柔軟な勤務形態で生産性を向上
リモートワークは、リスクマネジメントやBCPの視点以外に、福利厚生や作業環境、ひいては生産性・業務効率にも寄与します。自宅作業や移動中の作業が可能なら、保育所や幼稚園の送り迎えのため出勤・退社時間の調整がしやすくなります。在宅勤務であれば、子どもの成長に合わせて、勤務時間の調整も可能です。例えば、「手間のかかる1歳児までは一日のうち○時間を勤務にあてる」「延べ時間でカウントするので、途中で育児の時間を挟んでもかまわない」というような、フレキシブルな働き方です。また子どもが急病になっても、症状が落ち着きさえすれば、家で看病しながら仕事もできます。
子育てと仕事の両立がしやすくなれば、余計なストレスもなくなり仕事の効率や従業員のモチベーションも上がります。育児休職を取って、長期間、業務から離れると、復職のハードルが高まりますが、一日数時間でも自分のプロジェクトに関わっていけるなら、そのハードルも低く感じられるでしょう。
このことは、近年広がっている介護離職の問題にも同じことがいえます。働き盛りの中堅・ベテラン従業員の親が要介護となったとき、在宅勤務やリモートワークが可能なら、「仕事か、介護か」といったような重い選択を強いることなく仕事を続けられます。また働き盛りの従業員を突然襲う「がん離職」といった問題も最近はクローズアップされています。
柔軟な勤務形態、多様なワークスタイルが可能な職場は、働きやすい職場・会社として優秀な人材も集まりやすくなることを期待できます。そして、育児や介護、病気による労使ともに不本意な退職が減れば、人材流出を回避でき定着率を上げることにもなります。
経営者の意識改革がリモートワークの成功を導く鍵
リモートワークによるこのようなメリットを生かすには、多様なワークスタイルに対し、企業、経営者が前向きに捉えることが求められます。
近年、育児休職、休職からの復職、リモートワークやクラウド利用についてそれほど違和感を覚えない層は増えてきています。しかし一方で、リスクなどネガティブな面に目が行き、踏み切れないとの意見もあります。
リスクに関しては、最新のクラウドサービスやモバイル対応の業務システムなど、技術の発展により従来より大幅に低減されました。

従業員が働きやすい環境を整えることで、生産効率を高めるといった経営視線からの戦略と捉えることもできます。場所にとらわれない働き方は、移動時間を短縮し、スピード感がある経営にもつながります。社会的貢献、ビジネス的な価値の向上、いずれの面からも、こうしたツールへの投資を検討しないことが、時代に取り残される「リスク」となる可能性もあります。
このように、データ共有、コミュニケーションなどのツール、クラウド、データセンターなどのITテクノロジーによって、在宅勤務は実用的なレベルに到達しています。ビジネスを加速させるツールとして、在宅勤務制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。