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AI技術を活用したインフラ維持管理ソリューションで社会課題解決へ
AI技術を活用したインフラ維持管理ソリューションで社会課題解決へ
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NTTドコモソリューションズは2025年7月23日~25日、東京ビッグサイトで開催された、インフラの検査・維持管理に特化した技術・サービスの展示会「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2025/インフラ検査・維持管理・更新展」に、ドコモグループ(NTTドコモビジネス、NTTドコモソリューションズ)として共同出展した。「ヒトとデジタル技術で実現する、効率的なインフラ維持管理・更新の実現」をコンセプトに掲げ、NTTドコモソリューションズが培ってきたインフラメンテナンス最適化の知見とAI技術を活かした新たなソリューションが多くの注目を集めた。

AI技術を活用した持続可能な橋梁の維持管理 ~橋梁診断支援AI~

インフラの設備点検を効率化するインフラ維持管理ソリューションとして、特に注目したのは「橋梁診断支援AI」である。橋梁診断支援AIは、橋梁の点検・診断・措置・記録のメンテナンスサイクルにおいて診断工程に焦点を当てている。生成AIを活用して、診断要領やマニュアル等を参照することで、点検結果をもとに診断調書に記載する診断結果案と所見案を作成することができる。これにより診断調書作成の効率化、診断調書の均質化によるコスト最適化、診断ノウハウの継承の3つの価値を提供する。

橋梁診断支援AIの提供価値

橋梁診断支援AIの提供価値

このプロダクトを提供する背景には、全国の橋梁が急速に老朽化している現状がある。橋梁の安全性を確保するために5年ごとの定期点検が求められており、その対象として年間15万橋の橋梁を診断するためには多くの技術者が必要である。さらに、道路橋定期点検要領の改訂により、新様式では診断品質の均質化や診断根拠の詳細な記録、損傷の進行状況や第三者被害リスク等もふまえた技術的見解の記述が求められている。その結果、橋梁診断に必要な時間が増加したり、技術者のスキルが一層求められたりすることとなり、診断業務の効率化と技術継承は喫緊の課題となっている。

NTTドコモソリューションズは、社会インフラメンテナンス総合支援ソリューション「SmartMainTech®」で培ってきたインフラメンテナンス最適化の知見が活かし、橋梁の専門知識を有する長崎大学、溝田設計事務所などとともに、持続可能な橋梁の維持管理という社会課題解決に向けた診断業務の高度化の取り組みを行っている。2025年4月〜5月にかけて、長崎県内の橋梁を対象に、NTTドコモが開発したAIエージェントによる新様式の調書の診断案作成を行う実証実験を実施し、その有用性を確認した※。

※本取り組みの詳細はNTTドコモソリューションズ公式HPニュースリリース参照

AIエージェントの適用イメージ

AIエージェントの適用イメージ

展示ブースのデモでは、エクセル形式の点検データを橋梁診断支援AIに入力し、AIが診断に必要な情報を抽出して診断案を出力する一連の流れを確認できた。

橋梁診断支援AIによる診断案作成の流れ

橋梁診断支援AIによる診断案作成の流れ

橋梁診断支援AIは、技術者の知見に基づく診断ロジックを活用しており、各橋梁の修繕要否を適切に判断することで、修繕コストの最適化を実現する。また、診断ノウハウなどをテキストベースでAIに参照させており、生成AIの出力結果を参考にノウハウ学習に活用することで、技術継承にも貢献する。

橋梁診断支援AIによる診断案(出力結果)

橋梁診断支援AIによる診断案(出力結果)

今後はトライアルなどを通じて業務上の課題を抽出し、橋梁診断支援AIの精度をさらに向上させていく予定である。不適切な診断による修繕コストの増加といった課題があるため、橋梁診断の高度化にむけた早期のサービス開始が期待される。

EDGEMATRIX®による河川の定点監視とAI技術による河川水位予測で浸水被害低減 ~河川監視ソリューション~

近年、排水能力を超える局地的な大雨が発生し、浸水被害が日本各地で発生している。特に、小規模河川における被害が増加しており、2021年の法改正により近隣に住宅街がある中小河川でもハザードマップ作製が義務化されたことを受け、1級河川だけでなく、中小河川などにも導入可能なプロダクトの必要性が高まってきている。一方で、物理的な水位計の導入には高額な費用や大規模な設置工事が伴うほか、メンテナンスにも費用・工数がかかるという課題がある。

こうした背景を踏まえ、NTTドコモソリューションズとNTTドコモビジネスはAI技術を活用し、簡単に多地点導入が可能な「河川監視ソリューション」を立ち上げている。物理的な水位計が不要であり、監視カメラおよび「Edge AI Box®」を設置し、電源を確保するだけで利用を開始できる手軽さが特長である。また、小規模な河川や用水路で水位上昇ピークが短時間で訪れる傾向を踏まえ、事前の水位上昇予測が可能な水位予測技術を確立。これにより、自治体職員の災害対策業務の迅速化、ひいては地域住民の安全性向上に貢献する。

水位予測AIによる避難判断のサポート

水位予測AIによる避難判断のサポート

「河川監視ソリューション」は、現地に設置した「Edge AI Box®」からリアルタイムで必要なデータのみを伝送する、NTTドコモビジネスが提供する「EDGEMATRIX®」サービスと、長年グループ内共通システムを開発してきたNTTドコモソリューションズの開発技術、特に画像認識技術を活用することで実現している。「SmartMainTech®」の構成要素であるデジタル技術群「Infratector®コア」を活用し、仮想水位計(画像認識AI)による水位判定を行う。また、過去の判定水位と降水量を学習させたAIを作成することにより、予報降水量をインプットデータとして未来の水位を最短5分間隔で6時間先まで予測できる技術も確立した。過去の水位と降水量の時系列データが学習のベースとなっているが、都市河川や水路における水門・堰や排水機等の人為的な水位の増減要因についても学習可能である。国土交通省が定める水位予測精度の基準※を満たすAIモデルを作成した実績がある。

