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競争激化こそチャンス!他に先駆けホット用を開発

世界初のペットボトル入り緑茶を発売(1.5L:1990年、500ml:1996年)。「ナチュラル・クリアー製法」は特許を取得

缶入り緑茶飲料の開発に成功した伊藤園の次なる課題は、ペットボトル入り「お~いお茶」の商品化だった。缶と違いリキャップできるペットボトルこそ次代の主流、と読んだからだ。しかし、ここでも緑茶特有の課題が立ちはだかる。それが「オリ」と呼ばれる沈殿物の存在。「オリ」は体に害はないが、見栄えが悪く、風味も損なわれる。光と酸素の影響を受けやすいペットボトルに緑茶を入れるのは不可能とまでいわれたが、緑茶飲料のパイオニアを自認する伊藤園が、ここで引き下がるわけにはいかない。
ありとあらゆるろ過方法を試した結果、たどり着いたのが天然素材の茶こし(マイクロフィルター)で「オリ」の原因となる微細な茶殻を除去する「ナチュラル・クリアー製法」。1990(平成2)年、伊藤園は世界初のペットボトル入り緑茶を世に出した。

冬の新定番・ホット用「お~いお茶」。ペットボトルは酸素をブロックする素材など、複数の素材を重ねて作られている

1996(平成8)年、500ml以下のペットボトルの使用が解禁されると、ライバル企業が続々と参入し競争が激化。この状況に対し、本庄は「望むところだ、受けて立とう」。参入企業が増えれば市場は活性化するし、売り場も拡大すると考えたからだ。もちろん、ライバルへの対抗策はあった。それが冬を味方に付けること、ホット用ペットボトル緑茶の開発である。

1989年から実施している「お~いお茶新俳句大賞」。170万句もの応募があり、入賞作品はパッケージに印刷される

「アイデアはいい、しかし品質を保持できるのか」、社内からはそんな声も上がった。危惧したように、熱を加えたペットボトルは変形し、お茶の品質も劣化。開発が暗礁に乗り上げる中、担当者は、数十社に上る取引先に片っ端から電話し、知恵を借りる作戦に出た。その中の1社から、他の飲料用に開発された特殊なペットボトルがあるとの一報が入る。お茶の品質を守れるペットボトルがやっと見つかり、2000(平成12)年、ホット専用の「お~いお茶」が誕生。この発売に際しては、約10万ある販売先に専用のウォーマーを無償提供するという大胆な戦略に出た。

1995年より「お~いお茶」のイメージキャラクターを務める中谷美紀さん

2000(平成12)年にキリン「生茶」、2004(平成16)年にサントリー「伊右衛門」、そして2012(平成24)年には日本コカ・コーラ「綾鷹」と、大手飲料メーカーが緑茶飲料に本腰を入れてきた。伊藤園がいう「緑茶戦争」の勃発である。いずれのブランドも強敵であり、一時「お~いお茶」のシェアが30%を切ることもあったが、年間トップシェアは一度も明け渡したことはない。先発の優位性、そしてお茶メーカーならではの品質で、戦いを勝ち抜いてきた。今や緑茶飲料の市場規模は約4,000億円、その中で伊藤園は35%のシェアを占める。

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