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GovTech(ガブテック)が行政を効率化する可能性
GovTech(ガブテック)が行政を効率化する可能性
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近年、「X-Tech(クロステック)」という言葉が流行しています。たとえばFinTechやEdTech、HRTech、AgriTech、MediTechなどです。そして最近では、「GovTech(ガブテック)」というX-Techが注目されています。GovTechとは、政府(Government)と技術(Technology)を組み合わせた言葉で、2013年頃から使われ始めました。GovTechは政府や地方自治体の業務効率を、ICTを活用することで高め、さらには新しいサービスを生み出すことを示します。特に、行政職員や住民の双方が煩雑だと感じているような手続きを改善することが期待されています。GovTechはICTを活用するために民間のスタートアップ企業が持つアイディアや技術とも相性が良く、行政に民間の革新性を取り組む手法としても注目されることから、GovTechを推進しようという機運が高まってきています。

GovTechで実現するスマートシティ・プロジェクト

インターネットやデジタルデバイスの発展・普及は情報の流通や人々の交流の手段を広げ、私たちの暮らしを便利にしてきました。

このテクノロジーの活用分野に合わせて、金融であればFinTech、教育であればEdTech、健康であればHealthTech、農業であればAgriTechと広がりをみせています。

特に民間においては新しいテクノロジーの活用は急速に広がりをみせてきました。

そこで、民間に後れを取っていた政府や地方自治体といった行政においても、ICTを活用して公的サービスの質を向上させるべきだという機運が高まってきました。

たとえば政府がGovTechの取り組みとして主導している「スマートシティ・プロジェクト」では、AIやIoTなどのICTを活用して市民に革新的なサービスを提供し、都市が抱えるさまざまな課題を解決してより暮らしやすい社会の創造をめざしています。

その対象は行政手続きだけではなく、交通や健康、高齢化対策など多岐に亘り、ビジネスにおける生産性を高めることにも寄与するものとされています。

内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)が2018年11月に発表した『スマートシティの構築を通じたSociety 5.0 の実現』によれば、世界のスマートシティ・プロジェクトには、北米に代表されるプラットフォーマー&スタートアップ主導タイプ、中国やシンガポールなどの国家主導タイプ、欧州などのオープンシステムタイプがあります。

日本においても、国土交通省が『スマートシティ実証調査/スマートシティプロジェクト支援事業(H31新規)』を、総務省が『ICT街づくり推進事業/データ利活用型スマートシティ推進事業』を、経済産業省が『スマートコミュニティ実証事業/スマートコミュニティ構想普及支援事業費補助金』として取り組んでいます。

GovTech先進国エストニア

GovTechでは、ICTなどのテクノロジーによりリソースの節約やコスト削減も実現し、市民とのコミュニケーションを円滑にすることで、より市民のニーズに対応した公共サービスを提供することをめざします。

ここで、海外のGovTechの活用例を見てみましょう。

GovTech先進国として知られるエストニアでは、政府のサービスがほぼ電子化されています。

e-Cabinetは閣僚がアジェンダの確認や発言内容の申請を事前に行えるシステムで、このシステムの導入により5時間前後かかっていた閣議が30分~1時間半ほどに短縮されています。(※1)

また、e-Taxにより税金の申告も電子化され、税金の回収率を著しく高めています。

15歳以上の国民には電子IDカードの所有を義務づけることで、i-Votingというオンライン投票システムを世界で初めて導入し、実際にオンライン投票を実現しています。(※2)

さらに、わずか20分ほどで会社を登記できるe-Businessも導入されています。(※3)

そのうえ同国ではe-Residencyと呼ぶ電子国民プログラムを設立しているため、e-Residencyカードを取得すれば、エストニアの電子政府システムの一部を利用できるようになり、たとえば日本にいながらにしてエストニアにビジネス用銀行口座の開設や法人の設立ができます。

このe-Residencyには世界中から登録者が集まっており、日本からの登録者も既に2,000名を超えています。(※4)

※1:出典(e-Estonia「e-Cabinet」
※2:出典(e-Estonia「i-voting」
※3:出典(e-Estonia「12 digital services in e-Estonia」
※4:出典(Forbs JAPAN「日本にも約2000人の電子国民 エストニア「e-Residency」が目指す未来」2019/01/23

注目される神戸市の取り組み

国内では、GovTechにいち早く取り組んでいる例として神戸市が知られています。

この神戸市の成功例が、全国の自治体の参考モデルとして共有されています。

神戸市はGovTechへの取り組みとして、2017年から「アーバンイノベーション神戸(Urban Innovation KOBE)」として地域の課題を解決するためにベンチャー企業と連携したサービスの開発に取り組んでいます。

そのため神戸市では年度ごとに課題を提示し、ベンチャー企業の応募を募る方式を採用しています。たとえば2018年上期には6つの課題を掲げ、60社からの応募がありました。(※1)

その課題の一つが行政窓口をスムーズに案内できるツールの開発で、IT系ベンチャー企業が参加しています。

この課題では、役所の受付担当職員が非正規雇用であることが多く、数年ごとに引き継ぎが行われるため、市民が手続きに訪れた際に適切な案内を安定して行えていない実態が取り上げられました。

そこでベンチャー企業は来客対応サービスにRPA(Robotic Process Automation)を活用し、来客対応サービス用のタブレット端末アプリケーションを開発しました。

また、神戸市長田区役所では2018年8月に子育てイベントの参加者を増やすアプリを開発して参加者を激増させています。

それまで子育てイベントは紙のチラシで案内していたため告知効果が低かったのですが、スマートフォンのアプリにしたことで、自宅から半径500メートル以内で催されるイベントの情報を簡単にキャッチできるようにしたのです。(※2)

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子育てイベント参加アプリ『ためまっぷながた』(※2)

※1:出典(神戸市「2018年度の「Urban Innovation KOBE」がいよいよ始動」
※2:出典(神戸市「Urban Innovation KOBE」

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