※「基準水位」、「ピーク生起時刻」、「ピーク水位」の観点において基準を満たしている。

展示ブースでは、河川監視ソリューションのデモ画面を通じて、複数ヵ所の河川状況を一元的に確認することができた。また、各河川の詳細画面では、現地画像や水位の遷移を示す時系列グラフが表示されており、河川の状況をより詳細に把握できる。過去の状況も遡って確認可能である。将来的には水位予測線の表示も可能となる見込みだ。さらに、利用者自身で設定した水位の閾値に応じて、メールでアラートを発報する機能も備わっている。

河川監視ソリューションのデモ(雨量、判定水位、予測水位の遷移)

河川監視ソリューションのデモ(雨量、判定水位、予測水位の遷移)

また、NTTドコモソリューションズとNTTドコモビジネスは、茨城県取手市双葉地区における氾濫経験のある農業用水路にて水位予測の実証実験※を行った。小規模水路の水位は排水機による排水などの人為的要因、水田の湛水状況などの環境要因による増減が激しく通常は予測が難しいとされているが、実証実験の結果、予測水位は実水位の変動傾向を概ね捉えられ、AIモデルが有効であることを確認できている。

※本取り組みの詳細はNTTドコモソリューションズ公式HPニュースリリース参照。

水位予測モデルの技術が確立されたため、両社は社会実装に向けた検討を進めている。実証実験のニュースリリースを見た企業から問い合わせがくることもあり、当初想定していたユースケースである「自治体における防災」以外のニーズ(鉄道業界、デベロッパーなど)も見えてきているという。広く社会課題解決に貢献できるよう検討を進めていくとのことだ。

AI画像解析で設備保全業務を効率化 ~「プラントコラボ®」×「ToruMeter®」連携~

NTTドコモソリューションズは、設備保全業務などの現場DXを支援するソリューションとして「プラントコラボ®」を提供している。設備関連情報、作業実績データ、作業員のバイタルデータ、ノウハウなどを一元管理し、蓄積したデータをもとに保全業務を最適化することで、設備の安定稼働、作業員の安全性向上に貢献する。

展示ブースでは、「プラントコラボ®」と東芝が提供する「ToruMeter®」を、シムトップスの電子帳票システム「i-Reporter®」経由で連携させることで、設備保全業務のさらなる効率化を図るプロダクトが紹介された。「ToruMeter®」は、電気やガス、圧力計などのメーターの数値をスマートフォンのカメラで撮影し、AI画像解析を用いて数値情報を読み取ることができるサービスである。

背景として、工場などの現場では老朽化する設備の稼働率を維持するため、常に設備の点検作業が欠かせない。しかし、現場では作業員の高齢化に伴う人材不足や技術の継承が喫緊の課題となっており、点検業務の効率化が求められている。これまでの点検作業では、目視での数値確認や手作業での帳票入力が必要であり、作業時間や管理コストの増大、作業員の入力ミスなどが課題となっていた。

そこで、「ToruMeter®」のAI画像解析を活用してメーターの数値情報を自動取得することで目視点検を削減。さらにシステム間で即時に情報連携することで、管理者は遠隔地から「プラントコラボ®」を通じて帳票や作業ステータス・経過をリアルタイムに確認できる。NTTドコモビジネス、NTTドコモソリューションズ、東芝が連携して行った実証実験※において、点検作業の業務効率化およびコスト削減の効果が確認できており、サービス提供を開始している。

※本取り組みの詳細はNTTドコモソリューションズ公式HPニュースリリース参照。

システム間の連携イメージ

システム間の連携イメージ

展示ブースでは、アナログメーターの点検作業を再現するデモが行われた。管理者が「プラントコラボ®」で作業依頼を出してから、作業員が「i-Reporter®」で帳票を作成し、「ToruMeter®」で撮影・数値取得を行う一連の作業が途切れなく進められていた。

点検作業デモの様子

点検作業デモの様子

また、会場ではNTTドコモビジネスが提供するタフネスタブレット(DIGNO Tab2 5G KC-T306)を用いたプラントコラボ®のデモも展示されていた※。さまざまな環境で使える耐久性や機能性、セキュリティを備えているため、管理者がデスクで作業するだけでなく、現場に持って行くようなケースで活用できる。

※取材時点では「プラントコラボ®」のみタフネスタブレットをサポートしている。

現場DXの実現に向けて、「プラントコラボ®」は今後も他社との連携を視野に入れ、機能拡張・機能強化を検討するとのこと。「プラントコラボ®」は少ないID数(5つ)から導入できるため、小規模な工場でも導入しやすく、さらなる広がりが期待できそうだ。

渡辺史敏(わたなべ・ふみとし)

2025/08/29

  • ※ 商品およびサービスの内容は、予告なく変更する場合がありますので、あらかじめご了承ください。
  • ※「SmartMainTech®」、「Infratector®」、「プラントコラボ®」は、NTTドコモソリューションズ株式会社の登録商標です。
  • ※「EDGEMATRIX®」、「Edge AI Box®」は、EDGEMATRIX株式会社の登録商標です。
  • ※「ToruMeter®」は、株式会社東芝の登録商標です。
  • ※「i-Reporter®」は、株式会社シムトップスの登録商標です。
  • ※ その他、記載されている社名、商品名などは、各社の商標または登録商標である場合があります。

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