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すでに開発が進んでいるインプランタブルデバイスの現在

冒頭で紹介したようにインプランタブルデバイスの実用化は、すでに始まっています。例えばGoogleは、インプランタブルデバイスに限りなく近い究極のウエアラブルデバイスとして、無線チップと血糖測定センサーを備えた医療用のスマートコンタクトレンズの開発を試みています。涙から血糖値を測定して、血糖値の厳正な管理が不可欠な糖尿病患者の体調管理をサポートするというものです。レンズに搭載されたセンサーは、涙に含まれるコレステロール値も測定します。

このデータを機械学習やAIを駆使して解析することで、疾病発生の予測も可能になると考えられているのです。スマートコンタクトレンズには、視力の低下を矯正する機能を持つものもあります。また、ALS(筋萎縮性側索硬化症)で身体の自由を失った患者が、コミュニケーションを行うためのツールとして、埋め込み型電極の開発も進められています。

従業員に対するマイクロチップの埋め込みを実践している会社は、冒頭で紹介したベルギーの企業だけではありません。米国の自動販売機などのメーカーでも、同様の取り組みを開始しています。チップを埋め込んだ手をかざすことで、ドアロックの開錠やコンピューターへのログイン、コピー機の操作などが行えるとのこと。また、休憩室にある売店での買い物や名刺の交換、健康診断データの管理まで活用の幅は広がるといいます。

体内に取り込むという意味では、センサーを内蔵した錠剤もインプランタブルデバイスの1つといえるでしょう。日本の製薬会社が中心となって開発した、服薬状況の管理を目的とした世界初の「デジタルメディスン」は、このほど米国食品医薬品局(FDA)から承認されました。これは、抗精神病薬の錠剤に極小センサーを組み込んで、服薬状況を専用のスマートフォンアプリで管理するというものです。錠剤を服用して胃に達するとセンサーがシグナルを発し、患者の身体に貼り付けた検出器が検出してアプリへ送信するという仕組みです。患者や家族、医療関係者が服薬状況を客観的、かつ正確に把握することで、よりよい治療につながると期待されています。

これらはすべて、現在進行中の技術です。それでは、さらに未来へ目を向けてみましょう。インプランタブルデバイスが進化すると、人間と融合するデバイス、人体の一部機械化というSFのような世界が現実のものになるかもしれません。

インプランタブルデバイスの未来は、人と機械の融合も視野に

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スマートグラス、スマートコンタクトレンズと進化したその先には、「人間の眼」を情報端末化した「スマートアイ」と呼ぶべきものの登場も予想されます。視界に地図やメッセージ、ゲームの画面なども表示できるほか、現実の風景にバーチャルの情報を重ねて表示するいわゆる「拡張現実(AR)」を実現するインプランタブルデバイスにもなるでしょう。

さらにその先には、人間の脳に極小のデバイスを埋め込むことで、脳と脳が直接コミュニケーションすること、脳と脳が直接インターネットでつながるということもあながち夢物語でもないようです。

米ハーバード大学の専門家を中心とした研究チームは、思ったことを脳から脳へ直接伝えるという実験に成功しています。ヘッドセットを装着した被験者がある言葉を思い浮かべた際に生じた脳波をデータに変換し、離れた場所にいる受信者にインターネットで送信します。送信されたデータは微弱な電流となって受信者の脳に刺激を与え、その結果、受信者は視野に光を感じました。言葉そのものが伝わったわけではありませんが、何らかの情報が伝達されたのは間違いないでしょう。

さらに、未来のデバイスとして注目されているのが「ナノボット」です。ナノボットは、ナノテクノロジーで作られたナノメートル単位のロボット。「シンギュラリティー(技術的特異点)」に関する著述で知られるレイ・カーツワイル氏は、このナノボットを脳の毛細血管に送り込むことで、人間の知能を向上させることができるほか、バーチャルリアリティーに完全に入り込むことが可能だといっています。また、脳波の変化を読み取り、体内で必要なときに必要な薬を投与するナノボットの開発も進んでいます。

いずれはデバイス自体も変化し、金属でなくDNAのような有機物を材料としたナノボットが実現するかもしれません。人間とデバイス、人間とテクノロジーの区別がつかなくなる日。それは、遠い未来のことではないかもしれないのです。

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