2007.11.27
奥行き映像を利用し、リアルタイムに多視点3D映像を作成できる「Depth Mapped 3D技術」を開発
NTTコムウェア株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:今井 郁次、以下 NTTコムウェア)は、同時に複数の視点から裸眼で見ることができる3D映像を、実写映像からリアルタイムに作成する「Depth Mapped(デプスマップド)3D技術」を開発しました。 「Depth Mapped(デプスマップド)3D技術」は、カメラ2台を使って撮影した映像から被写体の“奥行き映像”を生成し、カメラ映像に“奥行き映像”を再合成することで、多視点裸眼3Dディスプレイ(*1)用の3D映像をリアルタイムに作成する技術です。この技術は、リアルタイムの実写3D映像だけでなく、3Dコンピューターグラフィック(以下、3D-CG)においても適用が可能です。
背景
NTTコムウェアでは既に、カメラ2台を使って撮影した実写映像を、リアルタイムに3D合成して配信するシステムを開発してきましたが、これまで使用していた3Dディスプレイの立体視方式の原理上、立体視できる人数は1名に限られており、同時に複数人で視聴できる多視点3D技術についても検討をすすめていました。概要
「Depth Mapped 3D技術」は、カメラ2台を使って撮影した映像から、まずカメラと被写体までの距離を映像データとして表現した“奥行き映像”を生成します。そして同時に、“奥行き映像”と通常の映像を画像処理によりリアルタイムに再合成することで、多視点裸眼3Dディスプレイ上で立体表示させる映像を作成することが出来ます。配信された3D映像は専用の眼鏡を必要とせず、同時に複数の視点から視聴が可能です。適用例
(1) 3Dデジタルサイネージ広告や販売促進の媒体として普及しつつあるデジタルサイネージ(*2)に、本技術に適用可能な3Dディスプレイを利用することで、広告映像などを立体視させることができ、視認効果の高い媒体として利用することができます。
(2) 3D映像展示
博物館や科学館などの文化施設では、多数の良質な映像・コンテンツを保持していますが、本技術を適用させることで、同時に複数人が裸眼で視聴できる3D映像として提供することができ、よりリアルで効果的な展示が可能となります。
今後の展開
今後は本技術にとどまらず、様々な3Dディスプレイでの視聴を可能にするための技術について研究を進めていきます。また、画質の更なる向上に関する研究開発も進めていきます。用語説明
*1:多視点裸眼3Dディスプレイ立体視する際に通常使用される特殊な眼鏡は必要とせず、同時に複数の視点から視聴可能な3Dディスプレイ。
3Dディスプレイとは、従来のディスプレイのように映像を2次元平面のみで表示するのではなく、さらに奥行き方向を付加して立体的な表示を可能としたもの。特殊な眼鏡を必要とせず、裸眼で3D映像が見られる裸眼3Dディスプレイは、1人でしか視聴できないものが多かったが、多視点裸眼3Dディスプレイでは、特殊なレンズを配置したフィルムなどを利用して多人数で同時に視聴できるよう改善された。
*2:デジタルサイネージ(Digital Signage)
ブロードバンドや薄型ディスプレイの普及により登場した、屋外で利用できる電子的なポスター・看板。ネットワークを通じて動画などを配信しディスプレイに表示させることができる。
お知らせ
2007年11月27日から11月30日まで、フランスのValenciennesにあるTheatre le Phenixで開催されるCGコンテンツの展示会「e.magiciens」において、3D-CGの展示、及び3D-CGコンテンツ制作時に立体視パラメータを最適化する1視点用の3D-CG作成支援ツールを用いたワークショップを開催する予定です。2007年12月7日から12月11日にかけてパナソニックセンター東京をメイン会場とした「デジタルアートフェスティバル東京2007」においても3D-CGの展示、及びライブ3D配信システムの展示を行います。
現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、
あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。