東日本電信電話株式会社(以下NTT東日本)様はICTを活用し地域の課題解決を支える企業として、自らもICTを活用し、継続した業務効率化とコスト削減に取り組んでいる。今回は「ヘルプデスクBOT+RPAセキュア連携」によって、劇的な業務負担の軽減と働き方改革への第一歩を実現した。
導入ポイント 1
- 質問・対処依頼の80%は人手を介さずチャットボットやRPA連携で対応
導入ポイント 2
- チャットボット+RPA連携をセキュアに実現
導入ポイント 3
- 今後に活かせる社内DXの実例として展開
端末2万5千台、
利用者2万人の日々の業務を支えるヘルプデスク
茂木 達也氏
NTT東日本
デジタル革新本部
デジタルイノベーション部
主査
NTT東日本では、電話やインターネットなど電気通信サービスに関わる膨大な数の業務システムと専用の端末が稼働している。業務の安定的かつ効率的な運用のため、システム・業務の改善を推進するさまざまな施策を担当しているのが茂木達也氏(NTT東日本 デジタル革新本部デジタルイノベーション部 主査)である。
「代表的な顧客サービス統合システム『CUSTOM(カスタム)』は1995年から稼働している長い歴史を持つシステムで、東日本の事業エリアである1都1道15県の電話回線や光回線に関わる設置場所、料金支払、加入者情報などを管理する重要なものです。CUSTOMを含め業務システムは40種類あり、接続される端末は約2万5千台になります」(茂木氏)
2万5千台の端末のうち70~80%は毎日稼働状態で、これらの端末を利用している従業員は約2万人。業務・システムのさまざまな面で困ったことがあるとヘルプデスクへ問い合わせがあるため、対応する社員の業務負荷の高さが課題になっており、業務効率化が急がれていた。
「ヘルプデスク業務の効率化を急いだのは、チームのメンバーの高齢化と少人数化に対応しながらも、業務の質を落とさず、むしろ向上させていきたかったためです。また、今のメンバーがいるうちに効率化を進め、その過程で業務知識の体系化や作業の自動化に関するノウハウを獲得・蓄積し、広く社内に水平展開できるようにすることが狙いでもありました」(茂木氏)
ヘルプデスク業務を圧迫していた、
「単純な質問」と「対処が必要な質問」
ヘルプデスク業務は2017年10月からNTT東日本-南関東ITシステムサービス部※が担当している。当初は6名だったが対応業務の広がりにより、現在は10名体制で平日9時~17時30分の時間帯で行っている。FAQは社内Webサイトにまとめ、問い合わせ用のメールアドレスも掲示していたが、そもそも社内Webサイトの認知が低く、ほとんどが電話での問い合わせという状況だった。
※ NTT東日本デジタル革新本部デジタルイノベーション部の委託をうけ、システム運用業務を担当
山竹 孝治氏
NTT東日本-南関東
ITシステムサービス部
主査
ヘルプデスクでは、社内WebサイトのFAQで解決できる「単純な質問」から、CUSTOMやその他の業務システムにアクセスし、個々の状況に応じた説明を行いながら操作を補助する必要があるような「複雑な質問」まで多岐にわたる質問に対応していた。「単純な質問」の問い合わせに対し、「社内Webサイトを電話で案内している時間がとても惜しかった」と山竹孝治氏(NTT東日本-南関東 ITシステムサービス部 主査)は振り返る。
茂木氏は負荷が高まっていたヘルプデスク業務の効率化をめざし、南関東ITシステムサービス部とともに問い合わせ内容の分析に着手した。
件数でみると社内Webサイトの参照などで解決できる「単純な質問」が60%、パスワードロック解除を主とした「対処が必要な質問」が20%、残りの20%がサポートを必要とする「複雑な質問」だった。
この結果から件数の多い「単純な質問」「対処が必要な質問」をチャットボットで対応可能にする「ヘルプデスクBOT」の導入を進めることが、業務負荷軽減というゴールに最も早く近づけるだろうと判断し、NTTコムウェアの協力を得て導入を決定した。
「『ヘルプデスクBOT』は親しみやすいチャット形式で質問でき、問い合わせをしてくるユーザーへの使い方の説明がほぼ必要ないことがメリットでした。また、管理側にとってはこれまで担当内で蓄積してきたFAQをチャットボットの回答として活かせること、運用に入ってからのメンテナンスがしやすいことが決め手でした」(茂木氏)
「『ヘルプデスクBOT』は導入時にFAQを作成すれば、その後の保守や拡張がWebベースで容易にできるため、運用に入ってからの余計な業務が避けられることも大きな魅力でした」(山竹氏)
ヘルプデスク業務のお問い合わせ内容
ユーザーの行動変容を促し、
困った時には「ヘルプデスクBOT」が公式の入り口に
伊藤 昭氏
NTT東日本-南関東
ITシステムサービス部
主査
「ヘルプデスクBOT」導入の成果については、さまざまな観点から評価できると伊藤昭氏(NTT東日本-南関東 ITシステムサービス部 主査)は言う。
「よくある問い合わせはすべて「ヘルプデスクBOT」のFAQに集約することができました。NTT東日本では職種によって土日祝日に出社しているケースがあり、そうした人たちに向けて、時間の制約を受けずに対応できる「ヘルプデスクBOT」は非常に適したソリューションでした。
また、新しく業務に携わる人たちにとっては、担当する業務に関する知識やノウハウを『ヘルプデスクBOT』で体系的にまとめておけば、自ら調べて学べるしくみとして機能しますし、管理の面ではWebベースであることからリンクによって資料を関連づけるなど、柔軟にコンテンツを構成でき、さらにメンテナンスも容易であることは大きなメリットです」(伊藤氏)
金井 仁宏氏
NTT東日本-南関東
ITシステムサービス部
金井仁宏氏(NTT東日本-南関東 ITシステムサービス部)は導入後すぐに成果が実感できたと言う。
「電話による『単純な質問』は、運用開始直前の2018年11月時点で約160件/月ありましたが、『ヘルプデスクBOT』運用開始からすぐの2019年1月には43件/月と73%ほど急激に減りました。『ヘルプデスクBOT』へのアクセスをみると、2021年1月時点で2万5千ページビュー/月あり、答えを得るまでに数ページビューを費やしているとしても、数千件/月の問い合わせを処理していることになります。導入後すぐに目に見えた効果があり驚きました」(金井氏)
ヘルプデスクの立ち上げメンバーである山竹氏は導入初期に比べて大きな変化を感じている。
「『ヘルプデスクBOT』導入後、ユーザーにも次第に変化があらわれました。一度でも『ヘルプデスクBOT』に触れたユーザーは、最初に『ヘルプデスクBOT』へアクセスして、自分自身で疑問を解消するようになったのです。ユーザーの皆さんに業務問い合わせの『公式の入り口』として、『ヘルプデスクBOT』を活用いただけるようになったことを非常に感慨深く思っています」(山竹氏)
ヘルプデスクBOT利用イメージ
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