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ニッポン・ロングセラー考
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創刊から101年、現在まで続く最も古い「文庫」

第1期の新潮文庫は、現在の文庫本より一回り小さな四六半裁判(135×94mm)で、造本技術の粋を凝らした豪華版

古今東西の名著から現代人気作家の著作まで多様な作品が廉価で読め、携帯や保存性にも優れている文庫本。現在、「○○文庫」という名称で刊行されているシリーズは、200種類以上に及ぶという。そんな文庫を代表するレーベルといえば新潮文庫。1914(大正3)年の創刊以来、現在まで継続する文庫としては最も古く、2014(平成26)年に創刊100年を迎えた。

新潮文庫の歴史は第1期~第4期に分かれるが、本の仕様や内容は各期で異なり、それぞれの時代を反映していて興味深い。 まず、創刊からの第1期は3年間で43点を刊行。トルストイ『人生論』やギヨオテ(ゲーテ)『ヱルテルの悲しみ』など、全てが海外文学の翻訳だった。一般向けには抄訳が多かった当時、創業者・佐藤義亮は全訳にこだわり、若手訳者を大胆に起用。判型は小さいものの、クジャクの意匠を箔(はく)押しした厚表紙に背クロスを貼り継いだ豪華な造本だった。価格は1冊25~30銭。単行本よりは安いのだが、木村屋のアンパンが2銭、うな重が40銭という物価からすると、現在の「文庫本=廉価」という図式には当てはまらない。

四六判(177×118mm)とサイズが大きくなり、ペーパーバックとなった第2期。円本ブームの流れをくみ、1冊1円で販売

1928(昭和3)年スタートの第2期は、1冊1円という円本ブーム、そしてそれ以降、新潮文庫と双璧をなす岩波文庫の創刊(1927年)を受けて始まった。「最良の書物を最低の廉価に」を標語に掲げ、日本文学の名作を中心に1年半で19点を刊行。
第3期の新潮文庫は、国内外の名作に加え、近藤浩一路画による『漫画 坊ちゃん』や江戸川乱歩『パノラマ島奇談』など、エンターテインメント性の強い作品もラインアップ。1933(昭和8)年から1944(昭和19)年までに495点を刊行、戦時の紙不足などで中断を余儀なくされたが、現在の新潮文庫の原型となった。

そして、戦後の1947(昭和22)年から始まるのが第4期。記念すべき第1作は川端康成の『雪国』だった。現在に至る4期で、新潮文庫が文庫の世界にもたらした革新の一つに、4色刷りのカバーがある。
1967(昭和42)年、映画化された『伊豆の踊り子』『ベン・ハー』といった作品に4色刷りのカバーをかけて販売したところ、よく売れた。それならばと、全作品のカバー化を社内や書店に諮るが、返ってきた答えは「そんな必要はない」。当時は、文庫本は読み捨て、お金をかけるまでもない、という感覚だったのだろう。しかし、担当者は諦めなかった。「実際、若い人に評判がいいのだから」とベテラン社員を説得し、3年かけて全点カバー化を実現。たかがカバーと思うことなかれ、これによって書店の風景は一変。それまで書店の片隅で棚に挿されていた文庫本が、書店のメインステージ・平台に並べられるようになった。競合各社が追従したのは言うまでもない。

第3期は菊半裁判(164×112mm)でスタートしたが、戦時下の紙統制で現在の文庫本サイズのA6判(148×105mm)に縮小

第4期の新潮文庫。1960年代後半までカバーはなく、薄いグラシン紙を巻いただけの簡素な装丁だった

1970年に全点カバー付きとなる。カバーのデザインは折々に刷新されている

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