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ITで街の形が変わる「スマートコミュニティー」(後編)
ITで街の形が変わる「スマートコミュニティー」(後編)
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「スマートコミュニティー」の実現によって私たちの生活はどのように変わっていくのでしょうか。
前回、スマートコミュニティーを考えるきっかけとなった「スマートグリッド」を中心に解説しました。スマートコミュニティーは、さまざまなIT技術によって実現するものですが、個々の技術だけに着目しても、生活がどのように変化していくか、わかりにくいところもあります。後編では、社会が直面している重要な課題とスマートコミュニティーの関係性を踏まえつつ、私たちのライフスタイルへ与える影響に着目していきます。

人類未経験の高齢化社会を支える「IoT」

日本では、過去に経験したことがないほどの速度で「高齢化」が進んでいます。内閣府「平成27年版高齢社会白書」によると、「平成26(2014)年には、高齢者1人に対して現役世代(15~64歳)2.4人」であるのに対し、「平成72(2060)年には、高齢者1人に対して現役世代(15~64歳)1.3人」と予想され、数少ない若い世代が、高齢を迎えた世代をいかに支えつつ、豊かな暮らしを実現するか、大きな課題となっています。

高齢化問題の解決にスマートコミュニティーが寄与するのではないかと期待が寄せられています。スマートコミュニティーによって、すべての問題がスピーディーに解決するわけではありませんが、IT技術がもたらす効率化や利便性の向上が、高齢者はもちろん、財政面で支える人々の豊かな生活につながるのではないかと注目が高まっているのです。

例えば「自動車の自動運転」を考えてみましょう。この技術が高齢化の問題にどう結びつくのでしょうか。

問題の一つに高齢者による交通事故の多発があります。安全に運転できる自信がないと自動車の運転免許証を返上する高齢者もいますが、体が不自由な高齢者にとっては、バスや電車といった公共交通機関では不便です。自動車が重要な「ライフライン」となっている地域では大きな問題です。また、年金暮らしの高齢者が、移動手段として毎回タクシーを利用するというのも非現実的といえるでしょう。

自動運転技術

高齢者をどのように「街」として支えていくか。そこで期待されるのが、自動運転技術なのです。運転できない高齢者の貴重な移動手段となり、事故の減少にもつながります。高齢者はもちろん、運転免許を持たない子どもが、一人でも自動車を利用できるとなれば、福祉や教育の発展にも寄与します。

ただし、高齢者や子どもが一人で車を利用できる社会が到来しても、一人ひとりが自動車を1台所有するのでは、コストをはじめ無駄が多く、違法駐車や渋滞など含めて環境への負荷が極めて大きくなります。

単に自動運転を自動車単体の技術にとどめず、IoTやAIによって街全体で自動車を管理し、街全体で移動を最適化できれば、誰もが低コストに気軽に移動できる世の中を実現できます。そして自動車の進化は、道路やその他の交通機関にも大きな影響を与え、街全体としての「移動のかたち」を変えるかもしれません。


国の財政を圧迫する医療費問題を緩和

国の借金が膨らみ、財政健全化の必要性が叫ばれていますが、財政へ大きな影響を与えているのが医療の問題です。以前、COMWARE PLUSでも、医療情報のクラウド化について取り上げました。

IoTの力を借りれば、各地域の医療機関が持つ医療に関する患者の情報を一元的に管理でき、業務を効率化できる上、複数の医療機関で連携が進みます。遠隔治療が実現すれば、移動せずに地域の病院で最新の高度な医療を地域の医療機関で受けることが可能となるでしょう。

医療機関だけのIT化だけにとどまりません。患者が日ごろから体温、心拍、血圧などを記録するウェアラブルデバイスを導入していわゆる「バイタルデータ」(生体情報・身体情報)を集約し、医療機関や家族、介護者などで共有できれば、地域として病人や高齢者などを手厚くサポートすることが可能になるかもしれません。

さらに「健康づくり」を重視した街づくりを推進しようという取り組みがあり、51の自治体が参加しているスマートウェルネスシティ首長研究会では、高齢化社会に向けた街づくりを推進しています。

例えば新潟市では、海外の研究成果を参考に歩きやすい歩道、きれいな景観を作るなどウォーキングしやすい環境を整備し、市民が自然と「歩いてしまう、歩き続けてしまう」街づくりを目指しています。IoTデバイスの活用などと合わせて市民によく歩くよう促すことで、健康的に暮らせる街づくりを目指しています。外を歩くことが増えれば、人と人とのコミュニケーションの機会も増えます。健康だけでなく、人と人との絆も強めようという取り組みともいえるのです。

次ページ ITによる「働き方改革」が街の姿をも変える

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