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グローバル展開には、国を超えて通じる明確なスローガンが必須

行徳セルソ氏

行徳 セルソ 氏
1982年、サンパウロ大学卒業。ブラジルの大手銀行のバンコ・ブラデスコ、アクセンチュア株式会社、東芝アメリカ電子部品社、i2テクノロシー・ジャパン株式会社などを経て、2004年5月、日産自動車株式会社に入社。ルノー・日産のCIOとして両社のグローバルな情報システム部門を率いる。

「IT戦略とは、ビジネス目標に合わせたIT投資とその貢献度を明確にすること」

海野:それにしても、VITESSEというのはうまい言葉の組み合わせですね。やはり、社内の意識を統一するには、いいスローガンを打ち出すことも大切でしょうか。
行徳:特にグローバルでの取り組みには、優れたキャッチフレーズやスローガンがないと、コミュニケーションが展開できません。グローバルカンパニーとしては、自分たちがどんな戦略で事業展開していこうとしているのか、シンプルな言葉で明確にする必要性があります。
海野:次に、ルノーとの関係を伺いたいのですが、大会社同士がIT部門を統合するのは、大変なことだったのではないでしょうか。
行徳:方針としては明確です。アプローチとしては、その業務をお互いに一緒にやるメリットがある場合に共通化を進めていくという考え方です。逆にいうと、ビジネス側でお互いに統合して、共通化していくというアグリーメントがない限り、あえてIT側が動く必要性はありません。ただ、業務が一緒ではなくても、ITとして共通化したり統合したりする分野や領域もあります。インフラの場合は、業務がどう仕事をするかは関係ないので、できるだけ統合しています。
海野:インフラの場合でも、統合する2社それぞれが自分の方を使って欲しいと言い出すようなことはありませんか?
行徳:基本的には、コストパフォーマンスです。だから、どちらのインフラがコスト面で有利か、を判断します。場合によってはどっちも当てはまらないケースもあります。そういうときは、むしろやりやすいんですよね。


グローバルカンパニーのIT部門の人材育成法

海野忍

「グローバルに展開する日産自動車の戦略を支援します」

海野:東芝アメリカで人材育成の重要さを学んだとおっしゃられましたが、現在、IT部門での人材育成では、特別な訓練コースを用意したり、トレーニングを実施されているのでしょうか。
行徳:特に優秀な人材には、マイクロソフト・SAP・CISCO・SIEMENSのようなグローバルカンパニーで3カ月の研修を受けるプログラムを用意しています。さまざまな企業でキャリアを積み重ねてきた私自身の経験からも、他社での業務を経験することはとても大事だと思っています。
海野:御社のような巨大なグローバルカンパニーのIT部門の人材として、特に重視される資質というものはございますか。
行徳:一番大事なのは、チャレンジすること。ボックス化されないように、ですね。大企業というのは、人材をボックスに入れたがる傾向がありますから、四角のボックスにすっぽり収まってしまうのではなく、丸く柔軟に何事にもチャレンジできることが大事だと思います。
海野:チャレンジできる人材を育てるため、具体的にどういったことを行っていらっしゃいますか。
行徳:私ががかつてアクセンチュアに勤務していた時代に経験したことをベースにしています。具体的には、新卒は入社後に日産自動車の研修を受けますが、それに加えてITの研修を行っています。インドで2カ月くらいSAPやJAVAなどの研修を受けるわけです。
海野:グローバルなセンスも身につきますね。弊社も一部の社員にインドで研修を受けさせていますが、やはり海外企業での研修は大事だと思います。

「技術の日産」が描く、未来につながる戦略

海野:御社は昔から「技術の日産」と呼ばれていますが、これから世界市場の中で、どのような事業を展開していくか、大きなポリシーのようなものはおありですか。
行徳:戦略として今日産が旗を振っているのは、インテリジェント・モビリティです。コネクテッド・カー(インターネット通信機能を付加した自動車)と、e-POWER(日産自動車が開発した、発電専用のガソリンエンジンと走行用の電気モーターを組み合わせたハイブリッドのパワートレイン)とIoT (Internet of Things)を含めて展開していくのが今後の「技術の日産」の戦略です。
海野:自動車の製造工程の記録や運転中のドライバーの動き、混雑状況など、車を取り巻くビッグデータは山のようにあると思います。弊社の話で恐縮ですが、御社にはデータ高速処理基盤の「AB INITIO」というパッケージをご利用いただいております。ビッグデータを扱うのには有効なソリューションだと考えておりますが、ご感想をお聞かせいただけますか。
行徳:AB INITIOにもっとも期待しているのが、メタデータの管理です。それぞれのデータのソースは何か、データの元はどこから来ているかをしっかり管理することは非常に大切です。そのデータが何に由来するのかが明確になっていなければ、いろいろな分析をするときに、データの精度が疑われてきますから。
海野:御社のDMP(データマネジメントプラットフォーム)をご支援させていただいておりますが、今後DMPをどのように活用していくお考えですか。
行徳:これから戦略として新しい生産ラインを設けるときには、今まで以上のセンサーやIoTを使い、そこからどんどんデータが集まってくるようになります。そうしたビッグデータを活用していくうえで役立てたいと考えています。
海野:弊社に対して希望、ご要望などございますか。
行徳:「AB INITIO」もそうですが、新しい技術をどんどん紹介してもらえればありがたいと思います。いろいろチャレンジをしてください。
海野:本日はありがとうございました。

[対談日:2016年11月7日]

社屋写真

CORPORATE PROFILE

名称
日産自動車株式会社
所在地
神奈川県横浜市西区高島一丁目1番1号
設立
1933年12月26日
従業員数
2万2,471人(単独ベース)、
15万2,421名(連結ベース)
事業内容
自動車の製造、販売および関連事業

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