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選択と集中。目指すは1番手商品

パーソナルユース市場を開拓した「ポケムヒ」と、女性をターゲットとした「ポケムヒハローキティ」。いずれも発売当初のパッケージ

アンパンマンを採用した「ムヒパッチ」の成功は、「OTC※1医薬品にも、もっとできることがある」ことを気付かせてくれた。池田模範堂は、研究開発の重点を医療用新薬からOTC医薬品にシフトすることを決断。自社の強みである「ムヒ」のブランド力を生かし、外用剤の開発に経営資源を集中する戦略へと舵(かじ)を切ったのだ。
その結果、冬の乾燥によるかゆみ肌の治療薬「ムヒソフト」や、デリケートエリア(陰部)のかゆみ止め薬「デリケア」といった、冬場あるいは通年で売り上げが見込める商品を開発することができた。夏場の「ムヒ」も、携帯用の「ポケムヒ」や「ムヒアルファEX」「液体ムヒベビー」と、ラインアップが充実。

蚊飼育室をはじめ、2014年末に完成した開発研究棟には最新鋭の設備機器を導入

また、2014年のデング熱感染発生で引っ張りだことなった「ムシペール」は、同社が開発した日本初の医薬品の虫よけ剤。医薬部外品の競合品は数多くあったが、「ムシペール」は虫よけ成分ディートを12%配合した医薬品なので、効き目が長続きする。ここが差別化のポイント。ちなみに、池田模範堂の研究棟には「蚊飼育室」がある。無菌状態で飼育された蚊(1匹50円と高価)を購入し、新商品の忌避試験やメディアへの情報提供などに使用している。同社では、蚊を飼育することも仕事のうち(!)なのだ。

頭皮のかゆみ分野に初挑戦した発売当初の「ムヒHD」。2015年は内容量を2倍に増量しリニューアル

池田模範堂が商品開発において最も重視しているのが、「ムヒ」のように、そのカテゴリーで1番手商品になること。中途半端なモノマネでは2番手にしかなれず、結局は利益も出ない。現社長の池田嘉津弘は、「潜在ニーズのある商品、他社とは異なる付加価値を持つ商品を開発する。1番手になれると確信できるまでは発売しない」との信念を持つ。薬効はもちろん、製剤や容器、キャラクターなど、競合品と明確に差別化できるサムシングが必要、というのだ。
例えば、2012(平成24)年に発売した頭皮などのかゆみ・しっしん治療薬「ムヒHD」では、容器や製剤を一工夫するとともに、「シャンプーしても治まらない“かゆみ”」というキーワードを打ち出し、消費者の心をつかんだ。その結果、市場が約2倍に拡大すると同時に、「ムヒHD」は頭皮のかゆみ止め市場で6割を超える商品※2となった。

塗り薬では対処しきれない広範囲のかゆみに、飲んで効く「ムヒAZ錠」

一口にかゆみと言っても、症状や部位などによって対処法は異なる。また、肌のトラブルについても、まだ誰も目を向けていない悩みが数多く存在する。隠れたニーズを掘り起こし、オンリーワン商品として世に出すこと。唯一無比、天下無比…、「ムヒ」というブランド名に託された先人の思いが、池田模範堂の未来を照らす。

  • ※1Over The Counterの略で、医師の処方せんがなくても購入できる一般用医薬品。
    カウンター越しに薬を販売するスタイルに由来。
  • ※2(株)インテージSDI 皮膚用薬 部位/ブランド別 2014年4月~8月 数量シェア

取材協力:株式会社池田模範堂

冬の看板商品「ヒビケア」

池田模範堂の悲願であった冬の大ヒット商品「ヒビケア軟膏」「ヒビケアFT軟膏」

「ムヒ」に匹敵するような冬のヒット商品ができないか。それも、かゆみ止め以外で…。外用剤の可能性を探る中、研究所のマーケティング担当が着目したのが、自身も悩んでいたひび・あかぎれだった。開発前に実施したアンケート調査から、症状が改善されるのを期待せず、何とか冬をやりすごせばいいと諦めている消費者の姿が浮かび上がってきた。彼は、「ひび・あかぎれを治療できれば、大きな潜在市場を顕在化できる」との確信を深めた。
開発は順調に進み、肌細胞を活性化するパンテノールと、割れた皮ふ組織の修復を助けるアラントインをW配合することで、ひび・あかぎれに対する確かな薬効を確認した。その後、実証テストを繰り返すとともに、主婦層にグループインタビューする中で「パックリ」というキーワードを抽出。ここからキャッチコピー「くり返すパックリ割れに」が生まれた。
ひび・あかぎれ治療薬「ヒビケア」は、2007(平成19)年に発売されると、年間100万個を売る大ヒット商品になり、ひび・あかぎれに悩んでいた消費者からは感謝の手紙が続々と届いた。池田嘉津弘社長は、その手紙のコピーをかばんに入れ持ち歩いているという。ここからも、冬の看板商品の開発が同社にとっていかに重要だったかが分かるだろう。
「ヒビケア」の成功を受け、また創業100年を機に、池田模範堂はCIを導入。ロゴマークを「ムヒ」から「MUHI」に、企業スローガンを「かゆみを科学する」から「肌を治すチカラ」に変更し、肌トラブル全般を対象とする次なるステージに踏み出した。

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