NTTファイナンス株式会社(以下、NTTファイナンス)様はNTTグループ各社の利用料金の請求・回収業務を一手に担う事業を手がけている。膨大な数のお客さまへの定期収納で蓄積したノウハウをもとに、新事業として「楽々クラウド決済サービス」を提供開始。NTTコムウェアのサブスクリプションビジネス基盤「Smart Billing」を軸に、アジャイル開発を組み合わせることで、学習塾や学校などで手作業によって行われている各種代金の請求・回収業務の自動化、効率化を実現。お客さまの本業以外の手間の削減に貢献している。
導入ポイント 1
- 請求・回収業務の豊富なノウハウとサブスク基盤とのコラボを実現
導入ポイント 2
- サービス開発の鍵「Smart Billing」導入で開発期間1/2を実現
導入ポイント 3
- 請求が本業ではない人にも寄り添い進化を続けるサービスに、アジャイル開発で対応
年間6,000万件、
料金請求・回収業務ノウハウとリソースをサービス化して提供
井上 誠一氏
NTTファイナンス株式会社
ビリングソリューション部
担当部長
NTTファイナンスビリング事業本部ではNTTグループの事業会社向けに利用料金の請求・回収業務を行う事業を長年手がけており、その数は実に年間6,000万件以上にのぼる。
ビリングソリューション部では、近年、この定期的な請求・回収業務で培ってきたノウハウを活かした新事業への取り組みを積極的に進め、2020年10月からは「楽々クラウド決済サービス」の提供を開始した。
「本サービスの主管部門として、仕様の決定から開発まで担当しています。また、サービス改善や新しい業種・業態での活用も検討しています」(井上誠一氏 ビリングソリューション部 担当部長)
現在、「楽々クラウド決済サービス」は2つの業種・業態で加盟店(請求代行元)を増やしている。1つは学習塾。おおよそ生徒数が千人を境に、生徒情報の管理から月謝や教材費の請求・回収が表計算ソフトなどでは難しくなる。もう1つは学校と自治体である。
「学校の先生方は教育以外にも非常に多くの業務を抱えており、その中に給食費や教材費などの集金業務も存在します。私たちは『楽々クラウド決済サービス』を提供することで、先生方の精神的な負担をなるべく軽減し、本業である”教育に集中できる環境”を整えることに貢献したいと考えています」(粒崎善弘氏 ビリングソリューション部 サービス開発担当課長)
公立小中学校では、文部科学省の主導により給食費を自治体が徴収する『公会計化』を推進している。しかし自治体には請求・回収をサポートする仕組みはなく、個別に開発するには多大な費用と時間がかかる。さらにGIGAスクール構想が進む中で新たな集金業務が発生するかもしれない。
楽々クラウド決済サービスは、学校や自治体といった業界に特化したユーザーインターフェース(UI)はもちろん、定期的な請求・回収業務が発生するあらゆる業界に対応できるようにも設計されている。
「Smart Billing」を基盤としたAPI連携で、
短期間・低コストでの開発を実現
粒崎 善弘氏
NTTファイナンス株式会社
ビリングソリューション部
サービス開発担当課長
NTTファイナンスでは「楽々クラウド決済サービス」のシステム構築にあたり、幾つかの基盤となるサービスを比較検討し、NTTコムウェアの「Smart Billing」を採用した。
「『楽々クラウド決済サービス』は、請求・回収、収納状況の管理までの業務プロセスを一手に担うため、厳密なデータ管理が必要とされます。また、自治体への学校給食費の徴収業務の移管は、国から期限が示され、多くの自治体が新年度に向け導入検討が始まる段階でした。タイムリーにサービスを提供するためには、スピーディーかつコストを抑えてシステム構築する必要がありました」(粒崎氏)
従来、NTTファイナンスでは、料金請求という高い信頼性が求められる業務を行うため、多くのシステムをスクラッチで開発してきた。そのため、「楽々クラウド決済サービス」の料金計算・請求管理機能についてクラウドサービスを基盤として開発した場合、システムの柔軟性が失われ、お客さまに提供したいスペックが実現できないのではという危惧を持っていた。
「比較検討段階で必要とする機能を持つサービスは幾つかありました。その中で重視したのは、私たちが加盟店の要望にあわせて提供するWebサイトと柔軟に連携できるAPIを備えていること、また、保守体制やセキュリティー対策などの面で信頼できるベンダーであることでした」(粒崎氏)
特にAPIについては、NTTコムウェアから、仕様検討段階でさまざまなアイディアが出され、設計を工夫することでシステム連携の不安を払拭できることがわかった。また、料金計算などのバックヤード部分は「Smart Billing」を利用し、WebサイトのUIなどフロント部分はアジャイル開発の両輪で進めることが、期限内に要望をみたすうえで最適と判断し、開発を進めることになった。
「NTTコムウェアの技術力、対応力、そしてコミュニケーション力の高さについては、他のシステム開発を通して実感しており、信頼して一緒に開発していくことができました。その結果、想定の1/2という短期間で開発を終えることができました」(粒崎氏)
アジャイル開発で少しの違和感も残さない、迅速なサービス改善サイクルを実現