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現実空間とサイバー空間の融合で新しい価値を生み出す

徳田氏は、IoEの対象となる範囲が広がり、アプリケーションが提供する機能のレベルが高まってくると、「サイバーフィジカルシステム」の実現に寄与すると指摘する。サイバーフィジカルシステムとは、実空間とサイバー空間を融合させたシステムのこと。実際の世界で起こっている事象とサイバー空間内の事象を対応させて、実世界をサイバー空間から制御できるようにするシステムである(図3)。

図3 実空間とサイバー空間を融合した「サイバーフィジカルシステム」

サイバーフィジカルシステムを実現するためには、さまざまなセンサーの発達や普及によってこれまではセンシングできなかったデータをセンシングできるようにして、そのデータを解析する技術が必要になる。こうした要件は、今後のIoEの発展と重なる。サイバーフィジカルシステムを構成するインフラとして、IoEが人々によりよい暮らしを提供するスマートシティを支えるという構図だ。
徳田氏は、ここで注意を促す。「スマートシティやIoT、IoEの話になると、センサーなどのハードウェアの話ばかりになりがちです。センサーを何万個設置するか、コストをどうするか、といった議論です。ここで視点を変えると、最も効率よく世界中にばらまかれているセンサーは、スマートフォンだと気付くでしょう。各種のセンシングの機能を持ち、インターネットとの通信機能を備えた“センサー”が世界中にすでにあるのです。このセンサーを有効に活用することを考える必要があります」

プライバシーとの兼ね合いや実社会との整合性が課題

IoEでは、機器などの「物」をインターネットとつなぐだけでなく、人の行動や、仕事の仕方などをデータとして取り扱い、IoEのプラットフォームを介して多くのアプリケーションで活用するようになる。そのときに課題となるのが、プライバシーの問題だ。
「食事や排泄、行動やソーシャルアクティビティなど人の生活のデータを取ることで、インフルエンザの流行を予測して予防するといったことがIoEでは可能になります。人の暮らしにメリットがある一方で、センサーによって人の行動がすべて監視されてしまうという危惧もあります。IoEではさまざまなデータを活用するだけに、データの所有権や匿名処理を明確にし、ユーザーからデータ利用の許諾を明確に取ることが求められます。また匿名性をどのように確保するかといった課題も解決していかなければなりません」(徳田氏)
さらに、行動のデータが悪意ある第三者に漏れることを防ぐセキュリティー対策も重要な課題だ。プライバシーとセキュリティーは、IoEの普及を推進するために避けては通れない。
IoEやその先にあるサイバーフィジカルシステムの実現で考えなければならないもう一つのポイントが、技術イノベーションと社会イノベーションのギャップだ。徳田氏は、「イタリアでごみ収集のロボットの実験が行われました。世界初のロボットレーンを公道に作り、ごみ収集ロボットが動くシステムです。これを実現するだけでも道路交通法の改正が必要になります」と一例を挙げる。IoEを実際の社会に実装するには、法律などの社会インフラのイノベーションも同時に求められるというわけだ。
解決すべき課題はあるが、「IoEは今後の新しい産業や社会のイノベーションをエンパワーメントしてくれると考えています」と徳田氏は語る。「世界で最初のデジタルデバイド(情報格差)は、インターネットを利用できる人や組織と、利用できない人や組織の間に起こりました。IoEも今後、活用している企業とそうでない企業の間に、デジタルデバイドと同じような大きな格差を生み出すことになるでしょう。IoEによってさまざまな物や事象を分析できる企業は、従来型の企業よりも効果的にビジネスを進められるようになります」
インターネットの前例を見れば分かる通り、格差が開いてから対応しても「時すでに遅し」となってしまう。IoEが生まれ育つ今から、「あらゆるモノ」がインターネットで連携する社会の姿を想像し、未来のビジネスのサクセスストーリーを模索しておくことが、IoE時代に生き残るための1つの方法だろう。

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