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賢いはたらき方のススメ
賢いはたらき方のススメ

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「今がデジタルにトライするいい機会。自分のコンフォートゾーン※をどうやって抜け出せるか、強制的にトライする価値がある」と、コクヨ株式会社ワークスタイル研究所所長の山下正太郎さんは話す。コロナ禍で働き方が大きく変わろうとしているからこそ、デジタルとリアルの新たなコミュニケーションスタイルを実験し、リアルの延長線上とは異なる形を創り出せるのではないかという。オフィス環境と働き方について深い知見があり、特任准教授として今の学生の考えに触れる機会も多い山下さんに、働くためのコミュニケーションスタイル、オフィスなど仕事環境の在り方がどのように変わっていくのか、そして、これからのより良い働き方について伺った。
※(この場合は既存の)慣れた快適な空間

ビジネスの進化でダイナミックに変わるオフィス環境の魅力と1/4ワーク

―学生時代からオフィスについて研究されています。山下さんがオフィス環境に興味を持たれたきっかけは?

山下:もともとは建築のデザイナーを目指していました。建築を勉強しているうちに、オフィスは、建築やインテリアだけではなく、企業の組織や経営戦略、IT戦略などの要素が複雑に絡みあい、ビジネスの進化によって空間・環境もダイナミックに変わっていくものと知り、面白いテーマだと思いました。

―コクヨに入社されて、さまざまなオフィスの研究やコンサルティングをされたのですね。

山下:コクヨには、海外の先端オフィスを取材し、デザインやそこに働く人々を紹介する媒体『ECIFFO(エシーフォ)』(現『WORKSIGHT(ワークサイト)』の前身)がありました。学生時代から愛読していて、先端の変化に触れられる研究をしたいと思い入社しました。

入社後は、オフィスの設計、チェンジマネジメントなどのコンサルティングの仕事に携わり、2011年に『WORKSIGHT』(www.worksight.jp)が創刊されてから、働き方についての研究にも携わるようになりました。

―オフィスのチェンジマネジメントなど、コンサルティングを行うときに苦労されている点はどういうところでしょうか。

山下:日本の場合、ビジョン先行でオフィス変革が進むケースが少ないことですね。ボトムアップ型のプロジェクトが多い分、利害関係の調整で小さくまとまらないように、プロジェクトメンバーの視座を引き上げたり、説得材料となるバックデータを揃えることが重要です。また組織の末端まで広く、変化を浸透させるには、みんなをとりこぼさないような丁寧なプロセスの設計が必要になります。

―ご自身の考えていたキャリアやスキルに対して、現在はいかがですか。

山下:学生の頃から、オフィスの変化は激しく、時代によってコロコロ変わっていくということを知っていたこともあり、自分自身も何か一つに特化することに危機意識があります。一つの仕事だけではなくて、ダブルワークや仕事以外の趣味を持っている、多面的に活動を展開していけることが理想です。そう考えると、まだまだバランスが悪く実現できていないですね。ただ、社会的にも所属する組織でも、働き方の柔軟性は高まっていますので、やりやすい環境だと思います。

―山下さんが考える理想的なワークライフバランスはどのようなものですか。

山下:会社員としての仕事が25%、自営としての活動が25%、地域やボランティアなど自分の興味で動ける活動が25%。残りの25%はプライベートの活動。4分の1ずつできるのが理想です。

デジタルリテラシーが高い時代へ、
豊かな情報を生かすコミュニケーションスタイルとは?

写真:山下正太郎さん

編注:本インタビューはリモートで行われた

―デジタルリテラシーに関して、特任准教授としての経験から注意している点について教えてください。

山下:デジタルに小さいころから慣れている若い世代は、ミレニアルより上の世代がチャットで読み取る情報よりも、さらに深く情報を読み取っています。リテラシーが高いと、デジタルツールが発するメッセージや意味を、空気を読んで正確に読み取れるわけです。いまはコロナ禍でコミュニケーションに苦労している方も多いですが、長期的に見れば行間を簡単に伝えられるように技術が発達したり、使い手のデジタルリテラシーが上がることによって、豊かな意思疎通ができる時代が来ると楽観的に考えています。

―デジタルリテラシーが高い人が増えるほど、働き方も変わってくるのでしょうか。

山下価値観はすでに変わってきていると指摘されています。例えば、ミレニアル世代までは、豊かな体験を得ることを重視していました。しかし、Z世代では、最短で自分にパーソナライズされた体験が得られることに重きを置くようになったとも言われています。コストパフォーマンスよりもタイムパフォーマンスに価値を感じるんです。手間を考えると、リアルとデジタルの対面は同等だと感じる世代に対して、大切なことを伝えたいから対面で集まりたいと伝えても、価値観が違いすぎて響かないんです。

―意識を共有するためのコミュニケーション手段をどうアップデートするべきでしょうか。

山下:進捗を共有するならこういう方法、チーム内の価値観を共有するならこういう方法というように、自分たちの仕事を分解して、その時々にどういうコミュニケーションのスタイルが最適なのかを分析していくことが必要です。

デジタルには、時間や場所に依存せずにいつでもメッセージを伝えられるなどの良さが大いにあります。週に一度集まらなくても、毎日少しずつチームの価値観を伝える機会を作っておくなどのほうが、意思の統一が図れるかもしれないですよね。そういう新しい可能性に今は目を向けるべきだと思います。

仕事は分散か集中か?
場の空気を読むコンテクストの高い文化、日本の得手不得手

―これからの働き方はどういうことが重要になってきますか。

山下:働き方には、大きく二つの流れがあります。ひとつは、分散して働きましょうということ。時間や場所を自由にして豊かな多様性のあるワーカーを雇用することができます。この働き方は、オランダやオーストラリアが進んでいるとされるスタイルです。日本で働き方改革が盛んに言われていた時に目指していたのはこの分散型でした。もうひとつは、アメリカのGAFA(Google、Apple、Facebook※現Meta、Amazon)に代表される企業に多い考え方です。分散せずになるべく多くの時間をオフィスで過ごし、コミュニケーションの量を増やすことで、イノベーションを起こそうという考え方です。この二つの働き方には、仕事のコンテクストが大きく関わります。コンテクストとは、文脈や状況、前後関係や背景を意味する言葉です。「場の空気を読む」場合の「空気」に当たる言葉です。

―日本の働き方とコンテクストについてはどうでしょうか。

山下組織カルチャーや国民性によってコンテクストの重要視する度合いがかわり、二つの働き方に得手不得手が発生します。分散型はコンテクストが低い、つまり、空気とか文脈を読まなくていい、ルールを重視する欧米系のカルチャーが適しやすい。逆に、日本のようにコンテクストが高く、お互いの空気や文脈を読むことがルールよりも先行するカルチャーでは、とにかくオフィスに来て顔色を伺うことが重要でした。しかし、デジタルツールの発展に加えて、一人ひとりが明確な役割を担う「ジョブ型」への移行が進めば、ローコンテクストの働き方も馴染みやすくなると思います。

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