クラウドサービスの急激な普及とともに、脚光を浴びているのが「運用のアウトソーシング」ともいえる「マネージドサービス」です。特に目新しいサービスではありませんが、なぜこのタイミングで保守・管理のアウトソーシングを検討するユーザー企業が増えているのでしょうか。サービスの内容などを踏まえつつ、メリットやリスクについて詳しく見てみます。
「所有する」から「利用する」へ マネージドサービスとは?
マネージドサービス(managed service)は、データセンターやサーバーホスティングサービス、クラウド、セキュリティーなど、インフラの保守や運用といった業務をサービスとして提供するものです。「サーバーやネットワークの運用をアウトソーシングすること」と言い換えてもよいでしょう。
保守・運用のアウトソーシング自体は以前からありましたが、今あらためて注目されている背景には、企業のIT管理業務そのものが、クラウドサービスの普及によって大きく変質していることがあります。
従来、各種インフラは「所有するもの」でした。今でもオンプレミスのシステムはありますが、クラウドサービスの普及によって、インフラの仮想化が急速に進みました。サーバーおよびネットワーク周辺といったハードウェアだけでなく、ソフトウェアも含めて「利用するもの」として捉えられることも増えています。変化の激しいビジネス環境に応じて、柔軟にインフラを用意することが可能となったのです。
それを裏付けるように、クラウドの普及は今後さらに進む見通しです。平成28年版総務省「通信利用動向調査」によれば、世界のクラウドサービス市場の売上高推移は急拡大を続けており、2016年から2019年の3年間で市場規模は倍増すると予測されています。それに比例し、マネージドサービスも引き続き堅調に成長していくと考えられています。
図1:マネージドサービスの概要
利用者の幅広いニーズに対応できるマネージドサービスの提供範囲/種類
現在提供されているマネージドサービスは、具体的にどのようなものでしょうか。
MSP(Managed Service Provider)が提供しているサービスのラインアップは、多岐にわたります。提供サービスをパッケージにしてメニュー化するMSPもありますが、利用者の幅広いニーズに応えられるよう、数多くの「パーツ」をそろえ、契約によって対応範囲を定める形態が多いようです。
MSPが提供するサービスは、主に下記のような種類が提供されています。
図2:主なマネージドサービス
しかし、あくまでこれらは基本的なサービスの一例にすぎません。セキュリティーなど特定機器に対するマネージドサービスも存在します。