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「公文式」から「KUMON」へ

公文氏の著書『公文式算数の秘密』がベストセラーとなった同年(1974年)、「公文式」は、算数・数学教室をアメリカ・ニューヨークに開設する。海外展開のきっかけは、日本で「公文式」を学んでいた子どもの家庭がニューヨークへ転勤したことだった。現地に教室はないのかと子どもの母親から聞かれた際に、「あなたが向こうで指導者をやってみたらどうか」と提案し、それが実現したのだ。

「ちょうどの学習」を支える指導者

「公文式」の学びの特徴である「ちょうどの学習」を支える指導者は、重要な存在だ。

「公文式」にとって教室で子どもたちをサポートする指導者は、教材同様、重要な役割を果たしている。「公文式」の教材は「スモールステップ」と呼ばれ、やさしい問題から難しい問題へ、無理せず自分の力で進めていけるよう細やかに構成されており、指導者はその教材を子どもたち一人ひとりの習熟度に応じてセッティングし、「ちょうどの学習」をサポートする。そうした学習の積み重ねが子どもたちの「自ら学ぶ力」を引き出すというのが公文式学習法の基本理念であり、教材だけでも指導者だけでも成立しない。逆にいえば、指導者と教材がそろえば、「公文式」は世界のどこででも学ぶことができるのだ。

海外の公文教室

“サミトンの奇跡”により、「現地の指導者による、現地の子どもたちが学ぶ公文式教室」が急速に広がっていった。

日本人駐在員の子どもたちから始まったニューヨークの算数・数学教室だったが、日本同様「子どもが伸びた」という口コミで、現地の子どもたちへと広がっていった。海の向こうでもまた、「公文式」の広がりを支えたのは「親の声」だった。翌年(1975年)には台湾に教室を開設、1970年代後半から80年代にはブラジル、ドイツ、オーストラリア…と、「公文式」はその輪を広げていく。

スペイン語の教材

タイ語の教材

母国語教材として、英語やスペイン語、ポルトガル語、中国語、タイ語なども学習されている。

とはいえ、すでに100万人を超えていた日本国内の学習者数に比べ、海外はまだ1万人超(1983年)。ところが、1988年、全米に拡大する“事件“が起きた。「公文式」を紹介するテレビ番組を目にしたアメリカ・アラバマ州にある公立小学校サミトン校から「ぜひ授業に取り入れたい」との申し入れがあり、正課の授業で導入。その結果、公文式の学力診断テストにおける生徒たちの算数の点数が平均して20点アップするという目覚しい効果を上げたのだ。そのニュースは“サミトンの奇跡”と呼ばれ、すぐに地元のメディアで取り上げられ、そこから『ニューズウィーク』誌、さらに『タイム』誌によって報じられた。海外における「公文式」の知名度は一気に上がり、90年代半ばには学習者数は50万人を超えた。

「公文式」で使われる教材(算数・数学)や指導法、自学自習という進め方は、すべて世界共通だ。子どもたちが取り組むプリントは、数学であれば「数学を使って生きていくためには何が必要か」という父親の思いを形にしたもので、子どもに対する親の愛情は国境を超えて共有できる。しかし教材が文科省の学習指導要領に基づいたものであれば、そうはいかないだろう。「公文式」は日本の学習法ではなく、親の愛情を原点としたオリジナルの学習法だということが最大の強みであり、だからこそ「KUMON」として世界の共通語になり得たのだ。

一方で、日本と海外で大きく違う点がある。それは「公文式」の効果について。日本では「公文式」で「計算が速くなった」「算数・数学ができるようになった」といわれるのに対し、海外では「自立した」「規律を守れるようになった」といわれることが多いという。日本の場合、「公文式」以外にもピアノやスイミング、サッカー…と子どもにとっての選択肢が多いため、個別の効果がみえにくいからか、「公文式」が目指す“学び”の本質は、むしろ海外のほうが理解されているかもしれない。公文式では「数学を学ぶ」ではなく、「数学で学ぶ」のであり、数学を使って新しいことにチャレンジする、数学でついた自信を目標の達成や夢の実現に生かす、つまり、「生きる力」を育てることが「公文式」の学びなのだ。

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