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ニッポンの想像を超える未来
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100年後、就活の話をする東京郊外居住の親子
(プロローグ)

おとうさん:そろそろ就活の時期だね。どんな仕事をしたいの?

子ども:うん、四国にあるインプランタブルデバイス(体内に埋め込むデバイス)の研究施設が第一志望なの。

おとうさん:そうか、今はみんな都心じゃなくて地方で就職するのが普通になったな。

子ども:昔は地方から東京に出て働く人が多かったってホント?

おとうさん:そうだね。東京に最先端技術の会社をはじめ、働く場所が集中していたんだよ。

子ども:え~、今と反対なんだね。今は、第2の人生を考えるときにみんな東京に移住するよね。

おとうさん:そうだね。今は地方の好きな場所でテレワークが当たり前。そういえば、おじいちゃんが住んでいる渋谷は、昔は若者文化の発信地だったそうだよ。

子ども:そうなの? 渋谷って高層ビルと空中回廊の街だよね。何でもそろっていて便利そう。

おとうさん:おじいちゃんも、コンパクトな街でラクだと言っていたな。最近はロボットカーで旅行しているそうだよ。おとうさんもそろそろ都心移住を考えようかな。

未来の東京を探るカギは現代に。60年以上、進化が止まらない渋谷

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 2019年、東京は街の再開発が進行中だ。特に渋谷は街全体にまたがる大規模な再開発で、完成は2027年を予定している。スクランブル交差点のある駅前は広場として拡張され、周辺には高層ビルが林立し、駅構内のアクセスも分かりやすくなるという。

 2020年に開催される東京五輪に向けてインバウンドが盛んに促進され、海外からの訪日者も急増している。人の往来も激しくなり、街の風景も変貌し続ける東京の未来はどのようになっていくのだろうか。

 今回は街や都市の雑学に造詣が深く、テレビやラジオなどでコメンテーターやパーソナリティとしても活躍されている評論家の山田五郎さんに、2020年を1つの境目として「東京の過去と未来」についてお話を伺った。

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1955年、宮益坂付近 風景
(写真:東京急行電鉄株式会社)

 山田さんは高度経済成長期の1958年に渋谷区で生まれた。山田さんが子どもの頃は、好景気に合わせて街がみるみる変わっていったという。
 「子どもの頃、渋谷の中心は、今の109のビルの左側にある道玄坂でした。向かい側には花街があって、鉄道のガード下には焼き鳥店などがありました。今、代々木公園、国立代々木競技場、NHK放送センターがある辺りは、戦後からある在日米軍施設ワシントンハイツでした。これが僕にとっての渋谷の原風景です」。

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1966年 渋谷駅(東口)副都心へ体裁を整えつつある渋谷
(写真:東京急行電鉄株式会社)

 山田さんが10代の頃に渋谷駅からNHK放送センターにつながる公園通りができ、通り沿いに西武百貨店やパルコが開店した。大学生の頃は、公園通りや道玄坂の横にある小路、百軒店(ひゃっけんだな)にあったライブハウスやジャズ喫茶が盛り上がっていたそうだ。

 ワシントンハイツは1964年の東京五輪開催前後に閉鎖され、跡地に代々木公園、国立代々木競技場やNHK放送センターができた。そして、西武百貨店や渋谷パルコの開店をきっかけに、渋谷はファッションやカルチャーの最先端として知られるようになった。

 人通りが激しくなったことをきっかけに渋谷駅前の交差点がスクランブル化されたのは、1973年。80年代には、それまで飲み屋が軒を連ねていたセンター街に若者が集まるようになり、「チーマー」や「ギャル」という言葉も生まれた。「SHIBUYA109」が10~20代前半女性のファッションの最先端として人気が出たのもこの頃からだ。

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六本木方面から望む渋谷ストリーム
(写真:渋谷ストリーム)

 「渋谷は、僕たちの成長とともにどんどん変わっていった。若い頃はそこが魅力でしたが、この歳になるとあまり変わってほしくないとも思ってしまう」と山田さんはこぼす。しかし一方で、交通アクセスは大変便利になったとも思うのだそうだ。

 現在進む渋谷の再開発で最初に完成したのは、ファッションビルの渋谷ヒカリエ。駅東口にあった東京文化会館の跡地に建てられたものだ。ヒカリエのテーマは大人の渋谷。それまで若者中心だった渋谷に少しずつ大人が戻ってくる兆しとなった。

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宮益坂交差点方面よりのぞむ渋谷スクランブルスクエア完成予想図
(写真:渋谷駅街区共同ビル事業者)

 続いて、地上にあった東急東横線と新しくできた東京メトロ副都心線の相互直通運転の開始で地下化され、旧東横線渋谷駅のホームや線路跡地、渋谷駅から国道246号線をまたいだ先に複合施設の渋谷ストリームが誕生。その先から代官山につながる通りに渋谷ブリッジができ、長い間暗渠(あんきょ)となっていた渋谷川が再生して遊歩道が整備された。道玄坂上には、大規模なオフィスビル、渋谷ソラスタが完成。

 今後予定されているのは、渋谷駅の真上に、スクランブル交差点を見下ろせる高さ約230メートルの高層ビル、渋谷スクランブルスクエア、東急プラザ渋谷跡地に複合施設の渋谷フクラス、そして、駅南西部には、生活支援、起業支援の施設が誕生する。これらの完成で、渋谷駅から歩道橋で渡るしかなかった国道246号線、その先の代官山までのアクセスが格段に良くなるという。2027年には、今まで途絶え気味だった渋谷から代官山までの人の流れが大きく変わりそうだ。

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