプルで分かりやすいことだ。

「ポケトークS」は、翻訳機の中でも人気の高いソースネクスト「ポケトーク」シリーズの最新モデル

喋った内容を翻訳してくれる。翻訳記録は後からポケトークの専用Webサイトで確認できる
選ぶポイントは、まずインターネットに接続する手段だ。無線LANはどの製品も搭載しているが、携帯電話回線でネットに接続できるLTE通信機能搭載のものなら使う場所を選ばない。製品によっては、通信用のSIMカードが付属するものもある。
次にポイントとなるのが対応言語だ。いずれの製品も主だった言語に対応しているが、製品のWebサイトで対応言語を確認しておこう。ビジネスの現場で使ううえで必須なのが、会話をテキストで表示するディスプレーと、会話を保存して後から読み返せる機能だ。商談の場などで会話の内容を確認するのに役立つ。便利なのは、前述のカメラを使った画像翻訳機能だ。外国語の文書を読んだり、外国語の案内板を見たりするのもコワくない。

翻訳元の言語と翻訳先の言語を設定して使う。言語によっては音声ではなくテキスト翻訳のみの場合もある

背面のカメラで撮影した外国語の文章を翻訳する、画像翻訳機能を搭載する製品もある
ソースネクスト「ポケトークS」は、手の平にすっぽり収まる薄型軽量な翻訳機だ。2.8型ディスプレーを搭載し、スマートフォンのようにタッチで操作する。携帯電話回線でのネット接続に対応し、133の国と地域で2年間使えるグローバル対応SIMカードが付属するモデルを用意する。翻訳結果はクラウド上に保存され、後からパソコンやスマートフォンなどで確認でき、テキストデータとしてコピーして利用可能だ。
背面のカメラを使った画像翻訳機能や、英会話レッスン機能、通貨や長さなどを現地の単位に換算する機能も搭載し、海外出張で役立つだろう。
あると便利なのが、オフライン翻訳機能だ。これはインターネットへの接続なしで一部の言語を翻訳する機能だ。無線LANや携帯電話回線を利用できない場面で使いたい人には必須だ。
キングジム「ワールドスピーク」のポータブルタイプは、携帯電話回線でのネット接続に対応するほか、オフライン翻訳機能にも対応しており、英語、中国語(簡体字)、フランス語、ドイツ語、イタリア語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語などをネット接続なしで翻訳できる。

キングジム「ワールドスピーク」のポータブルタイプ。2.4型ディスプレーを搭載する

オンラインで155言語、オフラインで17言語の翻訳ができる
Langogoの「ランゴーゴー」もオフライン翻訳に対応した製品で、中国語(標準語)、英語、韓国語など4言語をネット接続なしで翻訳できる。携帯電話回線を利用できるが、SIMカードではなく、組み込み式のSIMであるeSIMを採用している。雑踏でも音声を拾いやすいというマイク性能や、翻訳速度が速いことが特徴だ。

ランゴーゴーはネットに接続した場合は104言語の翻訳に対応する

翻訳速度が速く、スピーディに利用できる
ビジネスの現場だけでなく、昨今のインバウンド拡大や2020年を控え、街中でも外国人と接する機会が増えている。こうした翻訳機を1つ持っておくと、外国人とのコミュニケーションがぐっと広がるはずだ。
【 湯浅英夫/IT・家電ジャーナリスト 】
2019/12/24